石川県には寿司職人としてはもはや伝説の域に達している「小松弥助」の森田さんがいます。
この人は別格として、2018年3月に惜しまれながら逝去した、野々市の名店「太平寿し」の高谷さんも、そのような全国からお客を呼べる寿司職人の一人でした。
高谷さんが「太平寿し」で元気に握っていらっしゃったときのことは、私のブログでこちらで紹介しています。
また「太平寿し」出身の寿司職人の方が金沢を中心に多数活躍されていて、「鮨 八や」「鮨処 みや(旧あいじ)」「鮨 飛」「河原町 一(はじめ)」など、どこも人気店になっています。
さて、そんな高谷さんのDNAを引き継いでいるお弟子さんが出したお店が5月7日にオープンしています。それが今日紹介する「鮨 高森」です。
場所は金沢駅と武蔵の間、リファーレの近く。
お店は町家をリノベーションしています。
お店は完全予約制でおまかせコースのみ。ランチは12:00から、ディナーは18:30からの一斉スタートとなっていました。ちなみにランチは10,000円で、今回のディナーは15,000円でした。
了解をいただき店内を写します。カウンター席のみで落ち着いた空間ですね。
まずは生ビールで乾杯!
「太平寿し」といえば、魚介1種類ごとに違った食べ方(例えば刺身と握りが一緒に出てくる)を同時に出してくれることで有名でしたが、「鮨 高森」では、それを一部引き継ぎつつご自身としての考えにより変化させていると話していました。
まず出されたのは、能登の黒もずくを使った「もずく酢」と、
「あずき貝旨煮」。
刺身はタラ・イサキ・梅貝。酢橘が添えられ、あら塩と醤油、お好みで食べます。
あわびを昆布だしで煮たあわび煮。
ガリが出され、この後、握りに移ります。
イサキ。あら塩が降られていました。
バイ貝。この2種類は刺身でも出されています。
アラ。脂が乗っていました。
こちらは、メスの毛蟹の身・ミソ・内子などをほぐして混ぜて、再度甲羅に詰め込んでありました。手間がかかっていますね。もちろん酒がすすみました。
甘鯛の昆布締め。
白皮かじき。「よこあげ」って言っていた気がしますが…、身の切り方が違うことだったかな?どういう意味だったか忘れました。汗
ハナジロカツオのタタキ。藁焼きで、ほのかに藁の香りをまとっていてこれまた美味しい。
カマス。握りでは珍しい?皮目が少し炙られていてよかったです。
そしてこちらが「太平寿し」のスペシャリテだった「のど黒蒸し寿司」。「太平寿し」出身のお店では必ずと言っていいほど出てきますね。
久しぶりに食べましたが、のど黒の上品な脂が乗った身と、シャリの下には昆布が敷かれていて、一緒に蒸されることによって酢の旨みを纏って味が昇華しています。食べるたびに感動する一品です。
赤イカは松笠カットにして炙ってありました。炙ることによりイカの甘さが引き立ちました。
ヅケトロ。上品な脂でこちらも美味しいです。
こちらは甘エビですが、「太平寿し」スタイルからは少し変化させていた、青い卵をシャリに混ぜ、甘エビの身の上にはエビの味噌を乗せ、さらに皮を揚げたものを粉々にした物を振りかけてありました。
手間暇かけた逸品は当然旨い!
手間暇かけた逸品は当然旨い!
煮穴子は、口の中に入れるとほろりとほどけるほど。とても美味しかったです。
最後はイクラの手巻きでした。
あら汁も出されました。
おつまみ5品と握り13貫にあら汁が付いての15,000円はお得感がありました。
アルコールの方は、生ビールのあとは日本酒を3種類頼んでいます。
こちらは手取川で有名な吉田酒造「吉田蔵μ」ブランドの「石川門」です。珠洲焼の酒器が口当たりをまろやかにしてくれていました。
こちらは能登地震で被害を受けた輪島の中嶌酒造店の「末廣」。被害を免れた酒米を使って小松市の「東酒造」で造られたひやおろしです。
あと1種類頼んでいますが写真は写していません。
これら日本酒は主に妻が飲んでいて、私はハイボールを1杯頼んでいます。
以上を飲み食いして、一人2万円弱。とてもお得感がありました。そして「太平寿し」の高谷さんを思い出させてくれて、かつ「鮨 高森」としてのアイデンティティをしっかりと感じることが出来てよかったです。ご馳走様でした。
鮨 高森
石川県金沢市本町1-3-13
TEL 090-3819-7162
昼12:00~
夜18:30~
水曜、日曜休