10月30日、大阪・枚方市で行われた試合で、JFL鈴鹿ポイントゲッターズのFW三浦知良が、55歳246日にして今季初ゴールを決めた。これまでの最年長得点記録42歳50日を13歳も更新したキングカズだが、その超人的な肉体維持の背景には、ハイブリッドな疲労回復健康法があった。
今春発売された雑誌「Tarzan」(マガジンハウス)でも自身の疲労回復法について語っているカズ。食事や睡眠など、日々の習慣からカズの心身に迫っているのだが「だから55歳でこれだけの活躍ができるんですね」と、納得の表情を浮かべるのは「浜野接骨院」(千葉市中央区)院長で柔道整復師の平野勝彦氏。
〝身体のプロ〟である平野院長がまず注目したのは、食事についてだ。
「カズさんは何を食べるかよりも『いつ食べるかにこだわっている。夕食は胃腸の負担を避け、試合も何もなければ夕方5時から5時半に食べる』と答えています。これは、若い頃に比べて弱まった胃腸に合った食事をしていると言えますね。いかに胃腸に負担をかけず、効率よく食べるかを考えているんです」
胃腸のキャパは年齢により異なり、それ以上の働きを課してしまうと、腸内が休まらず、逆に負荷がかかって疲労が抜けない体になってしまうのだ。
「僕自身も胃腸を16時間休めるファスティング(一定の期間食べ物を断つ行為)を実践しています。胃腸を休める食べ方は、最初の空腹時期さえ乗り越えてしまえば『これを食べるべし』というルールを作るよりも難しくはないので、実践しやすいのではないでしょうか」(前出・平野院長。以下「」も同)
胃腸に負荷をかけないことは、疲労回復以外に薄毛予防にもつながるという。
「例えば胃腸をエンジン、食事をガソリンとします。容量以上のガソリンを入れると、エンジンは不完全燃焼を起こして煙がモクモクしてしまいますよね。それが体臭なんです。つまり、腸内環境を整えれば体臭は軽減し、シャンプーの頻度を減らすことができる。すると頭皮の栄養素として必要な常在菌が生きるので、頭髪が育ちやすい頭皮になるのです」
さらにカズはスイーツにも言及。「甘い物は大好物だけど我慢をしている。誘惑に負けて食べ過ぎたら、翌日、普段よりも多めに走る」と話している。
「カズさんはストレスをためないよう、ご自身で調整されているみたいですが、甘い物は体にとってかなりマイナス要素が多い。酒やタバコと同類の嗜好品だと思ったほうがいいですね」
ストレスがたまり、甘い物を食べると、快楽物質のドーパミンが分泌され、ストレスが軽減される。しかし今度はより甘い物を欲するという悪循環に陥るからだ。
「僕も甘い物が大好きなので一切を断つことはできません。ですが、カズさんのように運動による調整も難しい。だからといってむやみに食べず、これは嗜好品だからと割り切った上で、『食べていい曜日を決める』などの対策を取るのが最適です」
とはいえ、週に3〜4日も食べるのはNG。特に中高年は、できるだけ甘い物は避けたほうがいい。
「悪影響として、まず血糖値が急激に上がってしまい、血糖値を下げようとインスリンが分泌されます。それが繰り返され、血糖値が乱高下すると疲労や眠気に始まり、いずれは糖尿病、心筋梗塞などにつながります」
どうしても我慢できない人は、週に1日程度、少量を食べるのがベターだ。
*週刊アサヒ芸能11月10日号掲載