久しぶりにブログを書くと、本当に「戻ってきた」って気がするよ。(ヒトリゴト37) : ある編集者の気になるノート
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by aru-henshusha

久しぶりにブログを書くと、本当に「戻ってきた」って気がするよ。(ヒトリゴト37)

ブログの更新をしばらく休止する、と書いたのが4日前。
まだまだ狂ったような忙しさに変わりはないけれど、ひとつだけ書いておきたいことがあって、一瞬だけ「ある編集者」に戻ります。


僕はこのブログを1年半近く続けているのだけど、これだけ(って、たかだか4日か)更新を休んだことは、いままで一度もない。
旅行や出張でパソコンにさわれないときもあったけど、それでも1日、2日ぐらいしかブランクはなかったと思う。

だから今回、ブログを休止することで、自分にとって何がいちばん辛いのか、知りたいという気持ちはあった。


休止前は、ブログの更新に伴う「インプット」の時間がなくなるのが辛いんじゃないか、と予想してた。

僕はこれまで、ブログを書くために、毎日けっこうな時間を「インプット」に費やしてきた。

ニュースサイト、情報サイト、同業者のブログ、著名人のブログ、笑えるブログ…
いろんなページを見て得た情報や感想は、ブログの題材以外にも、ときには企画のヒントになり、ときには著者や同業者との格好の話題にもなる。

そういったネタを仕込めないのは、自分としては、かなり辛いはずだと思ってた。


でも、その心配は半分当たっていて、半分は間違いだった。

この数日、たしかにネットからのインプットは皆無に近いけど、ほかのものから吸収したことは少なくない。

通勤電車で読んだ本や、著者への取材で聞いた話、いま編集してる本の原稿、帰宅後寝ぼけ眼で見ているテレビ…
どんなものからでも、それなりの「インプット」は可能だった。

問題なのは、むしろ「アウトプット」のほうである。


この数日間、ブログを書かないことで、僕は「ある編集者」としての時間をもたなかった。

朝起きる。会社に向かう。パソコンをひらく。メールをチェックする。今日の予定を確認する。原稿を読む。取材をする。セミナーに出る。企画のネタ出しをする。テープ起こしをする。オビのコピーを考える。会社のHPの原稿を書く。お金のトラブルを片付ける。久しぶりの重版の知らせに喜ぶ。家路につく。

目覚めてから、夜ベッドにもぐりこむまで、僕はずっと、とある版元の三流編集者だ。


「そんなの当たり前じゃん」って思うでしょう?
だけど、僕にとっては、それが辛い。


僕は、本が好きだ。編集という仕事が好きだ。

けれど、朝から晩まで、一日中、仕事のことを考えてたら疲れるよ。
会社の名前を背負って、一日中、編集者やってたら疲れるよ。


ブログを書いているときだけは、僕はどこの馬の骨ともわからぬ、「ある編集者」でいられる。
好き勝手に記事を書いたり、気楽なコメントのやりとりを楽しんだりして、仕事のことをしばし忘れることができる。

そういう時間をはさまないで、ずっと「名刺の肩書き・名前のままの僕」でいるのは辛い。

生真面目で、仕事熱心で、ときに雄弁で、実力以上の期待をされて。

その僕は、社名とか肩書きのとれた、生身の僕とは違うから。


久しぶりにブログを書くと、本当に、「戻ってきた」という気がする。

僕が「ある編集者」でいる時間は、一日の何分の一もないけれど。
明日からまたしばらく、とある版元の三流編集者でいつづけるけど。

次に戻ってこれる日まで、もう少し待っていただけたら幸いです。
by aru-henshusha | 2006-04-26 23:25 | 不定期なヒトリゴト。