〇自民党総裁選は小泉進次郎氏が有力なようだが、このこと一つとっても首相にしてはいけない人物であることは明確だ。
【小泉氏は「15日間もの総裁選があり、国民への判断材料も示されている」として「早期解散」をあらためて強調した】
とあるが、総裁選で主張したことは国民への判断材料になりえない。なぜなら、日本は議院内閣制であり、憲法第65条で「行政権は内閣に属する」とされているからだ。憲法第7条に基づく解散を認めたとしても、解散で問うべきことは「内閣」としての意思であり、それは「内閣総理大臣」の意思ではない。
総裁選で主張したことは「内閣総理大臣」になるための主張であるが、「内閣」としての方針は内閣組成後の国会での所信表明で各府省が一体となって作成し発表されるものだ。国権の最高機関たる国会の構成が与野党でなされる以上、所信表明に対する各党の見解を国会の場で表明することもこれとセットになるのは、当然だ。所信表明とそれに対する質疑がなされなければ、内閣として国民に信を問うべきことはないのだから、論理的に解散などというのはありえないのだ。
【解散のタイミングを問われ「首班指名直後に可能となる」と発言】
ということからみるに、小泉氏は内閣総理大臣の権限と役割をわかっていないのではないか。「解散権は内閣総理大臣の専権事項だからいつやったっていいんだ」と思っているのであれば、これほど恐ろしいことはない。憲法に定められている日本の統治機構の仕組みを理解していない人物は、内閣総理大臣になる前に小学校6年生の社会からもう一度復習すべきだろう。権力という刃は、少なくとも義務教育レベルの常識を理解している人に預けられなければならない。
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一方の、立憲民主党。
こんなこと言っているうちには政権はとれまい。当時の民主党政権には、どんなに円高になろうが、デフレになろうが、マクロ経済政策はなかった。あったのは、財政の帳尻を合わせる政策のみ。党内の議論でも、およそ経済理論とかけ離れた低劣な議論しか行われていなかった。これこそが「悪夢の民主党政権」だった。
「アベノミクスは失敗」というなら、今この時点でどのようなマクロ経済政策をとるのか論じなければ意味がない。顔ぶれを見る限り、そのような議論ができる能力がある候補はいない。