『入社1年目の教科書』を読んだ - Aratamotsu’s blog

『入社1年目の教科書』を読んだ

自分は入社1年目ではないけれど、4月から社会人になる人のお祝いの席に参加して、感慨深い気持ちになってので読んでみた。自分が入社1年目のときに、同期の間でこの本が流行っていたので、買ってはいたものの、当時は読んでいなかった。

全体として賛否両論が大きくなるだろうな、と思った。2011年に発行されたこともあって、今の時代にはそぐわないであろうものもあるし、そもそも主語が分からない、日本人全員を主語としている記載なのか、いわゆるホワイトカラーの仕事に携わる人間だけを想定しているのか、この本を読んで面白かった・ためになったと思う人間だけを対象にしているのか、そこの範囲を補ってあげないと、賛成なのか反対なのか、といった議論はできない。

ただ、社会人としておよそ5年間働いた時点の自分からすると、総じて賛成する点が多かったように思う。どういった業種・職種なのか、組織においてどのような立場なのか、そもそもどのような組織で働いているのか次第なであるので、本書でも時折書かれているように、「お、確かにこれはいいな」と思った点を盗むような形で役立てればよいのだろう。

そのほか、時点ごとに定点観察しても面白いかもしれない。入社1年目で読んで、大事さが理解できなかったものが、5年経つと確かに大事だよねと思えるようになっているかもしれないし、逆に最初重要だと思っていたことだけれども、大して重要ではないものもあるかもしれない。また、もちろん個人の変化だけでなく、時代の変化よっても良し悪しといったものは変化するだろう。

自己の考え

定点観測ということを目的として、本書に記載されている各項目について、次のとおり4パターンに分けて考えてみる。一応、実践するべき/するべきではない、という軸ではなく、するべき/するべきと(まで)は思わない、という控えめな軸で考えていることに注意である。

実践するべきと思うし、実践している
実践するべきとは思わないものの、実践している
実践すべきと思うけれど、実践できていないもの
× 実践すべきとは思わないし、実践していないもの

1 何があっても遅刻はするな → ◯

当然。失うもの=信頼が大きすぎる。「何があっても」にどこまで含まれるか次第。例えば、次の日が大雪予報だから、出勤できないことを見越してPCを持って帰ってテレワークできるよう備える、とか自分の仕事に対する責任感を持つ、ということが大事なんだろう。

2 メールは24時間以内に返信せよ → △

たしかに何らかの形でリアクションをとるべきではある。現状は相手を選んでいる。相手を選ぶこと自体が良くないので直すべきか。あと、営業日で24時間以内、という前提で△。

3 「何のために」で世界が変わる → ◯

目的を持つことが大事。そうでないと、単なる作業になってしまうから。可能であれば自分で目的を見出せればいいけれど、最初はわからなければ「何のための仕事か」聞くのもあり。目的がわからず、素っ頓狂なものを作ってしまうのが一番の無駄。

4 単純作業こそ「仕組み化」「ゲーム化」 → ◯

これも大事。自分なりに一味付けてみることで、単純作業になってしまうことを防ぐことができる。

5 カバン持ちはチャンスの宝庫 → ◯

今ではなくなったけれど、メモ取りとかで連れて行かれることは多かった。ただ、そのときには何が何だか分からん内容ばかりだったので、今ならもっと色々と見ることができるだろうな、と思う。1年目のときなら大事さが分からなくて□だったかもしれない。

6 仕事の効率は「最後の5分」で決まる → ◯

手戻りが一番の無駄。分からないことを分からないと言うことが大事。自分が真面目に話を聞いたり勉強したりした上で、分からないものを聞いたときに、そのことに対して文句を言ってくる上司などがいたら、そいつが悪いだけなので気にしない。

7 予習・本番・復習は3対3対3 → △

自分が参加する場合は、おおよそできているか。ただ、周りにそうさせることができていないので、要改善。

8 質問はメモを見せながら → △

これは大事な心得だと思った。自分で事前にまとめずとも、メモだけは持っていくこと。

9 仕事は復習がすべて → △

忙しい、ということにかまけてできていないことが多い。

10 頼まれなくても議事録を書け → △

議事録を書くことはとてもよい文章の訓練になるので、ぜひ入社したての人に書いてもらって、参加者に見せてフィードバックをあげられるとよい。議論のポイントが何なのかつかむ訓練になる。

11 会議では新人でも必ず発言せよ → ×

内容と状況による。発言がマイナスの印象を与えることもあるので、必ず発言するというのはいきすぎのように感じる。

12 アポ取りから始めよ → △

フットワークは軽くいたい。アポ取りして何をするか次第でもあるけれど、ヒアリングとかであれば「情報は原典に当たれ」とも関連する。

13 朝のあいさつはハキハキと → ◯

基本。そして意外とできない・しない人が多い。

14 「早く帰ります」宣言する → ◯

仕事さえやっていれば良いでしょ、というスタンスを持つ。持っていることを示す。もちろん、自分の仕事だけ、ということもなくて、周りのフォローなども当然やる。

15 仕事は根回し → ◯

大事。俺に話が入っていないとはどういうことだ、と考える人は結構いる。そういった人を味方につけられるか敵に回してしまうかで、その後のやりやすさがが段違いになる。

16 仕事は盗んで、真似るもの → ◯

「誰が何に強いのか」ということを早く分かるようになるとよいと思う。たいていの人には、これまでの経験から生まれる強みみたいなものがあるので。盗む・真似るということは、本人に聞いてはいけないということを意味しないので、なぜそうしたのか背後にある考えが分からなければ、ストレートに聞けばいいんじゃない?と思う派。

17 情報は原典に当たれ → ◯

当然。

18 仕事は総力戦 → ◯

意外と勘違いしている人が多い。自分が快適であればよいという人がたまにいるので、そういった人間にならないように注意しなければならない。

19 コミュニケーションは、メール「and」電話 → ×

これは時代(とツール)の変化で×。電話でなくとも方法があるし、書籍で書かれている状況(忙しい人へのコミュニケーション)だとむしろ電話がうざがられるのではないか。

20 本を速読するな → ◯

本を速読しよう、というトレンドとは無縁、というか存在するのか?

21 ファイリングしない。ブクマもしない → ×

仕事次第。

22 まずは英語を「読める」ようになれ → ◯

得られる情報量が段違いであることと、英語で書かれている本は世界全体を市場として捉えているせいか、かなり優しく丁寧に書かれていて好き。その分、分厚くなるのだけど。また、「まずは」は「読める」だけでなく「英語」にも係っていると思う。要は、英語だけ読めるようだと、それはそれで英語圏から見た世界しか見えなくなってしまう。

23 目の前だけでなく、全体像を見て、つなげよ → ◯

大事。だけど難しいので、常に意識するくらいでいるのが精神的に良い。

24 世界史ではなく、塩の歴史を勉強せよ → △

歴史を勉強できていないので猛省。これから頑張ります。

25 社会人の勉強は、アウトプットがゴール → △

インプットして満足しがち。アウトプットする場を自分でどう作るかが肝要。

26 脳に負荷をかけよ → ◯

使わねば錆びる。deliberate practiceですよ。

27 自分にとって都合のいい先生を探せ → △

本が先生、で◯にできるか迷ったので△。授業的なペースを自分がコントロールできないものが苦手すぎる。

28 ペースメーカーとして、資格試験を申し込む → △

これは重要性を最近痛感したので、半年に1つくらいのペースでこれから実践する予定。

29 新聞は2紙以上、紙で読め → △

紙で読む必要はないと思う。ただ、良いデジタルとイマイチなデジタルがあるのは事実。自分の興味に最適化され過ぎて、想定していないふとした出会いが生じないデジタルはイマイチなデジタル。なので、デジタルであっても基本は朝刊・夕刊の画面で読むことにしている。

2紙以上、の部分には賛成だけどできていない。日経新聞に何かを足したいのだけど。The Economistがもう少し楽に読める英語力になれば、追加するつもりでいる。

30 仕事に関係ない人とランチせよ → △

仕事がら、そういった機会がまるでないのだけど、したいんだよなぁ。

31 スーツは「フィット感」で選べ → ◯

サイズが合っているかどうかが重要。割と外れ値の骨格をしている自分としては、オーダーがマスト。

32 「あえて言わせてください」で意見を言え → △

それができる組織(心理的安全性がある組織?)であればそうなんだけど、おそらくあらゆる組織がそうかと言えるとNoで、うるさいやつ、ということで煙たがられる組織だってあるはず。なので、◯であると言いづらい。もし、うるさいやつ、だと思われるようになったらそんな組織は辞めてしまえ、とまで書いてあれば○。今書くとすればこの記述が追加されそう。

33 敬語は外国語のつもりで覚えよ → ◯

基本。そして割と間違えている人が多い。

34 相手との距離感を誤るな → ◯

大事。特に異性相手。

35 目上の人を尊敬せよ → ×

人による、としか思えない。そもそも「尊敬」という感情があまりよく分からないまま、ここまで生きてきてしまった。

36 感動は、ためらわずに伝える → ◯

1年目では大事さが分からなそうだけど、かなり大事。特に感謝とお礼。素直で良いんだよ、素直で。

37 上司にも心を込めてフィードバックせよ → ◯

上司に限らないけど、大事。

38 ミスをしたら、再発防止の仕組みを考えよ → ◯

人間の注意力には限度があるので、単純作業などは、脳死している状態でもミスらないやり方を考えることが大事。

39 叱られたら意味を見出せ → ◯

ただ単に何かを指摘されているのか、怒られているのかを分けて考えることが大事。そういった面だと、叱られたことはないので何とも。叱られたと(自分が)感じたときは、何を指摘されているのかと考えろ、ということだと解釈した。その意味では○。

40 幹事とは、特権を得ること → ◯

自分で店を選びたいし、gdgdして欲しくないから◯。確かに、段取りの練習にはなるけれど、業務外でやりたくねーよ、という気持ちも分からんでもない。

41 宴会芸は死ぬ気でやれ → ×

表現が適切ではないのかな、と思う。キャッチーにしたかったのかなとも。自分は宴会芸をやる機会がなかった。

42 休息を取ることも「仕事」だ → ◯

月曜日のフレッシュな状態で平日5日間仕事ができたら、もっと進むのになぁと最近思う。メリハリをつけたい。あと、年齢とともに体力が落ちるので、それにどう抗うか考えることも大事。

43 ビジネスマンはアスリート → ◯

うーん。自分はそう思うけれど。そこまで仕事したくないんだけど、という人もいる。

44 苦手な人には「惚れ力」を発揮 → ×

苦手な人と無理に付き合う必要はない。どうやっても無理な人間は存在するので、距離をとる、関わらないという選択がベストなときもある。やばい奴からは逃げる一択。

45 ペース配分を把握せよ → ◯

仕事は長距離走。ただ、皇居ランナーの例えはよく分からなかった。みんなそんな感じで走っているだろうか。

46 同期とはつき合うな → ×

「付き合う人間を同期だけにしてはいけない」ということであれば◯。同期と出世争い、みたいな発想が全くないからなのかもしれない。同期だからこそ話せることがあるので、同期は大事にすべき。ただ、これも組織の雰囲気次第なのか。

47 悩みは関係ない人に相談 → △

人脈がなさすぎてできていない。悲しい。

48 社内の人と飲みに行くな → ×

「社内の人とだけ飲みに行くのは良くない」という点であれば◯。社内だろうが、社外だろうが飲みに行きたい人と行けばよいのではないか。これも人脈がなさすぎてできていない。

49 何はともあれ貯蓄せよ → ◯

お金の余裕は心の余裕。ある程度の金銭的余裕を確保しておくことが大事。

50 小さな出費は年額に換算してみる → ◯

まあ、コンビニとか月に1回使うか使わないかくらいなので、年額に換算するまでもないのですが。

その他

コラム2の中に書いてある

ほんの一握りの優秀な人、ほんの一握りの優秀ではない人を除けば、大部分の人の能力にほとんど差はありません。

というのは、全体として誰を想定しているのかよく分からないせいもあって、無責任な記述のように思えてしまった。(狭い定義として、自分が仕事で関わる人間に限定したとしても)いやいやそんな訳ないやろと。ライフネット生命の社員の方々を指しているのだろうか。

その次に続く

やがて大きな差になって表出してくるのは、広い意味での勉強をし続けているかどうかということなのです。

が大事なことだけあって、前段が気になってしまった。自分が補うなら「入社1年目で横にいる同期との能力の差なんてないに等しい。」として、後段につなげるのだろう。