好評を博したTVアニメ『機動戦士ガンダム 水星の魔女』のスピンオフ・コミカライズ。
「初の公式外伝」とのことです。
筆は『幼女戦記』の爆速&高品質コミカライズで知られる東條チカ、ということでちょっとびっくり。
でも『幼女戦記』もまあ、「人型兵器」の高速の空中戦&銃撃(ビーム)戦&白兵戦で、
絵的にはガンダムっぽいというかマクロスっぽいというか、という感じなのでもともと相性は良さそう。
もともと
「この人いつまでも『幼女戦記』のコミカライズだけに縛られてていいのかな」
と余計なお世話気味にハラハラしてたんですけど、原作付きとは言え二毛作こなすとは本当に筆がお早い。
A.S.101(アド・ステラ暦101年)、身体機能拡張技術「GUND(ガンド)」、及びこれを軍事転用したMS(モビルスーツ)「GUND-ARM(ガンドアーム、ガンダム)」が危険視され、その研究開発拠点「ヴァナディース機関」がモビルスーツ開発評議会と監査組織「カテドラル」によって強襲・壊滅させられる「ヴァナディース事変」が勃発。
以来、ガンダムに関わる技術は禁忌とされ、5年の月日が過ぎた。
A.S.106。
「ヴァナディース事変」におけるヴァナディース機関の生き残りの研究者・ヴィルダは、同じく機関の生き残りの少年・キユウと共に、荷台にMS「ガンダム・ルブリス・ジウ」を隠したトレーラーで、見つかれば「魔女の生き残り」「テロリスト」として弾圧される地球を旅していた…
という1巻。
自分はTVアニメ版は相変わらず1期の最終話以外はまだ観てないんですが、
aqm.hatenablog.jp
特にネットやSNSのネタバレ避けもしてないので、キーワードやあらすじはなんとなく知っている、という感じ。
TVアニメ『水星の魔女』と本コミカライズ、プロローグがA.S.101の「ヴァナディース事変」なのは共通っぽい。
んでTVアニメの本編はA.S.122とのことなので、A.S.106の本コミカライズのスタートはアニメ作中の16年前、前日譚に当たるんですかね。
なので(?)人気を博したスレッタ、ミオリネ等のアニメ主要キャラクターは登場せず、というところ。16年前だと、アニメ版の少年少女たちがちょうど生まれた頃でしょうか。
アニメ本編を観てないのでアレではあるんですけど、
「弾圧された科学者組織の生き残りの逃避行的ロードムービー」
として、今のところ読んでて世界観の知識不足で困ることもなく。
・「ガンダム・ルブリス・ジウ」のデザインが二本角と淡白なボディラインで仮面ライダーみたい
・少年キユウは強化人間的なアレで寿命が短いっぽい
・GUND技術は医療発端の「身体機能拡張技術」ということで、サイボーグの延長として大型化したものっぽい
ぐらいの理解。
人類のその時点での倫理や法律、運用を超えて発達した技術とその周辺が生む軋轢(自制、規制、弾圧)、というのはSFでは珍しくないテーマで、魔法ファンタジーでも『とんがり帽子のアトリエ』あたりがそうですが、
現実と同じく、漫画などのフィクションにおいても作品によって「技術を発展させる側」と「技術を抑制する側」の妥当性が入れ替わるので、どっちに感情移入して読むんだか毎回難しいです。
その極北が『ナウシカ』ですが、概ね
「行き過ぎた技術の発展と近視眼的な人間のエゴに警鐘を鳴らす」
的な感じが多いのかな。
最近だと、AIイラスト技術なんかも「(イラスト市場)環境を荒らす」として物議を醸していますね。
まあそれは置いといて。
物語としては、1巻は
「旅してて、体制側の雑魚いのに見つかって、脱出した」
ぐらいしか起こってないので、まだ面白いも面白くないもないですけど、さすがの作画で見応えあります。
人気タイトルの、実績のある漫画家によるスピンオフ・コミカライズ、掲載は毎度お馴染み「ガンダムエース」ということで、よっぽどヘタ打たない限りはおかしな終わり方は当分しなさそう。
ガンダムのスピンオフやコミカライズは企画色が強くて作家性が薄い作品が多いのが難点ですが、サンライズ配下の集団制作の企画で、ある程度の安定感があるのは強みですね。
ホームランは出ないが打率は高いというか。
ん…? 安定感…?
aqm.hatenablog.jp
今のところまだ「何を描きたいスピンオフなのか」というか、勘所がよくわかってないですが、自分はこのままだと「TV版視聴者向けの(読者をニヤリとさせる)サービス」を受け取れないので、
どっかでTVアニメ版『水星の魔女』も視聴しなければ…
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