忍者の里で修行して暮らす さとこ は、周りの仲間の雰囲気に流されてなんとなく里抜けに参加(8回目)、抜け忍となったが、特に里抜けしたい目的があったわけでもないので普通に行き倒れていたところを、女子高生殺し屋の このは に拾われる。
忍者としてはポンコツ気味ながら物体を木の葉に変える さとこ の能力に目をつけた このは は、見返りに忍者の里の追手を返り討ちにしてやる代わりに殺し屋仕事の死体処理係の相棒として さとこ を自分の部屋に住まわせる。
忍者と殺し屋の奇妙な同居生活が始まった…
という、日常エッセイ漫画の鬼才による非日常な日常コメディ。
殺し屋という職業は現実世界ではなかなかレアですが、漫画の中では割りとポップな職業。
女子高生をはじめ女性が殺し屋稼業を営んでる漫画は珍しくありませんが、本作で人を殺すことの罪悪感が除菌されてヒロインたちが明るく楽しくアッケカランと人を殺すことのギャップ・違和感・狂気は、作中でも少し言及されている通り意図された効果で、だからこそヒロインたち自身が死ぬ陰惨な展開すらも作者が必要と思えばこの可愛らしい絵であっさりやりそうな、怖さを感じます。
1巻のあとがきで作者が「読切のつもりで描き始めたので、どうなるのか私にもわかりません」って書いてて、「あっコイツやべえ」ってなりました。
今巻のあとがきでもなんかやべえこと言ってます。
割りと出オチ気味というか、
「1巻は面白かったけど3巻もやるほど描きたいことがあるのかな?」
と思っていましたが、非日常な日常ものとしてコミカルで楽しく読めているのと、作者がマイルドなサイコパスというか躊躇も罪悪感も余韻もなく連載の都合で記号を扱うというかまるで「ぷよぷよ」を消していくぐらいのノリで、ナチュラルにキャラクターを殺していくのがメタにスリリングで、目を離しがたいものがあります。
こんだけ人が死ぬとキャラが足りなくなりそうなもんですが、わんこそばのように新キャラが登場した端から死んでいきます。人の心とかないんか。
クールビューティな このは が赤ちゃん化するイベントを経て甘えん坊因子がインストールされて、キュートな描写を伴う百合度も上昇。
この作者にかかると、百合度の上昇すら死亡フラグに見えてきて怖いわ。
日常エッセイでは見えていなかった、ストーリーテリングにおける作者のネイティブな作風・手癖なのか、漫画家としての意図的なキャラ付けなのか。
aqm.hatenablog.jp