玳瑁 ― 2024年11月19日 13:30
玳瑁(たいまい,tortoiseshell)はウミガメ科に分類される亀である。玳瑁の甲羅からつくった装身具や装飾品も玳瑁という。
概要
玳瑁の甲羅は透明の黄色地に黒褐色の斑が入った模様が特徴となる。 ほかの亀に比べて模様が美しく、熱をかければ細工ができる。玳瑁の背甲は「鼈甲細工」「べっこう」の材料として古来から珍重されており、装身具・美術工芸品の材料として使われた。中国ではこの玳瑁細工の工芸品が6世紀末頃にはすでに作られており、8世紀の唐時代に盛んに制作されている。ワシントン条約の発効により、日本への輸入は停止されている。国内においても、玳瑁の全形を保持した物や原材料の甲羅を取引する事業者には経済産業省の「特定国際種事業者」届け出が必要となる。日本の法律では、ベッコウ製品の国内取引は、剥製や全形の甲羅など一部を除いて、規制がされていない。、製造業者の手に渡った密輸由来のタイマイの甲羅は、製品へと姿を変えると、合法なものとして市場に流通することになる。
生息地
南方の海域やカリブ海、インド洋の海域に生息するウミガメである。昭和56年1月の長崎県発行のべっ甲製品についての調査書によれば、次の産地がある。
- カリブ海産 - キューバ、パナマ、ケイマン諸島、その他十六カ国
- 太平洋産 - インドネシア、マレーシア、フィリッピンなどその他八カ国
- インド洋産 - ケニヤ、タンザニヤ、などその他十二カ国
日本での使用
日本でのべっ甲の歴史は、飛鳥・奈良時代に始まる。聖徳太子は小野妹子を隋に遣わし玳瑁をもたらしたという伝説がある。 1975年にワシントン条約が発効し、日本への輸入は現在、停止されている。
鼈甲の由来
1841年(天保12年)、十二代将軍徳川家慶の時、老中首座の水野忠邦は天保の改革により贅沢を制限する奢侈禁止令を出した。華美な祭礼や贅沢・奢侈はことごとく禁止された。 そこである藩主が婚礼に際し「是非ともタイマイ製品は必要である」と考え、幕府に対して「玳瑁は唐より渡来した高価品であるが、わが日本内地の亀の甲で作る品は差し支えなきや」と苦肉の上申を行い、「鼈甲(すっぽんのこう)で作る品ならば一向に差し支えなし」と許可を得た。以来玳瑁の名称は鼈甲(べっこう)と改称されたという説がある。別説として、徳川幕府は贅沢禁止令で玳瑁の甲羅の細工物を禁じたため、商人はこれを「鼈(すっぽん)の甲」と称して売った。ここから「たいまい」を「べっこう」とも言うことになったとされる。
正倉院宝物
- 玳瑁螺鈿八角箱 第19号
- 玳瑁竹形如意 第1号
- 沈香把玳瑁鞘金銀荘刀子 第17号
- 螺鈿紫檀五弦琵琶
- 「正倉院珍宝帳」に「亀甲鈿 捍撥。 納 紫綾袋 浅緑﨟纈裏」と書かれる。
- 金銀亀甲盒
- 長方形の箱に玳瑁が貼り付けられる。金銀箔の上に玳瑁のうすい板を亀甲型に成形しはりつける。
参考文献
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