黒柿 ― 2023年11月25日 21:54
黒柿(くろがき)は柿の木の芯に黒色物質が沈着してが黒色または黒色の縞模様になったものをいう。
概要
通常、柿の木は製材すると乳白色~淡黄色に近い色味である。稀にが樹の中心部に黒色入るものがある。 「黒柿」は150年以上経った古木から見つかる。1万本に1本という確率でみつかるとされる。伐採後も黒柿に含まれた水分を一定割合までまで抜き(乾燥させ)木材を安定させてから加工する。そのために約5年かかる。柿渋の元の「タンニン」が変色し、白い樹のる柿の木に黒が入ると推定されている。現代でも非常に貴重で高価である。 通常の柿の木は製材した際、橙色から?淡黄色に近い色味であるが、稀に墨色のような黒色が樹の中心部に入ったものがある。黒柿が出る確率は1万本に1本とも言われ、非常に貴重で高価である。黒柿が手に入ってもすぐに加工を行う事ができず、加工前に約10年ぐらい乾燥をさせる。柿材は硬く、密度が高いため加工が難しい材料である。
要因
「化学的、鉱物学的および微生物学的特徴と黒柿における生体鉱物の結晶形成」についての論文により、黒柿の黒い部分には有機物や微生物が多く存在し、生育していた土壌にも有機物や微生物の存在が認められた。黒柿の根の白色部分は球菌などの微生物がCa,P,S,Cl,などを取り込み、生体アパタイト(燐灰石)を形成し、成長するにしたがって、更に元素を取り込みながら黒色化する。そして年月を経ると幹の辺材部に黒色の縞模様(孔雀杢)を作りながら珪化木(植物の化石)を形成することが証明された。
工芸品
正倉院には黒柿を用いた工芸品が多い。工芸品の素材として珍重された。宝物中に黒柿に似せて黒色で模様を付けた「仮黒柿」がある。
正倉院
- 黒柿把鞘鉋 第22号
- 黒柿把鞘金銀荘刀子 第31号
- 黒柿蘇芳染金銀山水絵箱 第32号
- 黒柿両面厨子
- 黒柿蘇芳染金絵長花形几 第4号
- 黒柿金銀絵廿八足几 第13号(第99号櫃)
- 黒柿把鞘鉋 第22号
- 十合鞘御刀子
- 馬鞍 第4号
- 紫檀木画槽琵琶 第3号
参考文献
- 奈良国立博物館(2022)『正倉院展第74回』仏教美術協会
- 田崎和江・竹原照明・橋田由美子・橋田省三・中村圭一・横山明彦・青木小波・田崎史江.(2017)「希少銘木「黒柿」の物理化学的特徴と生体鉱物化作用」地球化学71,pp.97-113
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