この本は、他の方のレビューにある通り、くわしい科学技術を記したサイエンス本ではない。だが、むしろ、それ故に読後深く考えさせられるような文章になっている。
遺伝子改変のゲノム作物が珍しくもなくなってしまった昨今、科学者や科学技術を使って儲けたい企業に人々の倫理観まで変質させられているような気がしてならない。
すでに多くの科学技術が一般人の家庭にまで深く浸透しており、それにより多くの地球規模の問題が起きている。そして同時に、それだけの科学力を使えば、多くの問題を解決できることも事実である。
国や大企業が気にしているのはコスト。つまりお金だけのことであり、ほとんどの問題は現在の技術で解決できるのだ。
次から次へと新しい事を求めて、生命を切り刻む様は、好奇心というより「強欲」だろう。
「人間は特別だ。新しい生物を合成できる知性と技術がある。故にそれを行う権利もあるのだ」
そんな主旨の科学者のインタビューが載っていた。己の強欲を正当化するための詭弁に過ぎない。こんな詭弁を豪語できるあたり、すでに人としての正気を失っているのだろう。
後書きにあった五つの問いが本書の主たるメッセージになっている。
何が目的なのか?
何故、それをしたいのか?
それによって、何が得られるのか?
これから何をしようとしているのか?
自らが正しいとどのようにして分かるのか?
科学者ならば、常にこの問いを念頭に置いておくべきだろう。
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合成生物学の衝撃 (文春文庫) Kindle版
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人間を“改造”する技術はすでに実在する!
DNAを設計し人工生命体を作る――。ノーベル賞受賞のゲノム編集技術や新型コロナワクチン開発、
軍事転用など最先端科学の表と裏。
生命の設計図であるゲノムのデジタル改変を可能にした合成生物学。この技術で、人類は自然に存在しない
生命体を誕生させることに成功した。医療などで応用が期待される一方、軍事転用の危険も指摘される
“神の領域”の科学。第一線の科学者や巨額の投資を行う軍当局を取材し、その光と影に迫る、渾身のリポート。
※この電子書籍は2018年4月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
DNAを設計し人工生命体を作る――。ノーベル賞受賞のゲノム編集技術や新型コロナワクチン開発、
軍事転用など最先端科学の表と裏。
生命の設計図であるゲノムのデジタル改変を可能にした合成生物学。この技術で、人類は自然に存在しない
生命体を誕生させることに成功した。医療などで応用が期待される一方、軍事転用の危険も指摘される
“神の領域”の科学。第一線の科学者や巨額の投資を行う軍当局を取材し、その光と影に迫る、渾身のリポート。
※この電子書籍は2018年4月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
- 言語日本語
- 出版社文藝春秋
- 発売日2021/6/8
- ファイルサイズ4.3 MB
販売: 株式会社 文藝春秋
登録情報
- ASIN : B0967PKH8P
- 出版社 : 文藝春秋 (2021/6/8)
- 発売日 : 2021/6/8
- 言語 : 日本語
- ファイルサイズ : 4.3 MB
- Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能) : 有効
- X-Ray : 有効にされていません
- Word Wise : 有効にされていません
- 本の長さ : 249ページ
- Amazon 売れ筋ランキング: - 271,764位Kindleストア (Kindleストアの売れ筋ランキングを見る)
- - 1,413位生物・バイオテクノロジー (Kindleストア)
- - 5,453位文春文庫
- カスタマーレビュー:
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- 2018年8月18日に日本でレビュー済みAmazonで購入
- 2023年1月21日に日本でレビュー済みAmazonで購入合成生物を生み出すための、要素技術を構築する本を読みたかった。
新聞記者の著者は、DARPA(米国防高等研究計画局)の予算が入っていることに警鐘を鳴らすのみ。
一研究者の立場からすると、DARPAの予算でも、使うでしょう。
ヒトゲノムを解読した、クレイグ・ベンターのミニマムセルも面白いが、内実はミニマムゲノム合成学。
合成生物学には、まだ遠い。
ジャーナリズムより、サイエンスが必要な段階。
とはいえ、鳴らそうとした警鐘の意味はある。
- 2019年12月5日に日本でレビュー済みAmazonで購入タイトルに惹かれて最後まで諦めずに読んでみたが、少し難しかった。DNA組み替え... の食品表示はよく目にするものの、素人目には ”合成生物” はショッキングだった。著者の作品に触れるのは初めてです。
ミニマルセルとか、遺伝子ドライブとか、まるでコンピューターのプログラム(エディター)でも操るかのように、ゲノムを書いて DNAを作り新たな生物が誕生させらるとしたら、、以前読んだ「DARPAの頭脳」もショッキングだったが、、これを役立てる場面も多いだろうが、究極な怖さに違いない。しかし、もう技術的には可能だというのが凄すぎる。
さて本書には、読みやすい文体の中に、興味の唆られる面と倫理的な側面とが、米国の多数の最先端の研究者へのインタビュー、そして著者自身の考え方をも交えてビッシリ詰まっているのだが、基礎的な解説が全くないからかなり苦しい箇所も少なくなかった。専門書ではなさそう? だから(ゲノム、DNA、染色体、遺伝子、、等々)少しばかり休息タイムを設けて解説があって然るべきだと思った。
著者も、思いを馳せられたという『わたしを離さないで』(カズオ・イシグロ) ですが、私はそこで描かれたディストピアを思い描く余裕もないままエピローグまでたどり着いた、この分野の現状(すでに技術は、読むから書くに進んでしまっていた)を知る機会となってよかったと思う。
- 2018年5月2日に日本でレビュー済みAmazonで購入生物の情報つまりはDNAからなる遺伝子を組み換える。
それによって創られる遺伝子組換え作物は日常的に生産されている。
安全さを意識して「遺伝子組換え」は使用していない食物を選んで購入している皆さんもスーパーなどで精肉を購入していると思います。
さて、その元である牛、豚、鶏へと遺伝子組換え作物を飼料として与えられていたら…?
皆さんは遺伝子組換え食品を間接的に口にしていることとなります。
事実、上記のような間接的な状況には表示義務がないのです。
というように、既に社会に膾炙している遺伝子操作であるが、近年ゲノム編集技術「CRISPR-Cas9」が開発され、簡便に効率よく生物をデザインすることが可能となってきた。基礎研究業界では、手軽に気軽に行えることからCRISPR-Cas9法は隆盛しており、近いうちにノーベル賞も確実とさえいわれている。
本書は90年代末ヒトゲノム計画で有名になったセレーラ社を設立したクレイグ・ベンターにフォーカスしている。彼が簡便な手法でインフルエンザウイルスやマイコプラズマのゲノムを解読していった。その彼は読むだけではなく(解読)、その先の書くこと(ゲノム合成)を夢みていたのだ。
話は現代になり、前述のCRISPR-Cas9技術について説明され、生存に有効ではないが50%以上の確率で遺伝する「利己的な遺伝子」に注目して「遺伝子ドライブ」現象を利用すると、例えばマラリアを媒介する蚊を世界から撲滅することが出来るという。
しかし、一旦野に放ってしまうと後戻りは出来ない。
一見するとマラリアが根絶できるから良いことでは。と思うかもしれない。しかし生態系に与える影響が如何ほどか、それを充分熟慮したうえでの判断が求められる。そうはいっても固有種の保全活動のための外来種駆除という効果も期待されるというから人類は宝剣を手にしたことは間違いない。あとは剣術の腕にかかっている。
関連して2016年Nature誌では、ゲノム編集技術を大量破壊兵器として使用される可能性を考えると「大量破壊兵器は、配備されたからではなく、そこに存在するから政治問題になる」と記されているという。
著者は米国国防高等研究計画局(DARPA)へ取材し、軍部誘導によって生物技術研究が進められていることを明らかにしている。
このDARPAのプログラム・マネージャーは任期付きであるのにも関わらず、パーマネントの大学教授の職を辞してまで勤めているのが全員であるというから驚く。
印象的な言葉を引用する「もし精子と卵子を使わずにヒトを作れるようになったら、死んでも誰も悲しまない”完全に消費可能な”人間を軍部が作ることを、どうやって止められるだろうか」。背筋が凍るような言葉である。
マンモス復活研究についてもハーバード大のジョージ・チャーチが行っていることを挙げ、アジアゾウの子宮を借りて生ませる方法があるが、
アジアゾウ自身も絶滅危惧種であることから、アプローチを変えてマンモスを育てる人工子宮を開発中というから研究者の猪突猛進な側面は留まるところを知らない。慎重論として「科学者にとって情熱を持つのはとても重要なことだ。一方で、実験台から目を上げ、自分たちの仕事が外の世界にどんな影響を及ぼすかを考える必要もある」という意見は重く響く。
余談だが、別書にてES細胞捏造事件を起こした韓国のファン・ウソクもマンモス復活研究を行っているようだ。
著者は、家族を日本に残しながら単身渡米し、1年間の留学期間での取材による渾身の作品であることには敬意を表したいし、
内容は本フィールドの現状を知るには持って来いだろう。
しかしながら遺伝子操作やゲノム編集に精通するような方にとっては「新鮮味や衝撃は今一つ…」という内容であることは否めない。
- 2021年10月29日に日本でレビュー済みAmazonで購入2020年から遺伝子操作技術業界がやたらと賑やかになった。弾みをつけたのは勿論COVID-19「対策」として採用された各種の遺伝子ワクチンだ。各種データや警鐘を鳴らす世界中の科学者達の警告に目を通している人ならとっくに解っている通り、これは生物兵器としか言い様の無い代物で、既に2021年の春頃には、世界中で展開されているCOVID-19ワクチン接種が人類史上最悪の医原性災害(薬害事件)に発展するであろうことは明白になっていた。この「成功」に勢いを得て製薬業界やバイオテクノロジー業界は飛躍的に収益を伸ばし、特に遺伝子編集技術の可能性は、パンデミック詐欺の首謀組織のひとつである世界経済フォーラムが推進する「第四次産業革命」の目玉となるものとして喧伝され始めた。WHOはヒトゲノム編集についての包括的なレビューの作成に乗り出し、遺伝子操作された蚊の放出は世界各国で既に実際に行われている(ビル・ゲイツは「モスキート週間2021」などと銘打ってこれを宣伝した)。各種遺伝子ワクチンから始まって、遺伝子工学によるあらゆる有機体の書き換えが最早公然と唱えられており、特にデジタル技術との組み合わせにより、これまでに無い大量監視や金融システムの根本的再編の可能性が現実のものとして迫って来る様になった(これは同時進行で進められている気候変動詐欺によるSDGs詐欺でも重要な要素となることが予想される)。
そこで「ヤバい、この分野について勉強せねば!」と思って私が慌てて読んだ文献の中で多少はお薦めなのがこれ。遺伝子編集技術により近年弾みがついた「合成生物学(工学としての生物学)」と云う分野が孕む諸問題について、限定的ながら逃げずに調査を行っていて、「グレート・リセット」の現状を考察する上で参考になる。同テーマを扱った、例えばNHKの似た様なタイトルの『ゲノム編集の衝撃』が、頭にお花畑でも咲いてるのかと思う程能天気な調子で、「あんなことも出来る、こんなことも出来る、わーすごい」と云う、新しいオモチャを得た小学生の様なノリで書かれているのに対し、こちらは同じインタビュー集でも、資金源や倫理的な諸問題、デュアルユースが絡むリスク等について臆せず踏み込んでおり、特に浅くではあるがDARPA(米国防高等研究計画局)との関係に触れている点は、他に類書が少ないので高評価。経済的な諸々のインパクト、合成生物学が社会の仕組みを変える可能性について言及が無いのは残念だが、まぁこの薄い本にあれこれ求め過ぎるのも酷と云うものだろう。「現場の科学者達は実際にどんなノリで研究を進めているのか」を知れるだけでも仲々貴重だ。この分野については早急に世論の関心を喚起せねば危ない気がする。
尚、書かれたのは2017年で、2021年に書き足しが為されているが、不思議なことに著者はCOVID-19ワクチンの実態について何も御存知無い様だ。ワクチンマフィア共のデタラメだらけの宣伝文句を真に受けて、検証した形跡が無い(公式情報を確認しただけでも直ぐ解る嘘なのだけれども)。残念なことだと思う。
- 2021年10月7日に日本でレビュー済みAmazonで購入生物を作れるようになる時代、
遺伝子を操作できることを人間が知って以後
生命まで作っていけるようになるそんな時代
が来たとはただただ驚嘆しております。
- 2019年4月27日に日本でレビュー済みAmazonで購入著者が政治よりな方であったことを購入時に見抜けず。生物の面白さは味わえなかった。