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ゴールデン街コーリング 単行本 – 2018/12/27
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「日本冒険小説協会公認酒場」と銘打ったバー〈マーロウ〉のアルバイト坂本は、本好きが集まるこの店でカウンターに立つ日々を送っていた。北海道の田舎から出てきた坂本にとって、古本屋街を歩き、マーロウで文芸談義できる毎日は充実感をもたらした。一方で、酒に酔った店主・斉藤顕の横暴な言動と酔客の自分勝手な振る舞いには我慢ならない想いも抱えていた。そんなある日、ゴールデン街で放火未遂事件が起こる。親しくしている店の常連「ナベさん」は放火取り締まりのため見回りを始めるが、その矢先、何者かに殺されてしまう。坂本は犯人捜しに立ち上がるが――。若手作家の胎動著しき頃、ゴールデン街がもっともゴールデン街らしかった時代にひりひりする時間を過ごした著者の、最初で最後の自伝的青春小説。
- 本の長さ384ページ
- 言語日本語
- 出版社KADOKAWA
- 発売日2018/12/27
- 寸法13.2 x 2.7 x 19.3 cm
- ISBN-104041070015
- ISBN-13978-4041070017
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商品の説明
著者について
登録情報
- 出版社 : KADOKAWA (2018/12/27)
- 発売日 : 2018/12/27
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 384ページ
- ISBN-10 : 4041070015
- ISBN-13 : 978-4041070017
- 寸法 : 13.2 x 2.7 x 19.3 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 692,282位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 61,476位文芸作品
- カスタマーレビュー:
著者について

1965年北海道生まれ。横浜市立大学卒。96年デビュー作『不夜城』で第18回吉川英治文学新人賞、98年『鎮魂歌』で第51回日本推理作家協会賞、99年『漂流街』で第1回大藪春彦賞受賞(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 約束の地で (ISBN-13: 978-4087465662 )』が刊行された当時に掲載されていたものです)
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カスタマーレビュー
お客様のご意見
お客様はこの本について、生々しい青春描写や自己美化を廃したリアルな青春小説だと評価しています。区役所通りやバブルの頃のゴールデン街を懐かしく描き出す青春物語として高く評価しています。フレッシュでいい絵が読ませてくれると好評です。また、面白さも評価されており、最後まで面白く読めたという声があります。
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お客様はこの小説の青春描写を高く評価しています。淡々とした生々しい青春で、自己美化を廃したリアルな青春物語だと感じています。区役所通りやバブルの頃で泥臭かったゴールデン街を懐かしく描き出す青春物語として好評です。フレッシュでいい絵が読ませてくれると評価されています。
"...でも不思議と引き込まれて一気に読んじゃう。これまでの馳星周作品と違った、淡々としてて、でも生々しい青春。そんな作品でした。 馳星周、青春小説路線続けてみるのもありなんじゃないかと思う。面白かったです。" もっと読む
"面白いよ。 ゴールデン街 歌舞伎町 新大久保 区役所通り 、バブルの頃で今より泥臭かったゴールデン街を懐かしく描き出す青春物語。 フレッシュでいい絵を読ませてくれる。 でもなあ、甘いよ。甘すぎ。 人殺しちまった狂気を軽く書くな。 ボケてんのか?..." もっと読む
"自己美化を廃したリアルな青春小説..." もっと読む
"甘く切ない青春小説..." もっと読む
お客様はこの小説について、面白く読んだと評価しています。ゴールデン街の情景が浮かび、最後まで楽しく読めたという声があります。
"...私も馳氏とほぼ同世代ですが、あの時代の空気が懐かしく感じられて、最後まで面白く読むことができました。 作中には「本の雑誌」とその編集者が重要な役割で出てきますが、そういえば椎名誠のサラリーマン小説(「新橋烏森口青春編」など)のような匂いもありますね。..." もっと読む
"...そんな作品でした。 馳星周、青春小説路線続けてみるのもありなんじゃないかと思う。面白かったです。" もっと読む
"面白いよ。 ゴールデン街 歌舞伎町 新大久保 区役所通り 、バブルの頃で今より泥臭かったゴールデン街を懐かしく描き出す青春物語。 フレッシュでいい絵を読ませてくれる。 でもなあ、甘いよ。甘すぎ。 人殺しちまった狂気を軽く書くな。 ボケてんのか?..." もっと読む
"面白かった。ゴールデン街の情景が浮かびます。..." もっと読む
上位レビュー、対象国: 日本
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- 2019年1月30日に日本でレビュー済みAmazonで購入内藤陳の店「深夜プラス1」で若き日の馳星周がアルバイトをしていたというのは、どうやらよく知られたこと事実のようですね。その実話をベースに馳星周が書いた青春小説がこの「ゴールデン街コーリング」です。
成功者が自分の青年時代を振り返った文章にありがちな自己美化が希薄で、バイト先の主人である斉藤顕(=内藤陳)やゴールデン街の愛すべき人たちの弱さ、ダメっぷり、そして主人公=自分自身のある種の冷酷さも遠慮なく描いているところがリアルです。
私も馳氏とほぼ同世代ですが、あの時代の空気が懐かしく感じられて、最後まで面白く読むことができました。
作中には「本の雑誌」とその編集者が重要な役割で出てきますが、そういえば椎名誠のサラリーマン小説(「新橋烏森口青春編」など)のような匂いもありますね。
馳ファンでなくとも楽しめる作品だと思います。
- 2019年4月15日に日本でレビュー済みバブル前夜の1985年。場所は新宿ゴールデン街。そこは2000坪ほどの狭小エリア。マッチ箱を並べたような木造長屋建ての飲食店200店舗余りがひしめきあい、当時、東京におけるサブカルチャーやアングラの発信地のひとつでもあった。
そんな猥雑な一角にあった日本冒険小説協会公認酒場と銘打たれた「マーロウ」。連日朝方まで活字好きのサラリーマンや学生がグラスを傾けながらハードボイルド小説や冒険小説をネタに口角泡を飛ばしていた…。
主人公の坂本はそのバー働くバイト学生。無類の活字好きゆえ、現役の作家が集う店と知り憧れて入店。最大の誤算はマスター 斉藤顕の連夜の泥酔。酔えば人格は崩壊し、横暴かつ理不尽な言動は容赦なく、常に酩酊度を横目で見ながらの接客。この愛憎相半ばするふたりの関係を中心に、地上屋が影がちらつくバブル前夜のわずか200m四方で巻き起こるゴールデン街の熱狂を、著者の得手とするディテクティブなネタも絡め、当時酒場の常連だった船戸与一・志水辰夫・北方謙三に北上次郎(目黒考二)、立川談志も実名で登場するリアル感ありありの青春小説。
新宿で飲んだことは数回あるけど、ゴールデン街は未踏のエリア。その街をよく知らない者が読んでも、盛り場特有の路地に漂う小便臭さと吐瀉物の臭いが鼻先をかすめてくる。また、当時の空気を知る者にとっては、バブルへ突入していく手前の80年代半ば–皆が中流であることを信じて疑わなかった鷹揚な時代–の情景も浮かび上がってくる。
本書に登場する、バイト学生 坂本は著者の馳星周で作家としてデビューする、はるか以前の本名 坂東齢人(共産党員の父でウラジーミル・レーニンから名前を拝借)のことであり、バー「マーロウ」は著者が横浜市大時代、新宿ゴールデン街にあるコメディアン内藤陳が経営する酒場「深夜+1」のこと。
1985年の夏に実際に起こった出来事に、フィクショナルな要素を絶妙な配合で溶け込ませた自伝的青春小説。アラフィフからビッグフィフティにとって、懐かしさ溢れる一冊!
- 2019年4月29日に日本でレビュー済みAmazonで購入ほぼ同じ世代だが新宿ゴールデン街とは無縁だった。けれども「バイト小僧」「読書」「映画」「(ほとんど行かない)大学」「下宿」「安酒場」など同時代的背景の「匂い」がふんだんに感じられてあの頃にタイムスリップしたようだ。
作者お得意の「クライム」「ノワール」「極悪人」とは無縁で、基本的には善良なのだが酒や金で身を持ち崩しそうでギリギリこちら側にいる登場人物に軽く感情移入できるかどうかがこの小説に対する評価につながると思う。
「『幻魔(大戦)』以降の平井和正は別人なのだ。」は激しく同意。そんなことまで思い出させてくれたうえに、この作者らしからぬ「極甘のハッピーエンド」もむしろ気持ちがよかった。
- 2019年1月16日に日本でレビュー済みAmazonで購入馳星周の書く青春小説。
馳星周が新宿を舞台にした小説を書くのに、中国人もヤクザも出てこない。頭の中でサイレンが鳴り響いたりもしない。ゴールデン街でお酒飲んで、つまみおごってもらって、二日酔いになってまたお酒飲む話。
でも不思議と引き込まれて一気に読んじゃう。これまでの馳星周作品と違った、淡々としてて、でも生々しい青春。そんな作品でした。
馳星周、青春小説路線続けてみるのもありなんじゃないかと思う。面白かったです。
- 2019年2月2日に日本でレビュー済み同世代だけど初めて馳さんの小説読んだ。かなり丁寧な文章なんですね。その分、文体自体に味がないかな。テーマで勝負ということだと書く内容によっては評価が凸凹しそう。Amazonの評価もそんなカンジ。この小説は「ロードムービー」みたいに時系列にそってエピソードが並んでいるので、そういう意味で読み易かった。
今みたいにWebで情報収集もできない時代に、ゴールデン街で飲むようになる、バイトをするようになるというのは何かしらの「のっぴきならない」理由が必要。馳さんは「スカウトされた」ようなもんだね。僕自身は離婚をキッカケにして人に紹介され、ここに書かれている時代の20年後位から10年位通った。その頃でも初めての店では「飲ませてもらっていいですか?」と仁義を切ってから入ってた。ましてやこの頃。一見さんお断りの店も多かったろうし、癖のある人がたくさんいたと思う。読んでて地理関係や老舗の名物ママ、雰囲気などは昔通っていた分、手に取るようにわかるので楽しかったww。登場人物もほぼ実名で出てくるのでそういうのもリアルで愉しかった。
僕が通っていた頃にも詐欺で捕まるマスターとか、死んでしまった常連とかの話とかいろいろあった。あの頃からさらにゴールデン街は変わった。馳さんも書いているけど外人の多さ。それと女性や若者が入り易い店が増えたこと、飲食できる店も増えたな。凪(ラーメン)なんて飲み屋が片手間にやってたのが、あそこまで大きくなった。小説にはあんまり書いてなかったから、簡単にシステムを説明しておくと 1,500円(ないし2,000円)でチャージ&1杯&簡単なツマミというのが多い。以降は1ショット500円程度がプラスされる。なので2杯飲んで帰れば2,000円(もしくは2,500円)。例外的にボトルが入れられる店があって、その場合は2,000円で簡単なツマミがつく(ボトル代別途)てなのが多い。外人はチャージ料の概念が乏しくもめることが多いのでチャージ料なしのところに集っている。そういう店は英語を話せるスタッフを置いていることが多い。 ゴールデン街は7時くらいからやってるけど、割と本格的にエンジンがかかるのが遅くて21時過ぎてからから終電あたりまでがコアタイム。面白そうな客は深夜帯に多いので金曜夜とかにハシゴ覚悟で徹夜で飲むのがオススメ。そういう遊び方をするので、いいとこ40歳代までかな。年とってキツくなって離れていく人が多い。
デフレが続いてみんな安いところでしか飲まなくなってしまったけど、ゴールデン街は決して安くはない。それに店をハシゴするのが醍醐味だったりするので、もろもろ含め1万/晩・・位使わないとあんまり楽しめないかも。それだけ使っても価値を持てる人が通い、時間が経つと離れていく街だと思う。
エピローグで馳さんが入店を断られたのには笑った。内藤さんが「来ても入れるなよ」と言い残しておいたわけではないだろうけどww。
- 2019年6月24日に日本でレビュー済み1985年、新宿ゴールデン街の<マーロウ>で学生アルバイトの坂本俊彦は働いていた。店主の斎藤顕はコメディアンであると同時にハードボイルドや冒険小説の書評家としても名の知られた存在だ。北海道の高校生だったころからミステリ小説と映画が好きだった坂本にとって顕さんは憧れの存在だったが、顕さんは飲むと手がつけられなくなる酒乱でもあった。上京できたばかりのころに懐いていた「喜びと興奮が倦怠にとって代わられる」ころ、ゴールデン街で不審火が続き、やがて死者が出る…。
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作家・馳星周氏自身の自伝的青春小説です。主人公・坂本俊彦は作者自身の本名に由来しますし、<マーロウ>の店主・斎藤顕とは<深夜プラス1>の内藤陳氏のことでしょう。
私は1980年代後半に、当時住んでいた四国から出張で上京した折、女性の先輩に<深夜プラス1>に連れて行ってもらったことがあります。ケンタッキー・バーボン「フォアローゼズ」の味を覚えたのはこの店でのことです。店主の内藤氏と早川書房の編集者だと称する人たちが歓談していたのを、私はフォアローゼズを飲みながら少し離れて眺めていました。作家ディック・フランシスが来日するだか、しただかで、客が皆興奮したことを覚えています。フランシスの来日は1988年ですから、私が<深夜プラス1>に行ったのはそのころだということでしょう。
そんな自分自身のあの思い出を探す気分でこの小説を手にしました。
この『ゴールデン街コーリング』は、まだ20代の学生である坂本が一人称で語る幼い文体で綴られます。文章の青臭さは故意に作られたものでしょう。登場人物のどいつもこいつも飲んだくれてばかりのでたらめさ加減にはどこか懐かしさを感じさせます。
そんな青春の日々の中で坂本はゴールデン街や新宿の住人たちから箴言ともいえる言葉の贈り物をもらうのです。
「いずれ、親のありがたみがわかるときが来ます。それまでは自由気ままにやっていればいいんです」(202頁/バー<黄昏>のバーテンダー武田さん)
「大人になると、惨めで苦しくなるような恋なんてできなくなる。どれだけ惨めでも、どれだけ苦しくても、それは素敵なことなんですよ」(206頁/同じく武田さん)
「毎日うだるように暑いし、腹が立つことが続くし、だから、この街が嫌になる。でも、明日、なにか楽しいことが起こったら、嫌だったことも忘れちゃう。そうやって人生は続いていくんだよ」(218頁/バー<リリー>の店主リリー)
「ゆるしてあげなさい。息子もいつかだれかにゆるしてもらうときがくるんだから」(334頁/六本木の文壇バー<ペルソー>のママ佳子)
こうした言葉のひとつひとつが、人生のままならさを鋭く突いていて、坂本のみならず、同じような思いをかかえた経験がある私の胸にも迫ってきます。
放火と殺人事件の真相は、ハードボイルド小説風の派手さはありません。謎解きを求めるのが本来の趣旨ではないのですから、そのことに不満を覚えることはありませんでした。
携帯電話もない80年代の新宿の空気を、若い主人公の目を通して眺めるのは大変楽しい経験でした。
.
- 2019年6月15日に日本でレビュー済み酒なしでは生きられない住人たちの巣窟、新宿ゴールデン街が舞台である。
作中にでてくるイギリスのパンクロックバンド THE CRASH 「London Calling」
にちなんでの「ゴールデン街コーリング」。
若き日の馳先生の人物模様をかいまみる楽しさに引き込まれ、そのルーツである新宿ゴールデン街で、愛すべき飲んだくれ達に育てられ憤った、ほろ苦い青春の一コマのなかにずっといたいと感じる。
ミステリー要素もあるが、あくまでストーリーの体裁を整える程度のものでしかなく、
おそらく著者もここに主眼をおいてはいないのであろう。
読み応えある箇所は、やはりキャラクター作り、人物を表現する魔術的な描写力である。
本作は馳作品を代表するクライムノベルではない。
昨今、ゴールデン街の住人は代替わりで、おしゃれ気取りの若者が店主とな
て、来る客は外国人の旅行者か怖いもの見たさのエクスプローラー。
そんな様子を遠望した著者が、今の街を否定する訳ではないが、オレにも一言いわせろっ!ってシガーを咥えながら書き綴った物語。
こんなゴールデン街もあったんだぜって!