最後のムスリム国家イラク旅③ーシェアタクに乗せてくれない!ー | Travel is Trouble 109カ国目
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Travel is Trouble 109カ国目

トラブルに塗れた旅行記
目指すはバックパッカー逆バイブル
反面教師で最高の旅を!
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戦争の爪痕残るモスル
シェアタクに乗せてくれないアルビル
100IQD=約10円 ※各詳細情報は文末

バグダッドでは外食で腹を下したこともあって5日間もワリードの家にお世話になった。シリアから来てバグダッドを一緒に観光したKota君も3日間ワリードの家に滞在した後、クウェートに向かって南下。私はシェアタクシーでモスルへ向かった。

モスルは2014年6月、ISによって占拠された街。あれから9年も経過したというのに、その当時の爪痕が街の至る所で見られる。驚いたことに崩壊寸前の建物の直ぐ側を歩いていたり、露店を営んでいたりする住民達

当時の空爆に比べたら屁の河童なのだろう。

街を歩いていると爺さんグループみ話しかけられた。よほど観光客が珍しかったのだろうか、私を物珍しそうに見ている。IS占領の際など、かなり怖い思いをしがのではないかと質問してみると
「隣の家は空襲で崩れた。だけどここは私の家。出ていこうとは思わなかったし、怖いと思ったことはない」
なぬぅ!
そんな訳あるのか!? 隣の家が被害に遭っても怖くないってどゆことなの!? そんなことを言いながらニヤニヤと笑顔の爺さん達。何だこの温度差は一体。周辺の家は今でも崩壊している状態で当時の悲惨さがありありと目に浮かぶというのに。まさか…当時の悲しい思い出を和やかな雰囲気を作り出すことで封じ込めているのではないか。だとしたらもはやこれ以上何か聞こうと思っても果たして本当に本心が返ってくるのか? そう思って話を切り上げてしまった。

クルド人自治区の首都・アルビル

モスルからアルビルにシェアタクシーで向かった。クルド人自治区に入るためのチェックポイントを通過してまもなく、目を疑う光景が。一人の兵士がイラク・バグダッド方面に向かって何かを構えている。
ロケットランチャーだぁ!!!
バイオハザードマニアの私からするとこれは興奮物。あのどんな敵でも一撃で倒すロケットランチャーをこんな所で拝めるとは! 本当は写真も撮りたかったが逮捕の恐れがあるので敢え無く断念したのだった。

アルビルは大都会。イラクの中では比較的安全であることや、アルビルのみに入る場合はビザ代が無料のためか、多くの観光客が見受けられた。あまりに都会だったため、観光欲が削がれた感は否めなかった。特にクルド人自治区はあまり親切さを感じられない。やはり観光地化された場所ではいちいち観光客に親切にしているといずれパンクしてしまうからでしょう。やはりいまだに観光地化がしっかりと進んでいないアフガンやイラクなどが異常に親切なだけなのだろう。

シェアタクシーに乗せてくれない問題!

アルビルからバグダッドへシェアタクシーで向かう。距離的にはバグダッドからモスルとほとんど変わらないのだが、価格は10万IQD高い30万IQDだという。ハイエースに乗せてくれればもっと安くなるはずなのに、乗用車のタクシーにしか乗せられないというのである。だったらいいわとヒッチハイクでバグダッドを目指すことに決めた。
一向に車は止まらない。1時間程度経過したらようやく1台の車が止まった。行き先はバグダッドまで半分の距離にも満たないキルクーク。運転手の家は中途半端な所だったため、バスターミナルまで約1時間半歩くことに決めた。
ようやく到着したかと思ったら、そこは既に使用されていないバスターミナル。人に聞きまくって行ったり来たりしているうちに3時間以上も時間は経過してしまったが、遂にバスターミナルを発見できた。そしてアルビルでもそうだったが一番大きいハイエースには絶対に乗せてくれない
「外国人なんだから小さいので高い金払え」
という魂胆なのだろうか。挙句の果てに
「お前は一人でバグダッド行け」
だと言うではないか。なぜか理由を聞いても全く教えてくれない。とりあえず疲れた。
水を買いに商店へ。店から出ようとするととある若者に通せんぼされた。なんでこうも1日ついてないのにお前に通せんぼされなきゃいけないんだ馬鹿野郎! 怒りがこみ上げ、軽く揉み合いになった。するとその若者が水戸黄門の印籠かのように取り出した物。
警察手帳やんけ!
終わった…。公務執行妨害で捕まっても文句は言えない。こっから取り調べが始まった事は言うまでもない。
「なぜイラクに来たのか」
「なぜキルクークにいるのか」
など、殺されてディナーにされる豚かのように観念して徒然と話した。すると
「今からシェアタクシーでバグダッドに戻るから乗っていきなさい」
なんという警察なのだ!
公務執行妨害で逮捕されると思った所で全く真逆の結果。
「困っている人を助けてあげたい」
そんな警察の鏡のような若者にMVPを差し上げたい。しかも家に宿泊しに来なさいと有り難いオファーまで。残念ながらワリードの家に戻ることにしていたので叶わなかったが、極寒の中で入る露天風呂のように、地獄からの天国を味わえたことで感じる恍惚感は凄まじかった。
因みに彼によると、バグダッドに向かう途中のチェックポイントで外国人が乗車していると長時間待たされるという。しかしいざチェックポイントに到着すると警察の力であっという間にパスできた。何という権力なのだ!
アルビルとバグダッド間のルートはチェックポイントが多く、道路状況もかなり悪い。これなら面倒だけどモスルに6000IQDで戻って20000IQDでバグダッド行った方が圧倒的に早いし安い
。バグダッドからモスルに行く際、チェックポイントは一回もなかった。
この日は朝9時にアルビルを出発。終わってみればバグダッド到着したのは23時。普通に行ってれば14時に到着しているはずだったというのに。予定通り進まないのが旅の醍醐味であるとはいうが、また同じような目に遭いたいとは一切思わない。

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イラク情報
・バグダッド→モスル=バスターミナル(Allawi Northern)からシェアタクシー(GMC)20000IQD。入口付近の黄色いシェアタクだと25000IQD
・モスルでは降車場所(36.3107488, 43.1158504)大通り(36.3166134, 43.1107552)まで歩くと中心街行きのバスに乗車可能(500D)
・モスルは配車アプリ使用不可
・アルビル安宿(36.1886521, 44.0102320)プライベートルーム15000D
・Geli Ali Bag Waterfall行き方(Erbil Terminalからシェアタクシー6000DでSoran行き途中下車)