Yside















チャンミンが悲しい表情で俺の家から出ていったから、俺は何かチャンミンの気に障るようなことを言ってしまったのだろうか。




記憶を巻き戻しても思い当たることがない。

ふとダイニングテーブルに視線を移すと一枚の紙が半分に折られて置いてあった。



『何だ?あの紙…』


恐る恐る開くとそこには、
想像の斜め上の内容で自分の目を疑った。





『妊娠届出書……?』




まさか、
一瞬チャンミンが誰かの父親になったのかと嫌なことを想像してしまった。
しかしそこには



妊婦氏名の妊婦を二重線で消し、
妊夫氏名と上から書かれていた。


そしてそこには

チャンミンの名前が書いてあった。





信じられない…
こんな奇跡あっていいのだろうか。




急いでチャンミンを追いかけた。
















そこでチャンミンの口から本当に妊娠をしたこと、
俺の子であることを告げられ俺の幸せは最高潮になった。
チャンミンと付き合えたこと自体が奇跡なのに…
チャンミンのご両親に交際を認めてもらえたことだって奇跡だった。

それに加えて、
チャンミンが俺の子を妊娠…


奇跡以外に言葉が見つからない!








『チャンミンも赤ちゃんも俺が守るから』


この言葉に嘘偽りはない。
















それから俺たちはチャンミンのご両親に挨拶に行った。
もともと同棲の許可をいただくために日程を合わしていたからそこは何楽クリア。

そこでチャンミンが妊娠のことを伝えると、ご両親は開いた口が塞がらない状態。


分かる。
めちゃくちゃ分かる。





『チャンミンさんとの婚姻を認めていただけますでしょうか』

"あら……ねぇあなたこれって娘さんをくださいってやつ?"キャッキャッ

"母さん…少し黙ってて。
ユンホくんチャンミンはまた22歳だ。これから就職をして楽しいことが待っている歳なんだよ。それを子ども…しかも世間からの視線もあるだろう"

『チャンミンも子どもも私が守ります』

"簡単なことじゃないよ"

『存じています』

"チャンミンだって就職はどうする?内定をもらっていたじゃないか"

「辞退するよ」

"就職難だというのに……"

「就職は子どもが大きくなってからでもできる。でも子どもは今しかないんだよ」

"大学は?卒業まで3ヶ月切ったぞ?"

「大学は卒業します。
お父さんとお母さんが行かせてくれた大学だから、必ず卒業はします」

"チャンミン…"

「僕のお腹の中にはもう赤ちゃんがいるんだよ?奇跡だと思わない?」

"奇跡…そんな綺麗事を"

『綺麗事では駄目ですか?
勿論大変なことなのはわかります。常識から外れていることもわかります。でも、この奇跡を大切にしたい…私はそう思っています』

"あなた…"

「お父さん…僕たちを認めてください」

『お願いします』






俺は土下座をした。











"チャンミンは平和主義だが頑固だ"

「へ?」

"あと、食費は馬鹿にならないぞ?"

「お父さん…?」

"あと、妊娠中は酒は禁止!"

「お父さん……それって…認めてくれるの?」

"命に罪はないからな"

「ありがとう!!」

『ありがとうございます!!!!』

"あらやだ〜男の子かしら、女の子かしら?楽しみね〜"

「気が早いよお母さんw」

『本当にありがとうございます!!!』






そうして無事に認めてもらえチャンミンは予定より早く俺との同棲を始めた。
と言っても俺の家にほとんど身一つで済んだけど。


本当は大学を卒業してからと予定していたけど、チャンミンの身体の事を考えたら動けるうちに動いておこうと。



















Cside










"しかし本当にその腹の中に子どもが?"

「そうだよ。しつこいよキュヒョン」

"簡単に信じる方がおかしいだろ"

「そうかもしれないけど、エコー写真だって見せただろ?」

"まぁ……な"

「お酒だって絶っているんだから」

"でもさ、全然お腹出てねーじゃん"

「まだ16週だから。もうすぐ出てくるんじゃない?」

"そんなもんなんだ"

「僕もネット情報だけど」

"ふーん"





親友のキュヒョンには妊娠をしたことを話した。
もともとユノヒョンとの関係も知っていたし、何より僕の生活に理解者が必要だったから。


"まさかあのユノヒョンとの子とはねぇ"

「あのって何だよ?」

"いや〜カフェで告られた時ものすっごく酷く振ってたのに、今じゃあラブラブなんてな"

「……そりゃあ男に告白されたら断るのが普通だろ?」

"なのに、しつこく告られたら友達からなら…って健全すぎるだろ?!"

「だって!毎日カフェに来て毎日告白されたんだよ?」

"最後の方はチャンミンもその気だったのに、泳がせてたように見えたけどw"

「なっ?!!」

『なになに?楽しそうな話してんじゃん?』

「ユノヒョン!!」

"お疲れっすユノヒョン"

『あんまりチャンミンを揶揄るなよ?』

"揶揄ってないっすよ。事実を話してるだけなんで"ニヤリ

「!!!!!」

『そ?じゃあ後でチャンミンに確認しないとだな』

「ユノヒョン!!!!」

『あーはーはー』

「もう……」

"じゃ、ユノヒョンも来たことだし身重なお前は帰りな?"

「わかってるよ」

『キュヒョンいつもありがとな?』

"いーえ。じゃあな〜"

「また学校で〜」







キュヒョンとは大学がある日はユノヒョンが仕事を終えるまで一緒にいてもらっている。


ユノヒョンが僕がひとりで家にいるのが心配だってことでキュヒョンにお願いをしていた。

お腹だって大きくないし、
悪阻という悪阻もない。


心配しすぎなんだよね〜






でも、キュヒョンもやれやれ…って言いながらも結局は僕と過ごしてくれている。
案外ユノヒョン同様に心配性かもな。
まぁ有り難いけど。






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