Yside












"王様、マスコミは追い払いましたので"

『……あぁ、ありがとう』

"あれ?チャンミンじゃないか!"

「お久しぶりですウニョクさん」

『ウニョク知り合いか?』

"勿論です。共に武道に励んだ仲ですから"

『そうか』

"あ、もしかしてチャンミンが王様のボディーガードを?"

「はい。ただ私はボディーガードというより執事を主にと仰せつかりました。
武術はあまり……得意ではないので」

"そう?俺と同じぐらいじゃなかったか?"

「…………あまり人を殴ったりは気が進まなくて…あ、でも王様のことは誠心誠意お守りいたしますので!」

『え?あぁ、ありがとう』

"チャンミンは変わってないなー"

「え?」

"昔っから王様のこと……"

「ウニョクさん!!」



……ん?何?昔から俺のこと……?



"駄目なのか?"

「駄目です!」

"ふ〜ん。王様、チャンミンはいい奴なので私からもチャンミンをお側に置くことをお許しください"

「お願いします」ペコリ

『えっと、別に俺に権限とか無いから。
ウニョクも、えっと…チャンミン?もよろしくね』

「ありがとうございます……///」




ん?なんかチャンミン顔が真っ赤になってるけど。
大丈夫か?熱があるとか?風邪気味?



『体調悪いなら俺のことは大丈夫だからゆっくり休んでいいからな』

「体調悪い…?私がですか?」

『あれ?違ったか?なんか顔が真っ赤だったから、風邪とかなのかと思ったんだけど』

「!!!!あ、いえ!!これはっ!
おおおおッ心遣い大変ありがたく存じます!!」

『大丈夫ならいいんだけど。
あとチャンミンもせめて学校では敬語はやめて、クラスメイトなんだから』

「……………………努力します」













はぁ。
やっぱり学校で2人から見張られてるって思うとなんだか気が休まらない。
今までは気楽なウニョクだけだったけど、
そのウニョクもなんか、俺が王になった途端に態度が違う。

チャンミンについては情報が無さすぎる。
ウニョクとは仲が良いみたいだが、
ちょっと真面目というか、
気難しい雰囲気がある。






仲良くなれたらまだ良いのかもしれないけど、



どうしたって相手が俺を"王"として接するから難しいよな……。





















『こんな量の資料に目を通すの?!』

"目を通すではなく、きちんと理解をしていただきます"

『まじかよ……』ゲッソリ




週末。
俺は親父に王としての知識や、立ち振る舞いなどを教わる時間となった。


平日は勉学に励むことが最優先と言われ、
週末は親父や今まで顔は知っていたが関わったことのない執事達に、
みっっっちり叩き込まれた。


朝から晩まで。





王としての立ち振る舞い、
例えば作法や話し方、姿勢や視線など、
今まで意識したことなど無かったことを
徹底的に叩き込まれた。



辛かったのは知識。
ドサッと目の前に資料を渡される。




『なにこれ?』

"東方の國の政治資料です"

『政治資料?』

"国会で議論になりうる情報や、
現在議論になっていること、またそれらに付随する資料、そして他国の政治資料などがございます"

『…………これを目を通せ……と?』

"読み込み理解していただきます"

『………本気?』

"王は常に東方の國の状態を理解し、
他国との関わりを考えなければなりません"

『………親父は政治家に任せてたよな?』

"いいえ、常に資料を読み込みご意見があれば国会へ文書を提出されていました"

『嘘だろ……そんなのニュースとかで見たことねぇけど』

"ニュースでは政治家の判断だと報じておりましたので"

『まじかよ…』





10代の俺が政治に口を出すっていうのか?
ありえねぇだろ。


くそっ!
ウニョクの奴、親父は政治に口を出してないって言ってたけど嘘じゃねーか!
騙された!?
いや…それかウニョクも真実を知らなかったってことか…?

それほど親父はコツコツと王としての職務を果たしていたってこと……なのかも知れない。









『頭痛い……』

「お薬をお持ちしましょうか?」

『いや、ちょっと横になれば大丈夫だと思う』

「作用でございますか。
では何がございましたらお声がけ下さい」

『………………うん』

「………………………」

『…………ってチャンミンはずっと俺の部屋にいんの?』

「そういう職務ですので…」

『…………ハァァァァァ』




今まで学校の授業で学ぶ社会とか世界史は別に嫌いじゃなかった。
でも政治はまじで無理!
頭に全然入んねぇ!!


5時間みっちり資料を見たせいで頭がガンガンするから、俺はベッドに横になり目を閉じた。














「………王様?王様?」

『ん、……………ッ痛っ!』

「お気分はいかがですか?」

『あーーまだ頭痛いかな』

「入浴のご準備ができましたので、
ゆっくにお湯にお浸かり下さい。
きっと良くなるかと」

『ありがとう。
じゃあ入ってくるよ。てかもうそんな時間…?』

「23時でございます」

『げっ!』





まじかよ。4時間も寝てんじゃん!
って言っても今日は土曜日だし、
ちょっとぐらい不規則になってもいっか。



そう思いながら、部屋の中にある浴室の隣りにある洗面所で服を脱ぎ、
パンツに手を掛けたその時




『あっ!!』


やっべ〜見たかったドラマが今日から始まるんだった!
すっかり忘れてた。
録画もしてねぇよ。どっかのサイトで見逃し配信してないかなぁ。






バンッ!!!!!!





「いかがなさいましたか?!!!!?」




『ん?』

「へっ!!?!」

『あ、なんも無いよ。ちょっと思い出して声を上げただけだから』

「……さ、さささっ作用でございますか!では私は下がります。シシシッ失礼しましたぁぁ!!!」



バンッ




『……………なんかごめんなー?』

「……………」

『大丈夫ー?』

「大丈夫です!!」

『そ?じゃあ俺は風呂入るね〜』





俺が大きな声をあげてしまったばっかりに、護衛としてまっさきに来てくれたチャンミン。


扉越しに謝ったけど、
俺の目も見ずに洗面所から出ていったチャンミンに、
あー怒らせたかも?なんてちょっと申し訳なくなった。






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