沢山の枝の様な雲です。




えっ?

なにっ?



ほら〜!やっぱり時間は考えた方が
 
いいわよ?もう少し後だったら、

寝室に忍び込んで覗く趣味の悪者で

斬られてたかもしれないわ?


うっ、ま、まあ…そうだな。

驚かせてすいません。


あーーっ!とおしゃま!うわぁ〜ん!


ど、どうした?レン?


いっぱいかあしゃまがいたいいたい。


ちょっと、待ってられるか?

まずは、父さまと母さまとレンの事を

話さないと。


ひっく、ひっく…あい…。


ど、どういう事でしょうか?


あっ!その指輪ですね?

レンがとても気にしてたんです。

俺達は、違う枝のヨンとウンスです。

異世界?と言えば?


パラレルワールドですか?


そうなの。他にも沢山の枝があって、

違う私達が沢山いるのよ?

どうして、私達がそうなっているのか?

まだ良くわからないけど、

それぞれの世界の私達は、必ず

一緒になって、幸せに暮らしているの。

あら?妊娠したの?双子でしょ?


あっ、はい。


目をまん丸くさせる二人。


雷攻が強くなりましたか?


は、はい。この指輪を合わせたら、

今、物凄く光って…


ん?今迄と少し違うパターンですね?


違うパターンって?どういう事ですか?


俺はウンスを六年待ちました。


えっ?


それから、二人の今迄の事、他の二人

の事を話した。


つまり…その…師匠があの時死んで、

メヒが後を追って、俺が、死んだように

生きていたと言う事ですか?


そうです!しかし、ウンスを帰せなく

なり、状況が変わったのです。


うちは、逆なんです。


はい?


師匠もメヒも生きてます。


こちらのヨンが今迄の事を話した。


では…ウンスさんに傷をつけたと?


は、はい…。


私がそうしたんです。


わかるわ!目の前で両親がトラックに

はねられたのなら、酷い状態だったでしょ?


はい…両親とはわからないくらい…

内臓も…飛び出して…

私が呼び止めたせいで…

死にたくて…ヨンの鬼剣で

わざと斬られました。


だからか?レン?


しょです…ひっく…

レン…なおしましゅ。


ウンスの所へ行くと、右腕を

小さな手でめくって、白く綺麗な

腕についた大きな傷を両手で

包むように触っていった。


なに?暖かいわ?

淡い光りに包まれていた。


こ、これは?


レンには、特別な内攻があるんです。

それも、沢山の。


レンは、頑張った!

少しずつ丁寧に傷を包み、

消していった。


誰が縫ったの?


あっ、私とチャン侍医が、ウンスが

王妃の首を縫ったのを見様見真似で…


流石ね。これだけの傷なら、

出血も多かっただろうし、神経も?


はい…りはびりと温泉で、だいぶ

動くようにはなりましたが…。


えっ?えっ?見て?ヨン?

傷が消えたし、手も動くわ。


ま、まじか?


レンは、お腹にも胸にも手をあてた。


もう…だいじょぶ…

とおしゃま…レン…がんばりました…


そうか。偉いな。おいで。

よたよたと行くと倒れ込んだ。


レンちゃん!!


大丈夫です。内攻を使い果たした

のでしょう。俺が気を分けるので。

と懐の中に入れた。

レンは、気がかりだったのでしょう。

だから、此処に着きました。


あの光りは?

天門とは、違う門です。

いいですか?天門は、二度と潜らないで

下さい!


離れ離れになると言う事ですね?

四年、六年も待つとは、想像も

つきません。いっときだって、

離れていたくないのに…。


だからかもしれません。

他の枝では、俺が門を開きます。

鬼剣だったり、小刀だったり、この櫛

だったり、チュホンだったり、様々です。

しかし…此処では、二人の指輪で、

門が開くようです。


どうすれば?


ただ、二人で強く願うだけです。


あの…レンちゃんは、大丈夫ですか?


ただ眠っているだけです。

気が満ちれば起きますよ。

しかし、かなりの内攻を使ったようです。

ウンスさんの心の傷も軽くなったでしょ?

お産も軽く済むはずです。


うちもね、双子が居るのよ?


えっ?


お昼寝してたから、みんなに頼んで

此処に来たの。

そのまま、ギュッとヨンに抱きついて、

レンに言葉をかけた。


レン?偉かったわね。

父さまも母さまもレンが大好きよ!


しょですか…レンわぁ、まにゃむしゅこ?


そうよ!ロンとランが居ても、

レンはレンよ?もう少し眠りなさい。


あい…


自分達で開いた門は、時が変わりません。


何処にでも行けるのですか?


そうです。


じゃあ…オンマとアッパに会う前に

行けますか?


行けますが、此処に帰ってこない

つもりですか?


違います!ただ、生きてるだけで

いいと…。


う〜ん。教授になったお祝いを

したんでしょ?


はい。




自分達が開いた門なら、可能よ!

天門を潜って、高麗に連れて行かれる

三日前に戻ったウンスさんもいたの。


えっ?その方は?


勿論、ヨンさんが来る事もわかって

いたけど、ヨンさんは、何も憶えて

いなかったのよ。でも、先手先手と

やり返してるうちに、ヨンさんは、

思いだしたの。

コエックスから?


いえ、あの日、コエックスで、

美容外科の学会があるとか聞いてましたが

私は、心臓外科医です。

あんな事があって、ただ、街を

彷徨っていたら、倒れた男性が居て、

蘇生処置をしてました。

其処でヨンと会いました。


だったら、それが無くなる可能性が
 
大きいわ。

二人は出会わなかったと言う事よ。

其処の世界はそれで終わって、

一緒に天門を開けたヨンさんも

消える可能性があると言うことよ。

もしかしたら、無事に帰ってこれる

かもしれないけど、向こうの世界は、

全く別世界になるのよ。

ご両親を取るか?ヨンさんか?


ですよね。欲張り過ぎました。

両親を助けるのに戻ったら、未来も

変わると言う事ですね。

だったら、ヨンと産まれて来る

子供達の事を考えます!


それが、ベストよ!

両親が亡くなった事は、悲しくて、

やり切れない気持ちだって、わかるわ。

でも、今はそれを乗り越えてヨンさんと

一緒になったんでしょ?


はい!両親は此処にいます!

ネックレスを握った。


あら?それは…私が100年前に

持って行ったネックレスだわ。


オンマとアッパに貰いました。

ヨンが、ご両親が見守っているって。


そうよね。大事な物なのに、

私は…100年前に置いてきちゃった…。


そうする必要があったのですね?


本当に色々な私達がいて、ビックリよ。

ねっ?ヨン?


ああ、出会いや過ごし方が違っても

俺達は一緒になる運命なのだと、

また、思いしらされたな?

これから、元の勢いが増します。

双城総管府も鴨緑江も雷攻で

壊滅させました。

紅巾の乱もありますが、

国境を吹き飛ばすと良いでしょう。

山道から、高麗に入れる道も。

それが、ウンスを守る方法です。

キチョルは?


あっ、今は嫁探しで忙しいとか?


は?


王と賭けをしているそうです。

正室を迎え、嫡男が産まれたら、

その子を王にしてやると。

王妃が先に跡継ぎを産んだら、

王の勝ちとか言ってました。


面白い事をやってるのね。

あっ、徳興君には気を付けてね。

他の私達は、二度も毒にやられたわ。

そうそう、これ、預かってきたわ。


抗生剤と注射器ですね。

徳興君って、誰ですか?


王の叔父よ!

一度目は、無五毒にやられ、

二度目は、飛虫の毒よ?


飛虫とは、解毒できないのでは?


綠蛛毒を千倍に薄めて飲んで、

助かったの。


猛毒じゃないですか!


毒を以て毒を制したのよ。

でも、この抗生剤があれば、大丈夫よ。

だけど、此処は、何か別の世界みたい

だから、いつも二人で居たら、大丈夫よ。


あっ、チュソクとチャン侍医とトルベは

守ってやって下さい。

俺は三人を守れなかった。

色々な俺達がそれぞれの世界にいます。

話は尽きませんが、また来ます。

腕の傷と心の傷を心配した

レンを私達は誇りに思います。


本当に…ありがとうございます。

二人が頭を下げると、レンは起きて

ニコっと笑って、手を振った。

そして、三人は、光りの中に消えた。



私…何だか恥ずかしくなっちゃった。

皆んなは、もっと辛い思いをしてるのに。


辛さに大きいも小さいもないぞ?

ウンス?腕を見せてくれるか?


うん。はい!


ちゃんと動くか?


うん!


傷が無くなってる…レンちゃんって

凄いな?


うん、ヨンにそっくりだったわ。

あんなに小さいのに、傷まで

治してしまう内攻って、あるのね?


ああ、俺も初めて見た。


そして、夜なのに鳩が飛んで来た。


テ、テジャン…今、だ、大丈夫ですか?


テマナ。入れ!


あ、あの…鳩が来ました。


誰からだ?


チェ尚宮です。


言伝を見た。


は?キチョルが天女を見つけたそうだ。

天門前にいた金色の髪で

青っぽい目をした天女を

娶るらしいが、言葉が通じないらしいが

王に天女だから身分を作れ!と

言ってきてるそうだが、

王が認めてないようだ。


金髪?ヨン?明日、王宮に

連れて行って!


駄目だ!目をつけられたら、どうする?


門を開けばいい事よ!

何だか胸が軽くなって、昔の私に

戻ったみたい。ヨンは、嫌がるかも?


昔のウンスって?


うん…負けず嫌いで、同僚の男の人とも

喧嘩するくらいの…


今でも、それほど変わらないと

思うけどな?


だったら、連れて行って!


ウンスには敵わないヨンは、

明日、ウンスと王宮に行く事になった。




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レン…頑張りましたね。

いっぱいかあしゃまの酷い傷痕を

治してあげたかったのですね。

さて、ウンスが王宮に行きますよ〜🎵