翌日は、雪が降った。


うわぁ~、綺麗ね?


ああ、寒くないか?


うん。そう言えば、もう年末だものね。


あっ、そうだったな?二人で

新しい年を迎えるんだな?


また一つ年を取っちゃうわ。

そう言えば、ヨンの誕生日っていつ?


六月の十日だったかな?

ウンスは?


うそ~!一緒だわ!


誠か?


うん。子供達も六月に産まれるから、

みんな一緒に誕生会をやれるわね?


誕生会?


うん。生まれた日をお祝いする宴?


そっか。毎年盛大にやろう。



旦那様!奥様!起きてますか?


ああ、どうした?


村の方々が昨日のお礼だと、

魚のぬか漬けや貝の塩漬けや

野菜や米やら干し魚を冬を越せるくらい

届けてくれました。


あら?申し訳ないわね?

皆んなは困らないの?


大丈夫だと言ってます。

シュマリ村の守り神様だと、

拝んでました。


そうか。有り難いな。

少し、恩を返さねば。

ウンス?市井に行ってみるか?


えっ?ほんと?行く!行く!

欲しい物があるの。


何が欲しいのかな?


あっ、お腹に巻く晒し。


うっかりしてました。

そろそろ巻かないと冷えますよね?


うん。腹帯と言うのよ?

腹部の保温と子供の位置を安定させて、

弱くなった腹筋や子宮筋を守ってくれて

重くなるお腹を支えて、腰を楽に

させる役割もあるのよ。


そうなんですか?


うん。なんか、日に日に大きくなる

気がして。


買いに行かねば!ウンスと子に、

何かあっては、大変だ!


それとね、楽な衣が欲しいの。

此処は重ね着が多いでしょ?

布を買って、私好みに作って

貰おうかな?って。


奥様!それでしたら、布だけ

買って来て下さい。私とテスが

縫いますので。


ほんと?人を縫うのは得意だけど、

服は、縫えないの。



寒くないように、着せて、

ヨンとウンスは、市井に出かけた。


目立つ二人だ。


旦那様!奥方様!村を守ってくれて

ありがとうございます。


あちこちから、声が聞こえた。


彫金細工の店で立ち止まった。


これ!綺麗ね?


流石、奥方様です!

少し値が張りますが、異国から

入った指輪です。


結婚指輪でしょ?

あっ、はい。


結婚指輪とは?


うん。婚姻の証?

左手の薬指に結婚式の時に

お互いの指にはめるの。


では、買わねば!

主、ちょっと見せてくれ!


はい。


えっ?これは驚きました。

まるで、お二人の為に用意されてた

みたいに、ぴったりです。

しかし、奥方様?何故?左手の薬指

なのですか?


ああ、ここの血の管が心の臓に

繋がっていると言う事で

相手の心をつかまえる!という意味が

あるって、聞いた事があるわ。


感慨深い話ですね?

ありがとうございます。


それでね、名前を入れて欲しいの。


ウンスは、名前を書いて渡した。


これは?奥方様の指輪に奥方様の

名前を?


逆よ?相手の名前を入れるのよ。


なる程。為になる話です。


直ぐに彫り入れます。


じゃあ、ちょっと買い物してきます。


晒しを買って、布を買って、

あちこちのお店で買い物をした。

お金はいりません!と言う店が

沢山あったが、多めに払って、

恩返しした。

呼ぶと現れるテマナが荷物を持って

屋敷へ帰った。

彫金細工に行くと出来上がっていた。

ヨンはウンスの薬指にはめて、

ウンスはヨンの薬指にはめた。


素敵!綺麗ね?


ああ、何だか夫婦なんだと、

強く思うようになるな?


けっこう歩いたので、

ヨンに抱き上げられて家へと帰った。


買った布を渡して、ウンスは、

いわゆるマタニティドレス風の

絵を書いた。


そんな時、天門前で、光りの中から出て

来て、薄着で震えていた金髪で変わった

目の色をしている女人をキチョルの

手下が天人だと思って、

キチョルの元へ連れて行ったのだった。


ノー!ノー!★$△◆✖$○▽

言葉がわからない。


天女だと思った!

手足も長く、白いフレンチスリーブの

膝丈くらいのワンピースを来ていたが、

手下には、天女に見えた。

馬車を用意して、キチョルの屋敷へと

向かった。

キチョルには、鳩を飛ばした。


ヨンとウンスが、勉強していると、

服が出来たと言う。

仕事が早い!


うわぁ~、いい感じね?

着物だと、お腹も胸も苦しくて。


奥様は、羨ましいくらい、胸が

目立ちますから、締め付けるのも

苦しいでしょう。

しかし、このゆったりとした衣は、

妊娠している女人には、

とても動き易いし、楽かと思います。


この時代にも、羊毛や綿や麻が

あったのね。


旦那様にも揃いの物を作りました。


あっ!ジレね?


じ、じれ?


上に羽織る袖の無いものの事よ。


奥様!晒しを巻きましょう!


あっ、お願いできる?


けっこう目立ってきてますね?

晒しを巻き、西域から入って来たと

言う、羊毛の大き目に

長袖のセーターのように

作ってくれた灰色の服を着て、

麻で作った藍色のマタニティを着て、

足首まで細くなっているズボンを

はいて、白と青のハイカラな色合いの

ジレを着た。



はあ〜。とても楽だわ。

どう?ヨン?



いや…綺麗だし、よお似合ってる。


あっ!ヨンもお揃いのセーターとズボンと

ジレ?素敵よ?


ウンスが言うとおり、重ね着が

当たり前だと思っていたけど、

こうして、着物ではなく

新しい衣を着ると、

身体が軽くなったようだ。


暖かいし、皆んなのも作って

着ると良いな?


旦那様!勿体ないです!


どうして?此処の主が言ってるんだから、

そうするといいわ。


は、はい。では、旦那様と奥様の

冬衣も沢山作ります。

あれ?その指輪は?


あっ、これ?私の時代では、

夫婦の証につけるのよ?

市井に行ったら、丁度良いのが

あって、ヨンが買ってくれたの。


証?


うん。男の人と会ったら、まず顔を

見るでしょ?


はい。


その後、指を見るのよ。

左手薬指に指輪をしてたら、

ああ、この人結婚しているのね。

それか、決まった人が居るとわかるの。


それは、便利ですね?


でもね、仕事の関係で、指輪を

出来ない人もいるのよ。


それは、どういった職務の方ですか?


う〜ん、例えば私みたいに手術

する人とか、食べる物を作っている人

とか…。


何故ですか?


不潔だったり、万が一、外れて、

食べる物に入ったりとか…。


奥様のお話は、為になります。


そう?


まあ、我が家はウンスの時代風だ!


食欲も旺盛になり、夕餉は、村人から

貰った魚や野菜を鍋にして、

丼ぶり二杯食べた。

ウンスの提案で、夕飯は、

皆んな一緒で食べる!と言う、

使用人にも気を遣ってくれる、

ご夫婦のご厚意が嬉しかった。



少しお茶を飲んでから、

二人は風呂に行った。

晒しをはずすと、本当にお腹が

目立っていた。



ここに…俺達の子供達が本当に居て、

育っているんだな…


なに?嘘だと思ったの?


いや…嬉しくて…

お腹を撫でると、ボンと動いた。


えっ?

今、動いたよね?


あ、ああ、ポンって…


ポンポン


あっ、また…。

まだ早いのに、ヨンに似て、

元気なのね?


ああ、嬉しくて堪らない。


温泉に入って、寝所へ行くと、

髪をとかし、乾かすのを手伝った。


あれ?ねえ?私達の指輪、

光ってない?


そう言えば、何だか光りを

放っているような…

二人で左手を合わせると、

光りが増した。


な、何?


青白く光ったと思ったら、

中から、ヨンにそっくりな男の子と

少し年をとったヨンとウンスが

出て来たのだった。





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必ずレンは来る〜🎵