こんにちは。
チベットスナギツネたつとらです。
まだまだ終わらない終わりたい『二十歳に還りたい。』感想。
前記事までは
「明香が受け入れられん」
「明香という女がヤバイ」
という話をしてきました。
が、
何回か見て、
よくよく考えた結果、
結論。
↓↓↓
寺沢が一番ひどくね?
津嘉山正種さんが演じているから、
渋い素敵なおじさまに見えるだけで、
田中宏明さんが演じているから、
真面目な好青年に見えるだけで、
なかなかにひどいぞ寺沢って男は
まず、
最初の老人ホームのシーン。
朝ご飯を食べてるとき、
あるおじいさんが「寺沢さん、おはよう」と挨拶したけど、
無視。
シカト。
本を読むだけの頭はあるし、
そのあと明香にはしっかり受け答えしてるし、
別に耳や目が悪いというわけでもなさそうだが、
なんで無視???
いやもちろんボーっとしてて、
すぐさま反応できなかったんだとは思うけど、
やはり「自分のことしか考えていない」という人格がすでに表れてないか?と思えるぽよ。
そして、
丘の上で、明香に自分の話を語るシーン。
寺沢「家族運が悪くてね…」
待て待て待てー
運のせいにしてるけど、
自分のせいやん完全に。
自分のこと人に話すときって、
結構「自分は悪くない」風に話すのは人間のさがではありますが、
家族をそんだけひどいありさまにしておいて
「家族運が悪い」ってのはどうなん?
これは明香の
「私ね、女優の卵なんだ」発言と同じ匂いがしますよ。
自分を無意識によく見せちゃうやつね。
なるほど同類・・・。
というわけで、
もうこの時点で
全然反省してないぞこの男。
というのが分かるわけですたい。
後悔はしてるけど、反省はしてない。
なんか、悪い結果になっちゃったとは思ってるけど、何が原因だったのか、本当には分かっていない。
そう思うのです。
そして、
二十歳に若返って、
明香が泣いていて、
山瀬君に物申して…。
私は
前の記事で明香に
「止めんかい」って言いましたけどね、
「事情を知らない人に物申させるのをやめんかい」って言いましたけどね、
よく考えたら、明香は慰めてほしいだけで、
事情も知らないのに首を突っ込んでいったのは寺沢じゃねーか
もちろん明香が知っている子だったから、
「泣かせたの誰じゃい」ってなったから、
突っ込んでいったんでしょうが、
普通、人生経験豊富な人が、
片方の言い分だけ聞いて、いきなり人に突っかかっていくことってまずない。
年配だからこそ、
色々経験しているからこそ、
「双方の言い分を聞いて判断しないと真実は分からない」という智慧があるはずで、
「事情を知らない人間がしゃしゃり出たって揉めるだけ」ということも分かるはずで、、、
短絡的に、
「自分は正しい」という信念のもと、
深く考えず行動したり発言してしまう寺沢という男の性格が
ありありと描かれているわけです。
普通のおじいちゃんなら
あの場面、
まず彼女を励まして、
何があったか詳しく聞いて、
双方の言い分を聞いて、
じゃあこうしましょうと双方の折衝をして…
ってなるかと思います。
まさか明香も、
よく知らん人間がいきなり憤慨して相手に突っかかっていくなんて思わないでしょう。
「なんで初めて会った相手にそこまでするん?」と純粋に不思議に思ったと思います。
でもなんか知らんけど、やけに自信満々で、
止めてといっても止まりそうにない人、というのを雰囲気で察して、
なんとなく止められなかったんじゃないかなぁどうかなぁ。
居酒屋で山瀬君に言いすぎてしまうシーンは、
気持ちは分からんでもないですが、
あれも、
人生経験豊富なおじいさまであれば、
相手の気持ちが手に取るように分からなければ修行が足りんと言わざるを得ない。
そんで、明香が「明日謝ったら?」と言うと
「なんで謝らなくちゃいけないんだ?」
重症ですね。
お薬出しときますねー。
80超えて「正論を言うことが正しいとは限らない」ということを知らないなんて、
あんだけ史記とか経営書読んでてそんな単純なことすら知らないなんて、
本当に一代で会社大きくした人?
柳原くんが心太郎(明香の父)に頭を下げに来るシーンでも、
「僕からもお願いします!」って、
元凶お前や
柳原君にとっては、
自分から主役を奪った寺沢にあんなこと言われたらカチンと来るのでは…?
プライド高い東大生ならなおさら…
寺沢が中身おじいちゃんだから、あのシーンは観客には理解できるんだけれども、
誰一人として、寺沢に
「なんでそんな上からなん?」と
つっこまないのが不思議。
ワイがもし寺沢の同級生とかだったら、
「いちいちカチンとくる男だな…」
って思う。
「悪気ないのがタチ悪いな…」
って思う。
そう、寺沢って悪気ないのがタチ悪い。
娘に放った「お前の幸せと、会社のためだ」という一言も
完全に悪気ゼロ。
自分は正しいと、自分は愛から言ってるんだと、信じて疑わない寺沢。
「相手がどう思うか」という視点が、欠けに欠けている。
完全に病気の域。
お注射しましょうねー
あ、そうそう。
極めつけ。
「あ、母さん、葬式行けなくてごめん!」
…え?
「親の死に目に会えなかった」っていうのは聞いたよ。
そりゃ、人はいつ死ぬか分からんから、
危篤の一報を聞いて、急いで駆け付けたけど間に合わなかったというのはしょうがないと思うよ。
そう、「死に目に間に合わなかった」ということならまだ理解できるんだけど。。。
いくら仕事の鬼だからって
親の葬式行かないことある???
死に目でもお通夜でもなく
葬式の日でしょ。
調整可能でしょ。
無償の愛云々以前の話じゃない?
そして、そして、
明香の名誉のために、
ここはしっかりツッコんでおきたい。
↓↓↓
明香「私の夢は、いまだに何の返事もない…」(チラッ)
明香も明香だが、
女の子が決死の告白をしているのに、
最大限の勇気を振り絞って思いを伝えているのに、
何の返事もせず、あまつさえ目を逸らすとは何事だてめぇ
私だったらあの時点でヘッドロックしてます
明香の気持ちになってみると、
なんてひどい男だろうと思います。
距離感バグってるくせに、
初対面で「ちゃん」呼びしてくるくせに、
しばらくしたら呼び捨てしてさらに距離感バグるくせに、
当日「おじいちゃんのお見舞いついてきて」というあり得ないむちゃぶりにも怒らずついてくるくせに、
どう考えても他の女性と自分に対する態度が違って、
明らかに自分のことが好きなくせに、
告白したら、返事なし、目が泳ぐ、逸らす、濁す、逃げる。
明香にしたら、
でしょうよ、そりゃ。
Yesだったら嬉しいけど、Noであっても、
ですわ。
ラストの、
明香が悲しみのあまり自殺しようとするシーンもそうですよ。
彼女は、
「最後に本当のこと言って。
寺沢君、私と結婚してくれる…?」
と言いました。
私は最初は、
「なんでこんな結婚に執着するのか」と明香に拒否感を覚えたんですが、
よくよくこの時のセリフと、明香の気持ちを考えると、
明香の真意は「結婚して」ではないんです。
「本当のことを言って」
この時の明香の一番の願いは、こっちだと感じたんです。
寺沢の気持ちが、何を考えているのかということが、
全く分からなかった。
だって、何も答えてくれなかったから。
スキャンダルのニュースが流れた時ですら、
彼からは何の連絡もなかった。
だからこそ、
彼女は、
寺沢の気持ちを言って欲しかった。
Yesでも、Noでもいいから、「本当の気持ち」をちゃんと伝えて。
答えを出して。
明香はそう訴えているんです。
「結婚してくれる?」は「結婚してくれ―――!」ってことではなくて、
「YesかNoか、答えを言って」ということなんだと。
自分の命を懸けて、
そこまで、必死に、寺沢に促しているんです。
が、
そんな場面ですら何も答えず、
ただ目をおろおろさせる男・寺沢。
そりゃ死にたくもなるわ。
ここまでやって、
ここまで訴えかけて、
それでも何も言ってくれないって、
「ガチでコイツ私のことどうでもいいんだな…」ってなりますやん。
そう考えると、告白をちゃんと断ることも、「愛」ですよね。
「返事をしない」というのは、
相手の気持ちなんかどうでもいいってことですから。
断るっていうことは、相手の気持ちを理解した上で、
ちゃんと自分の答えを出すっていうことで、
相手の気持ちを実は大事にしているんですよね。
受け取りっぱなしって奪う愛ですね。
ちなみに私は
この手の「期待だけさせといて実は恋愛感情ない」「好きにさせるだけさせておいて、はっきり断らない」みたいな男が苦手です。
今まで数人そういう人に会って、もう懲り懲りです。
例えば、社会人のときに、
とある年上の男性に告白したとき、
彼はまずこう言いました。
「たつとらちゃんのことは、妹みたいに思ってて…そういうふうには見れない」
なるほど。
でも、それだったら今後気持ちが変わる可能性はあるよね。
ってことで、私は
「お試しでもいいから付き合ってください」
と言いました。
そしたら彼はこう言いました。
「実は今付き合っている人がいて…」
は?先に言えや
その瞬間に冷めました。
「あ、そうなんですね!分かりました!ありがとうございました!」
と言ってさっさと切り上げて帰りました乙
要するに、
先に「付き合ってる人がいるから付き合えない」と言ってくれたら、
別に自分は人のものに手を出す趣味はないし、
そう言われたら潔くあきらめるし、
普通に付き合ってる彼女のためにもまず先に「彼女がいる」って言わない普通?
なんで一旦訳の分からないもにゃもにゃした断り文句挟まれたんだろうマジで意味わからん。
そう思ったわけです。
後から分析するに、
多分彼は「女性が自分に好きと言って追いすがっている」という状況を少しでも長く味わいたかったんだろうと推測。
相手を思うなら、きっぱり「彼女がいる」って言いますよね。
自分が良い気分をしたいがために長引かされてこっちはマジで「は?●ね」ってなりましたわ。
脱線すまぬ。
まぁそういう自分の恋愛経験とか思い出していろいろ総合して、
寺沢の言動と明香の気持ちを考えてみた結果、
いやこれ寺沢マジひどい男じゃねぇか
という結論になりました。
自殺という自虐に走る明香はまだ偉いと思う。
私だったら「本当のこと言って」で黙る寺沢を見た瞬間に
「黙ってんじゃねえ!!!」ってドロップキックしてると思う。
いや、もうスキャンダルのニュースが流れた時点で
包丁持って寺沢の自宅に殴りこんでると思う。
そんで、寝てる寺沢の顔すれすれに包丁を突き立てて、
「日本が銃社会じゃなくてよかったな」って言って、
さぁ帰ろうと思ったら、
1階の「無償の愛に生きよ」の額縁を見て「何が愛じゃボケ」とはらわた煮えくりかえって部屋をめちゃくちゃにしてる気がする。←
暴力ダメ、絶対。
暴力的にならず、攻撃的にならず、相手の意思を確認して自死という方向に向かえる明香はえらいと思う。
おしとやかな女の子だと思う。
私には無理だ…。
という、明香の気持ちになって映画を観てみると、
最後、「結婚してください!」という寺沢のことは
「やっと言ったなコノヤロウ!(よくやった!)」って思えるし、
明香の救われた気持ち、嬉しい気持ちも分かって、
感動出来ました以上です。
鑑賞4回目にして(長い)やっと。
次回、
映画感想最終回!
(多分)
「た、確かに…」と思った方はポチ。
「私もドロップキック派です」という方もポチ。