中国ドラマ 家族の名において
2020 全40話
原題 以家人之名
タン・ソンユン(譚松韻)
ソン・ウェイロン(宋威龍)
チャン・シンチョン(張新成)
このドラマ、視聴した人はみんな絶賛してます。
おススメです。
崩壊した家族が再生するまでを描いたストーリー。
でもそんな単純な言葉では収まりきらないほど素敵な脚本、
キャストだった。
家族ってなんだろう。
親子ってなんだろう。
あたりまえの幸せってなんだろう。
見た人によって感じ方は違うと思うけど、誰もが自分を
振り返るきっかけになる。
私も一人の親として考えさせられた。
正解なんてない「家族」のありかた。
1999年夏、海潮(ハイチャオ)麺館の店主、
李海潮(リー・ハイチャオ)が住む団地に、
警官の凌和平(リン・ハーピン)と妻と息子が引っ越してきます。
凌和平と妻は夫婦喧嘩が絶えず、息子の凌霄はいつも
団地の階段で一人で本を読んでました。
李海潮と娘の李尖尖は凌霄を根気よく食事に誘いました。
やがて凌霄の母親は家を出ていきます。
「お兄ちゃんがいらないなら、私にちょうだい」
と言う李尖尖に、凌霄の母は
「あげるわ」
と言って去ります。
妻を亡くした李海潮には見合い話がありました。
相手は子持ちの賀梅という美女です。
賀梅は幼い息子、子秋を李海潮に預けていなくなります。
賀子秋は賀梅の実家の農村で育てられることなりましたが、
子秋が学校に通えないことを知り、李海潮は子秋を
引き取って、凌和平と2人で3人の子供を育てることを
決意しました。
物語は、
①母に捨てられてしまう子供時代
②子供と大人の境目の高校時代
③離れ離れになった三兄妹が再び出会う10年後の話
という、ざっくり3つの時代が描かれています。
僕らの可愛い女の子♡
と言わんばかりに
宝物のように妹を溺愛している兄ふたりが
もう好きすぎたの!!!!
キュンキュンのキュンします!!
まずソン・ウェイロン演じる凌霄は、
両親の喧嘩が耐えない家庭で育った上に
めっちゃ心に傷を負っている為(かなり重め)
笑うことも話すことも少ない
感情の見えない少年なんですけど、
その幼き頃に尖尖に拾われて(?)
超ポジティブ&ハツラツな妹に
救われていくんですよね。
トラウマも抱えていれば
精神的にも安定しない人なので
他人と心を通わせるのが難しく、
でも唯一尖尖には
心を開いて接してるんっす。
もう、僕には君だけだよ?
的なやつ???
凌霄、一番感情移入したのが彼だった。
高校を卒業してからの9年間。
家族の誰も知らない空白の期間。
その地獄のような日々が明かされるのはドラマ終盤に
なってからだ。
中盤まで、どうして凌霄が尖尖を一途に想って
これたのか・・・
彼ほどの良い男なら周囲がほっておかないし、それなりの
青春があるほうが自然だ。
しかしそんな当たり前が許されない毎日の中に彼はいたのだ。
それを知ったとき、本当に胸が苦しかった。
彼はその恵まれたスペック以上の苦しみを一人きりで
背負ってきた。
帰国後、なんとなくぎくしゃくしている兄妹三人。
尖尖に彼氏がいると知った兄二人の反応がとにかく面白かった。
初デートを心配して、探し回る兄ちゃんたちがかわいい。
二人とも必死になって彼氏と別れさせようとする。
特に凌霄は尖尖を誰かに渡すなんて無理。
妹の彼氏に嫉妬する設定は少女漫画にいくらでもありそう
だけど彼の場合はそんな軽いテイストではない。
後になって凌霄はこう告白する。
尖尖が尋ねる。
「もし自分が(この9年の間に)結婚してしまっていたら
どうしたのか?」
凌霄は言う。
「お前が離婚するまで待つ」
「離婚しなかったら?」
「お前の子供を育てる」
深い。愛が深すぎる
彼にとっては尖尖が世界の全てで。
心の支えで。
誰も代わりにはなれなくて。
彼女がいなければ生きていけない。
そんな存在。
母が原因で心を病み、眠れなくなってしまった彼に
尖尖が寄り添うシーンは涙があふれた。
ただ苦しくて切ないことばかりじゃなくて、凌霄と尖尖が
兄と妹ではなくなっていくプロセスもこのドラマの見どころです。
とにかく凌霄が攻める!
兄特権を振りかざして全力で尖尖に気持ちをぶつけていく。
で、もちろん何回かキスシーンはあるけど、特にドキッと
したのはこの場面。
シンガポールから帰国した母が見ていると知りながら、
尖尖にキスする回。
不意に現れた尖尖を見つめる目がもう・・
この時の彼はかなり追いつめられていて、絶対に尖尖を
離さないという想いがあふれていた。
これは母への宣戦布告といっても良い。
尖尖を傷つけた母へ怒りをぶちまけるシーンも痛かった。
自分はどれだけ苦しめられても我慢するが、尖尖に手を
出すことは絶対に許せない。
たとえそれが血を分けた母であっても。
そしてもう1人の兄、子秋は
尖尖のお父さんとお見合いした相手の息子。
シングルマザーで育てられますが
母親が出稼ぎに行くため
尖尖の家に預けられ
それ以降そのまま育てられます。
凌霄は父親が働きすぎて家にいないだけですが、子秋は父親もいません。
両親たちが結婚したわけでもないため
引け目を感じながら育つのです。
早く大人になりたい!
そして尖尖とお父さんは俺が世話する!
というなんとも健気なマインドで
何度も泣かせてもらいました。
彼の心の傷は二つ。
「愛した人に捨てられたこと」
「誰も自分を必要としないこと」
尖尖と凌霄が結ばれたことで、尖尖からも捨てられたと
ショックを受けてしまう。
でも母が隠していた真実を知って、自分が邪魔で
捨てたのではないことが分かる。
子秋は本当の家族になりたかったんだよね。
尖尖に結婚を申し込んだのも、愛というよりは
本当の「家族」になりたかったから。
尖尖のためにパティシエになったくらい、大好きなんだけどね。
子秋にとっても尖尖は光。
命に代えても守りたい存在なんですな。
兄二人が妹を取り合うエピも必見です。
紆余曲折あって、彼らは本当の家族になった。
小秋も早く良い人を見つけて幸せになってほしいな。
そんで、このお兄ちゃんズの
手綱を握っているのが
タン・ソンユン演じる尖尖。
屈託のなさ、嫌味のなさ、
あどけなさが本当に素晴らしい!
良い意味で垢抜けない雰囲気と、
それでも品があるあの感じ!!
ウェイロンと9歳差とは思えないほど、
若々しくて可愛らしいんです!!!
ナチュラルに高校生を演じていたので
ちょっと本当に驚いちゃいました。
そんで、大人になってからは
もちろん実年齢に近くなるので
尖尖本来の明るさは保ちつつ
ちょぅっと落ち着いた雰囲気になっていて
もはや感服!!!
色々泣かされるシーンは
あったわけなんですけど、
一番やばかったのは、
お兄ちゃんズが高校3年生になり
海外に飛び立つシーン。
3人の別れのシーンです。
お兄ちゃん二人が大人な選択をする気持ちもわかるし、
でも尖尖の悲しみと怒りもわかるし。
息子が決めた道を受け入れるしかない
お父さんの気持ちもわかるし。
尖尖はお兄ちゃんズが突然帰ってきて
慌てふためいちゃって
すごい冷たい態度を取るんですよ。
そこはすごい良かった。
結局は元の3人に戻るんですけど、
お兄ちゃんズはそれぞれの想いから
尖尖に告白するんですね。
お兄ちゃんズの心情はすごくよく分かったし
納得できる流れになっていたんですけど。
なんで最初は迷惑そうにしてたのに
いきなりの凌霄気持ちを受け入れたのか!?
なんで凌霄が好きなのか!?
全然分からなかった!!!!笑
忘れてはいけない、凌霄の母
彼の母、陳婷にはたしかに同情できる部分もある。
仕事の忙しい夫は頼りにならず、ワンオペの育児の毎日。
もちろん息抜きしたい時もあるだろう。
それは当然だし、責められることじゃない。
しかし彼女は人からどう見られるかを気にするタイプだったようだ。
幼い子供二人を家に残して遊びに行くことを誰にも知られたくない。
それは明らかに世間一般でいう「良母」から逸脱しているからだ。
そんなプライドのために悲劇は起きてしまった。
ま、家に鍵かけて麻雀に行っちまったんだな。
幼い凌霄と妹を残して。
結果、彼女は凌霄に一生消えない傷を植え付け、罵り、
虐待やネグレクトを繰り返した。
幼い凌霄は両親の争いに毎日怯えながら、妹を殺した自分を
責め続け、悪夢に怯え、心を閉ざしていった。
そんな彼に手を差し出したのが尖尖だった。
小さな尖尖は彼をすくいあげ、太陽の下に連れ戻した。
癒えない傷は小さく丸くなっていき、やがて彼に笑顔が戻った。
この時から凌霄の心は永遠に尖尖のものになった。
母が消えたままでいてくれれば、凌霄はあそこまで
苦しまなかったかも知れない。
しかしやっかいな事に、息子を捨てて人生をやり直したにも
関わらず彼女は彼に執着した。
それは自分の汚点を認めたくないからだ。
子供を捨てた母親のままでいることを自尊心の高い彼女は
許せなかった。
裕福な夫と再婚し、妹も生まれた。
しかし完全な幸せを得るためには凌霄が必要だった。
自分は子供を捨てた母ではなく、子供を愛し愛される母で
いなければならないのだ。
彼女はこう考えただろう。
再び一緒に暮らせば息子はすぐに心を開く。
結局、凌霄の母は自分だ。
血の繋がった母が他人に負けるわけがない、と。
しかし彼の心に母はいなかった。
いるはずがない。
凌霄にとって家族とは尖尖がいる場所なのだから。
自分を受け入れない息子を見て、彼女は尖尖と
その家族達を憎んだ。
凌霄が尖尖を大事にすればするほどその憎しみは
大きくなった。
夫を事故で亡くし身体が不自由になってからは、
凌霄に依存ししがみついた。
陳婷は自分のことしか考えていない。
それが最大の過ちだ。
「自分が悪い」
「迷惑をかけたくない」
と言いながらその言葉は呪いのように凌霄を縛りつけた。
娘でさえ彼を繋ぎ留めるための道具として使った。
当然、妹の気持ちも考えてはいない。
妹もまた犠牲者だ。
皮肉なことに彼女が憎み続けた尖尖の言葉によって、
彼女は初めて自分の過ちを受け入れられた。
彼女をどう評価するかはそれぞれ違うと思うけど、
最後は救いが見えたラストだった。
長く暗闇を彷徨っていた母はようやく光を見出したの
だと信じたい。
素敵なドラマに出会えて幸せでした。
これからも素敵なドラマに出会えますように。
タン・ソンユン
ソン・ウェイロン
チャン・シンチョン
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