H.A.レイ文、絵
光吉夏弥 訳
岩波書店
先月、福岡の絵本専門店のエルマーさんに行ったときにも、
店主様がこの絵本を3歳さんのいるお母さんに、
激しく薦めていたわー。
「おさるのジョージじゃなくて、こっちよ」
って。
そうね、アニメにもなっているおさるのジョージ、
キュリアス・ジョージはこの絵本をベースに
もう一度、作り直しているものだからねえ。
いっしょではないのよねえ。
いや、だからダメともうきょうは思っていませんが、
ちがうもの、とは思っていいかなーっては思います。
先日、黄色い絵本を集めてみる会のときに、
この絵本があがり、改めて読んでみると、
おもしろい(笑)
(これは黄色のTシャツを着ている人(笑)
石黒亜矢子展姫路会場にてー)
イラストの端々までおもしろい(笑)
じょーじがエーテルで眠ってしまうところなんて、
今の若い保護者さんにはわからないんじゃないかしら。
うきょうが子どもの頃の、刑事モノや探偵モノのドラマで、
ときどき、誘拐するシーンなんかで、
悪い人が、誘拐の対象者である人にハンカチを口元にあてると、
あっという間に暴れていても静かになっちゃうシーンがありました。
あれは、ハンカチにクロロホルムという、
揮発性の麻酔薬が染み込ませてある、
っていう設定なんですね。
エーテルも同じように昔使われていた麻酔薬らしいんですけど。
(実際には一瞬で静かになんかならないらしいですけどね(笑)
そして、声に出して読んでみても、
48ページの大作(笑)
10分以上ありました(笑)
今って32ページが主流のつくりなのね。
「スーホの白い馬」なみのページ数があるのよ。
最近の絵本のテキストって、
短い文章で会話でテンポよく進んでいくお話が多い中、
基本、地の文章で書かれているのね。
しかも、じょーじ自体は全然おしゃべりしないの。
「はい」って一回お返事するだけ。
おじさんたちはしゃべってるけど(笑)
じょーじの気持ちって、
イラストで想像していくしかないのよね。
でも、きっと、もとの原文の語り口調も、
光吉先生の訳の語りの付け方もいいから、
すすいっっとした感じで読んじゃいますが、
今の絵本にはなかなかないボリュームと
テンポなんだよねえ、と改めて思いましたよ。
そして、今って、ほら、ながーい時間のお話って、
理解するのがわかりにくくなるから、
なるべく、日をまたがない時間の流れで
書かれてる事が多いと思うんです。
その日のうちにおはなしが始まって、
その日のうちにおはなしが着地していくようなおはなしが
多い印象を持っています。
とくにこのじょーじってきっと、
3歳さんくらいの子どもさんがモデルなんだと思いますけど、
読む対象の子どもさんも、
そのくらいをイメージしてると思うんですね。
3歳さんだと、今は、
ほんとに短い時間で始まって終わるおはなしが多いと思うんですけど、
これ、逃げるときに野宿して、そのあと、入院までして、
だいぶと長いこと時間かかってますからね(笑)
ほんと、今の時代にはない、ゆったりした流れのおはなしが改めて、
いい!
これいいなあ、ってなりました。
きっと、よみ時間が長くって、
おはなしボランティアさんや、
保育園さんでも
なかなか年少さん対象には使いにくい絵本だと思うので、
おうちでゆったり、よめるところまででもいいし、
読んでいくと楽しいかもねえ、
なんて思いましたよ。
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