子供たちを寝かしつけて戻ってきたホビ。


「ありがと」

キッチンで洗い物をしながら、そう声をかけた。


その足で彼は冷蔵庫を開けて、ビールを取り出す。


「飲む?」


「ううん。いらない。」

アルコールは苦手だし、すぐ酔ってしまうから普段もあまり飲まない。


「あ、アイスクリームは?食べる?」


「ん、これ終わったら食べる」


洗い物をする私を眺めながら、缶ビールを飲むホビ。


「……ヨンジェさんのこと。」


「ん?」


「……いいの?

カン先生のこととか……」


「んー、結構複雑だけど。

こればかりは縁だろうしね。……それに、あの時先生に言われたの。」


「なんて?」


「(僕の知っているヨンジェとは全然違う)って。」


ヨンジェさんと会えると決まった時、私はカン先生もパーティに誘った。

名前が一緒というだけで、あの”ヨンジェ”さんを頭に浮かべてしまって…


先生がいうように、私たちが知っている”ヨンジェ”さんはもういないのに。


あのあと、カン先生には悪いことをしてしまったと、反省していた。


「それに、余計なことしちゃったって、結構反省しているの。

……カン先生、きっと本当は会いたくなかったと思うんだよね。

名前が同じってだけなんだし……」


「……確かにね。


……こっちはこっちでさ、ジミンにユンギヒョン。

ジミンはわかりやすいし……

ユンギヒョンは、なんかこう……」


「菩薩のように見えたな、私には……」


「お?……やっぱり?」


「ユンギさんは、ヨンジェさんの幸せだけをただ願っているって感じに見えた。

……なんか、こう。

友情、愛情を通り越して、幸せであって欲しいっていう…

オーラ。」


「……知ってた?」


「何を?」


「……ユンギヒョン、好きな人がいるんだよ。」


「……そうなの!?」


「だから、余計に。

ヨンジェさんには幸せであって欲しいって思うんじゃないかなって、思うんだよね。」


「それって……ねぇ?」「ん?」


「……それって、ヨンジェさんとは違うの?」


「……違うと思う。

あの二人は、そう言った関係とはまた違う気がする。

音楽を貫く同志みたいな。」


「それじゃぁ……ジミンさんは?」 

私の問いかけにホビはニコッと笑って見せた。