息子の通った中学受験塾(サピ)は、算数の計算力に重点を置いていました。
毎日の基礎トレ、毎回の授業前テスト、マンスリーも必ず計算問題からスタート。
計算問題は、+とか÷とか、決まった手順に従って計算するだけ。
「単純作業じゃないの?」と思われるかもしれません。
無味乾燥で、地味なトレーニングに見えます。
子どもがそう思っているとしたら、計算の問題集なんかに苦痛に感じてしまうかもしれません。
子どもの受験に伴走した経験から、実は「計算」そのものが思考力の訓練であり、思考力に磨きをかける練習だと思います。
中学受験算数は、問題の行間を読み、式や表やグラフを使って、パズルのピースを埋めていくようなところがあります。
頭の中で1つ1つのピースを考え、組み上げていかなければなりません。
応用系は、典型的解法のあてはめで解けないため、「どのように考えたらよいのか」が問われます。
入試で出てくる計算問題も例外ではありせん。
学校側は「計算力」を見ていますが、「いかに工夫して速く正確にできるか」という観点が重視されています。
計算問題は、受験生の「思考力」をみる絶好の材料になっていると感じます。
受験生の側からしても、試験時間の制限があるので、計算問題を速く正確に解けると、図形や複雑な文章題など、じっくり考えなければいけないところにより多くの時間を使うことが出来ます。
速く正確に解くには、訓練することも必要ですが、「工夫」がより重要だと思います。
例えば、36÷0.125 という計算。
「小数第三位まで出てくる割り算なんてイヤ」
と思う必要はありません。
0.125は8分の1ですから、これで割るということは8倍することと同じ。
瞬時に答えが出せます。
(倍にするのを3回繰り返せばOK)
わり算の筆算を速くできることよりも重要だと思います。
細かくて、別にどうでもいいことのように思えますが、一つ一つの積み重ねが大きな差になっていきます。
子どもの勉強を見る親にとっても、答えが合っているかだけでなく、そのプロセスをチェックするのが効果的。
解説にのっている計算方法になっているか。
もっとシンプルに、正確に至るやり方がないか。
子どもが書いた途中式を見てわからなければ、「どんな方法で計算したか教えて」と聞くのもいいでしょう。
時間がかかっていたり、手間のかかるやり方をしていたのならば、「もっと簡単にできる方法ない?」と聞いてみるのもいいと思います。
計算を工夫しようとすると、計算式に出てくる数に注目して考えるクセがつきます。
そうすると、数のもつ意味や性質とか、小数とか分数の構造とか、けっこう本質的で深いところに繋がります。
ドリルのような問題集を子どもだけでたんたんとこなしていくのはつらいもの。
計算を通じて、親子で会話しながら、数に対する感覚とか理解を深める機会になると思います。
子どもが問題を解いていて、思わぬ「発見」に出くわしたこともありました。
そういうことがあると、楽しくなります。