このところ東京オペラシティミューザ川崎と、パイプオルガン絡みの演奏会が続きましたですが、今回はピアノとヴァイオリンのデュオということでして。トッパンホールのランチタイムコンサートに出かけてまいりました。

 

 

一点豪華主義のプログラムは、ロシアの作曲家(といっても名字からするとドイツ系かと)ニコライ・メトネルのヴァイオリン・ソナタ第3番「エピカ」のみ。さりながら、4楽章ある全曲はおよそ45分に及ぶという大曲だけに、演奏を終えた途端の奏者からは「よっしゃぁ!」という雄叫びが聞こえそうな気も。聴いている側も、たっぷりシンフォニーを堪能したような気にもなった次第なのですな。

 

1880年生まれのメトネルがこの曲を作ったのは1938年だそうですから、所謂「20世紀音楽」と言ってよろしかろうと思うも、新しさはもちろんながら変に晦渋な要素が薄いという点では、1879年生まれのレスピーギと同世代と思えばいいでしょうか。ちなみに1881年生まれにはバルトークがいますが。

 

あまり演奏機会が無いというのは楽曲規模のせいかもしれませんですが、もそっと演奏されてもいいような。第二楽章の疾走感などは誠に捨てがたいものがありまして、どうやら演奏機会は少なくとも録音媒体はありそうですので、またそのうちにと思っておりますよ。

 

ところで久しぶりにトッパンホールに出向きましたので、同じ建物内にある印刷博物館P&Pギャラリー(入場無料の展示スぺ―ス)の方も覗くことに。折しも「現代日本のパッケージ2024」展が開催中で、思い返せば同じ展覧会の2022年版2023年版も見ていたものですから。

 

 

といっても、今年で10年目にもなるという本展、パッケージングに関するコンクールの入賞作が展示されるというところは変わらずとも、世の中の「SDGs」の呼び声に応えるべく取り組む方向が顕著になってきていることでしょう。

 

 

ただ、難しいところは環境意識を突き詰めてしまえば、ひたすらにパッケージは簡素なものとなり、果ては不要論につながってこようかと。パッケージはなかなかに難しい立ち位置にも置かれているような気がしたものでありますよ。

 

 

とはいえ、店頭に並ぶ商品をくるんであるばかりがパッケージではなくして、通販全盛のご時世にあっては配送される際の梱包に関する工夫にも相当に目が向けられておりますな。素人考えで言っても、段ボールの中の梱包材である発泡スチロールとかプチプチとか、捨てるばかりになってしまうのはなんとかならんのであるかと思ったりしますしね。

 

 

その点で注目される素材はやはりパルプ、要するに紙ということになるようで。パルプ利用では梱包材に留まらず、こんなのも入賞作にありましたですよ。

 

 

スーパーで肉や魚、はたまた寿司や弁当が売られる時の器のようですけれど、これ、パルプにカラーフィルム加工をしたものであるとか。「ほお」とは思ったものの、「カラーフィルムが使われる点でダメでしょ」と。そうはいっても、これがいかにもパルプ素材そのまま、つまりはひとつ上の梱包材のような見た目だと食品には使いにくかろうなあとも。

 

ま、昔は鮮魚を新聞紙にくるんで売り買いしていたこともあるのですけれど、もはやそういう感覚ではないのでしょうね。見た目、パッケージデザインは購買欲と大いに関わるようになっておりましょうし。そんなところへ登場するのがこうした商品ですかね。

 

 

確かちょいと前のニュース番組の、旬の?冷凍食品を紹介するコーナーで見かけた品かと。相変わらずとも見える包装は、プラ不使用といったドラスティックさはないながらも、漸減傾向を示してはおりますな。冷凍食品にありがちな、外包装の中でひとつひとつを載せていたプラトレイ、これを廃して、プラごみ量を削減。そのままだと大袋の中で一個一個がごろごろしてしまうので、スティック菓子のようなスリムパッケージを採用。加えて、お弁当のおかずにはそのまま弁当箱に入れておいて自然解凍可となれば、電子レンジ要らずで電気代も掛からない。売り手のスーパー目線では、外装段ボールをそのまま利用した陳列が可能とまあ、いろいろな工夫が詰まっているようすなのでありますよ。

 

世紀の大発見は誰しもにできることではないとしても、こうしたこまごまとした発想に頭を使うのはいいことですよねえ。次々出てくる新しい詐欺の手口に考え出している人たちにも、頭の使いどころは別にあると気が付いてほしいものです。その手の人たちも生きている以上は日常生活を送っているわけで、その日常の中には(細かいにもせよ)まだまだ知られぬアイディアが眠っていて、それを見出せば多くの人の役に立つ。断然に気分のいい方向への頭の使いようではなかろうかと思うのですが…。

 

ということで、トッパンホール&印刷博物館P&Pギャラリーと演奏会も展覧会も無料で拝見したわけですが、さすがにあやかり過ぎ?のような気もしたものですから、印刷博物館本来の展示スペース(有料、とはいえ500円)の方にも立ち寄ってみることに。ただ、長くなってしまいましたので、そちらの展示のお話はまた折を見てということで。