第5章 韓国朝鮮の社会
13.ネロナムブル내로남불
他人が愛すれば火遊び
私が愛するならロマンス
『ネロナムブル내로남불』と言う「新造語」が韓国で流行ってハヤ30年。
もう当に新造語では無しに「定着語」となってしまいました。
昨今KBSニュースを見ると与党・野党無しに相手を非難する時の言質のたとえとして必ず登場し、『正鵠(せいこく)を射(い)る』名言として相手に大きな打撃を与えて居ます。
『ネロナムブル내로남불』〜「私がすればロマンス、他人がすれば不倫」と言う言葉は、2重の物差し、ダブルスタンダードを批判的にいう韓国の新造語です。
1990年代、新韓国党の国会議員パク・ヒテが公的な席で初めて使用した後、政治圏で朴槿恵パク・クネ政府、文在寅ムン・ジェイン政府の批判などに広く使われました。
と言う事で、今回はこの『ネロナムブル』について述べたいと思います。
元々、この言葉は文字通り「既婚者と他の人が互いに不適切な関係を結ぶ姦通関係(不倫)を比べ、二重的な態度を皮肉る」用語です。
これを「私がすればロマンス、他人がやれば不倫」、略して「ネ(내私)ロ(ロマンス)、ナム(남他人)プル(불不倫)」と名付けました。
自分が恋をすると不倫もロマンスですが、他人がやれば姦通にすぎないと言う、とても偽善的な意味を持って居ます。
状況や立場によって言い換えて、自分だけ有利に主張しながら、いざ相手には(自分にもそのまま当てはまる筈の)露骨な批判をする、倫理や正義の物差しを二重的な面を持って行う人々を批判するときに使われます。
また同じ行動をしても、自分または自分に近く親しい人には寛大な振りをしますが、同じ行動を特定の人物や集団がすれば正義の使徒になって言葉ひとつでも揚げ足を取ってややこしく悪評する者を当て擦ったり皮肉る時に使われる事も有ります。
2010年代中後半に入って、テレビや公式の席でも多く使われるほど大衆化されましたが、漢字が廃止されて居る韓国では、この言葉を故事成句もしくは四字熟語と間違える人も多いとの事。
ですが、『ネ』は私のネ내で、『ロ』は「ロマンスのロ」の略語ですので、厳密な意味での、漢字の四字熟語では有りません。
『ネロナムブル』は上記の通り、1990年代初頭に登場しましたが、「私がすればロマンス、他人がすればスキャンダル」「私がすれば芸術、他人がすれば猥褻」「私がすれば娯楽、他人がすれば賭博」などのパロディやバリエーションでも使用されます。
先にも述べた様に、この言葉を公式席上で初めて使った人物は新韓国党(現国民の力の前身)の国会議員パク・ヒテです。
1996年大韓民国15代総選挙直後、今のように「与小野大」になった政局当時、与党「新韓国党」が無所属議員11人を与党に迎え入れると、野党「国民会議」がで新韓国党の「議員引き抜き」を批判しました。
これにパク・ヒテは「野党の主張は私が浮気をしたらロマンス、他人がやれば不倫。私が不動産をすると投資、他人が買うと投機という式」と反論しました。
この発言が大きなインパクトを持ち「ネロナムブル」が流行語になったのです。
この言葉は民主党チョン・ビョンホンが与野紛争をめぐるパク・クネ朴槿恵大統領の発言を批判して使用され、再度脚光を浴びました。
2020年には教授たちが発行する「教授新聞」の『今年の四字熟語』で「ネロナムブル」を漢字語に変えた新造語『アシタビ我是他非아시타비 』を正式な사자성어四字成句として採択されました。
日本で言えば流行語大賞の様なモノです。
現代に創作された四字熟語が選ばれたのは今回が初めてで、これを推薦した教授たちはその理由としてチョグク事態、ユン・ソクヨル-チュ・ミエ葛藤などを挙げました。
現在ではテレビや公式の場でも多く使われるほど大衆化されました。
普段自分の身の振り方や行動もまともに出来ず、一言でキレイで無いくせに他人や特定の相手を低レベルで指摘し、シラけさせる様(ザマ)をあて擦って言います。
現在、与党「国民の力」が民主党に向かってこの『ネロナムブル』を唱え、野党「民主党」でも彼らへの逆襲を高め、非難の応酬が日々常態化して居ます。
この様な現在の韓国の政治情勢は、例えば朝鮮王朝時代の党派争い、所謂(いわゆる)『党争』の如き混迷を帯びており、国民生活を蔑(ないがし)ろにした「不毛なる非難合戦」「仁義なき戦い」は、国民の政治への不信を高めるばかりか、民主主義の後退をもたらす虞(おそ)れが有ります。
今ひとつ基本に立ち返ってもらいたい物です。
<参考文献>
위키백과
나무위키
위키낱말사전
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