ワンポイントコラム
<韓国朝鮮 歴史のトリビア>
268. 韓国大統領選挙の歴史
今日は第20代大韓民国大統領選挙の日です。
朝6時から全国で一斉に開始された選挙投票は夜の6時まで、コロナ拡散者はその後の6時から7時半まで投票が行われます。
多くの関心の中で行われる今回の選挙は最終的に80%に達する事が予想されて居ます。
今回はこれにちなみ、韓国の大統領選挙の歴史を辿りたいと思います。
アメリカで最初に施行された大統領制は第2次世界大戦後、世界中に拡散しました。
韓国は1948年政府樹立以来、第2共和国(1960年6月~1961年5月)時代を除いて今まで大統領制を採択しています。
大統領を選挙する方法は幾度か変化が有りました。
間接選挙制(間選制)と直接選挙制(直選制)を行き来して、1987年6・10抗争の結果行われた改憲で直接選挙制に固まりました。
まず解放後の1948年7月、5・10単独選挙で制定された制憲国会でリ・スンマン李承晩が初代大統領に選出されました。
これは国会が大統領を選ぶ間接選挙制でした。
しかし、2代大統領選挙からは直接選挙制に変更されました。
これはリ・スンマンの窮余の策による物でした。
当時の憲法上、大統領は国会から選出する事になっていましたが、1950年5月の2代国会議員選挙でリ・スンマン李承晩支持勢力が大挙して脱落し国会の勢力図が変化した為、国会間接選挙制を通じたリ・スンマンの再選が叶わない様相になったのです。
リ・スンマンはこれを打開しようと大統領選出方式を直接選挙制に修正し、これは1次改憲を通じて実現されました。
彼は多くの不正選挙を駆使した直接選挙制で、2代(1952年8月)と3代(1956年5月)の大統領選挙で勝利しました。
しかし、1960年3月15日に行われた4代大統領選挙で不正がばれて選挙結果が無効化しました。
この3·15不正選挙を機に起きたのが4·19革命(4.19人民蜂起)です。
3·15不正選挙の影響で大統領選出方式は間接選挙制に戻りました。
改憲による内閣制と議員間接選挙制の導入によって、象徴的存在である大統領としてユン・ボソンが1960年8月の国会投票で4代大統領に当選しました。
しかし、彼は1961年5月16日にパク・チョンヒ朴正煕が起こした軍事政変で2年も経ず大統領職を退く羽目になりました。
軍事クーデターの発生で大統領選挙制度は直接選挙制に再び変更されました。
パク・チョンヒは直接選挙制で行われた5~7代の大統領選挙で相次いで当選しました。
しかし、1971年4月に実施された7代大統領選挙以降、間接選挙制に変更されました。
当時キム・デジュン候補に僅か2〜3個の市郡の差(95万票)で辛くも勝利したパク・チョンヒが落選危機を感じたからと言われて居ます。
『統一主体国民会議』という選挙人団体が大統領を選ぶ様にしたのですが、これは彼の息の掛かった御用人士で、パク・チョンヒは8~9代の大統領選挙で相次ぎ当選しました。
しかし彼は上記の3選改憲と維新憲法などで長期執権を試みた為、野党及び学生運動勢力と絶えず衝突し、1979年10月にはキム・ヨンサム議員除名騒動などで釜山と馬山で起こった『プマ釜馬抗争』を引き起こし、1979年10月26日、KCIA(中央情報部)部長キム・ジェギュの銃撃に斃れました。
続いて同年12月6日に実施された10代大統領選挙で単独立候補したチェ・ギュハ国務総理は「統一主体国民会議」の投票で大統領職に上がりましたが、その年の12月12日、チョン・ドゥファン全斗煥が起こした12.12粛軍クーデターで在任8ヶ月にして辞任しました。
粛軍クーデターと戒厳令の拡大で政権を掌握したチョン・ドゥファンは「光州5.18民主化運動」を無惨にも徹底弾圧、民主化の芽をトコトン摘んだ上で1980年8月11代大統領選挙に単独出馬し、「統一主体国民会議」の投票で当選しました。
そして後継としてロ(ノ)・テウを規定路線として間接選挙制で選ぼうと画策しましたが、しかし1987年6月『6月人民抗争』が全国に巻き起こり、この抗争の要求事項が「大統領直選制」だった為、抗い難い要求に膝を付き、大統領直選制を骨子にした改憲と民主化を受け入れました。
6月の抗争の結果で作られた現行憲法によって、1987年12月16日に直接選挙制が実施されましたが、キム・デジュンとキム・ヨンサムの民主化勢力の分裂と言う失敗を受け、 13代大統領選挙では漁夫の利を受けたロ(ノ)・テウ候補が当選しました。
大統領任期は5年の1期限りとなりました。
その後、3党与党野合でキム・ヨンサムが、その後宿敵キム・ジョンピルとの野合によりキム・デジュンが、そしてその後ロ(ノ)・ムヒョンが大統領を務め文民政権が確立しました。
その後、振り子の揺り戻しで保守リ・ミョンバク、パク・クネ候補が次々と当選しました。
しかし、パク・クネ朴槿恵前大統領はセウォル号沈没事故などで批判され、民間人チェ・スンシルの国政運営介入事実が明らかになり、2017年3月に弾劾されました。
弾劾以降実施された大統領選挙でムン・ジェイン候補が当選しました。
歴代大統領選挙は特定の月が有りませんでしたが、1987年の改憲で13代大統領選挙からは12月に行われました。
そして、パク・クネ朴槿恵前大統領弾劾後の2017年の大統領選挙は5月に行われました。
今回は進歩派で与党民主党のリ・ジェミョン候補と、野党のアン・チョルス候補と最後の最後で候補一本化した保守ユン・ソグヨル候補の非常な接戦が予想され、蓋を開けるまで分からない状況が続きますが、出口調査などにより夕方には大勢が判明するそうです。
最終決定は午前0時頃になるそうですが、粛々と結果を見守りたいと思います。
大統領選挙を描いたエンタメ作品は多く、映画「ザ ・キング」などが有名です。
今年公開の「キングメーカー」が好評を博して居ます。
<参考文献>
연합뉴스 [오늘은] 대통령 선거방식 어떻게 변했나?