先日、ミレーナを挿入する際の麻酔方法として、傍頸管ブロックという方法をご紹介しました。




今回また新たに別の麻酔方法に関する報告が出てきたので、見ていきたいと思います。







対象

ミレーナを挿入する2分前に、20mg/mlのメピバカインという麻酔薬を子宮内に10ml注入する76人と、生理食塩水を注入する75人で、痛みの強さを比較しました。


痛みの強さは、無痛を0mm、考えうる最も強い痛みを100mmとして、長さで表現してもらいました。



結果

ミレーナ挿入時の痛みは


メピバカイン群: 53.9mm

生理食塩水群: 67.2mm


と、ややメピバカイン群の方が痛みが軽い傾向がありました。



耐えられる痛みの強さだと表現した割合は


メピバカイン群: 93.3%(75人のうち70人)

生理食塩水群: 80.3%(66人のうち53人)


と、メピバカイン群の方がやや多い傾向でした。




このように、ミレーナ挿入時に前もって麻酔薬を子宮内に注入することで、挿入時の痛みをある程度軽減できる可能性があります。



ひとつ懸念点があるとすれば、麻酔薬そのものを使える上限の量が決まっている、ということ。


あまり沢山の量を使ってしまうと中毒症状が出てしまうため、使う量には気をつけなければならず、前回お話しした傍頸管ブロックと併用する場合には、今回の子宮内に投与する麻酔薬との合計量に注意が必要になります。




痛みのスコアとしては、傍頸管ブロックより今回の子宮内注入の方が、やや効果が弱い印象ではあります。



そのため、傍頸管ブロックそのものの痛みをどうしても避けたいという方は、傍頸管ブロックを行わずに、今回の子宮内注入の方法を選ぶ、と言うのが現実的かも知れませんね。