ちょうど昨年の今頃は、富士山山頂への登山を終え、ご来光や影富士(雲海のうえに富士山の影が映し出される現象)をみることができ、喜んでいたことを思い出しました。
その影富士の縁起もあり、今年は懸念していた10年近くに及ぶ遺産相続(海外在住者4名を含)が無事にまとまりましたし、今回もタイトルとなった遺産相続につき、嬉しい報告ができる次第です。
このお盆は、妻の実家の山口宇部に帰省し、私のクラスだった山口県の司法書士等と暑気払いをする予定ですし、2年前に登った谷川岳にも再登頂予定です。
今回紹介する遺産相続は、相続人が全部で15名、相続財産も最も少ない相続人でも、法定相続分が一人あたり数千万円となり、過去最高額となったケースです。
被相続人(以下「Aさん」という)には配偶者も子もなく、兄弟姉妹と甥姪(代襲相続人)が相続人で、一部数次相続(Aさん死亡後に死亡したため)3名を含みますが全部で15名となります。
私がAさんの後見人だったため、Aさんの喪主でもあり面倒を看ていた弟さん(以下「Bさん」という)に、相続財産を引き継いだところ、そのままBさんから遺産承継の依頼を受けました。
しかし、Bさんの話によると、他の14名の相続人のうち、音信不通や面識のない相続人が7,8名いて、どこにいるのかも分からないとのことでした。
そこで、法定相続情報を作成する依頼をBさんから受け、相続人全員の戸籍と戸籍の附票を取り寄せ、相続人全員の現住所を把握しました。
問題はここからです。
Bさんは法定相続分だと6分の1ですが、少しでも多く相続財産をもらいたいという意向があり、果たして他の相続人がそれを受け入れるか、という問題です。相続財産が高額なだけに、かなり難しいと思われる旨を伝えました。
Bさんは寄与分等を主張できないことはないですが、それを認めてもらうために家裁に遺産分割調停に持ち込むと証拠による立証や弁護士費用等もかかり、長期化は否めないです。他の相続人が法定相続分を確保されないと他の相続人からも遺産分割調停に持ち込まれるリスクもあります。
そこで、私からは、Bさんから他の相続人に財産目録を送付する際に、以下の内容の手紙を送ることを提案しました。
Aさんの相続は法定相続で相続手続きを進めるが、今までのBさんがAさんの面倒をみてきたことを訴え、今後のAさんのお墓の維持管理費用を通常よりも多めに要求し、もし一人でも相続分の譲渡をしてくれる人がいれば、その相続分の一部でもよいのでBに申し出て欲しいという温情に訴えるお手紙をダメ元で出すことを指南しました。
これだと相続人全員の法定相続分は確保され、財産が要らない相続人だけが申し出をすれば済みます。
無事にその手紙は全員に届き、全員と連絡が取れました。
そして、なんと4人から相続分譲渡の申し出があったのです。その総額は6分の1となり、Bさんは合計で6分の2の相続財産を受領することとなり倍額となりました。
結果的にはBさんを含め11名の相続人で遺産分割協議を行い、Bさんを除く法定相続人は法定相続分が確保され、無事に協議が成立しました。
これで、長期化や余計な費用がかからず、円満に遺産分割協議がなされ、私としても縁起の良い影富士のおかげだと受け止めている次第です。
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