岐阜県美術館で約30年ぶりに、
洋画家の山本芳翠の回顧展が開催されています。
その記事を書いている際に、Web上でこんな漫画を見つけました。
『マンガふるさとの偉人 山本芳翠』。
こちらは、公益財団法人ブルーシー・アンド・グリーンランド財団、
B&G財団の助成を受けて制作された漫画で、Webページで無料公開されています。
漫画としての完成度が高く、山本芳翠の生涯がよくわかりました。
なんなら、展覧会よりもわかりやすかったかもしれません!
しかも、山本芳翠のキャラクターも立っており、
この漫画を読めば、彼のことが好きになること必至です。
ちなみに、個人的に好きだったのは、若き日の芳翠のエピソード。
伊勢へと向かう船旅の途中で嵐に巻き込まれ、
多くの乗客が不安にさいなまれた際に、芳翠はこう鼓舞したのだとか。
「私は世の中で一番幸福な人間だ。
さらには大きな望みも持っている。
そんな人間を、神も仏も見捨てるわけがない!!
私の乗った船は絶対に沈まない!絶対にだ!!」
また、フランス時代には、『レ・ミゼラブル』でお馴染みの文豪、
ヴィクトル・ユーゴと意気投合し、お互い尊敬しあう間柄となったそう。
それゆえ、芳翠は自身の長男に「友吾」という名前を付けたそうです。
さて、このB&G財団の『マンガふるさとの偉人』には、
他にも、芸術家を主人公にした漫画がたくさんありました。
例えば、広島県北広島町生まれ、
上京後は池袋モンパルナスの画家として活躍した靉光(あいみつ)。
また例えば、岐阜県中津川市生まれで、
92歳で亡くなるまで画を描き続けた日本画の巨匠・前田青邨。
さらに、マイナーなところ(?)では、
島根県美郷町出身の日本画家・中原芳煙を題材にした漫画もありました。
正直に言って、中原芳煙のことは存じ上げなかったのですが、
東京美術学校(現東京藝術大学)を首席の成績で卒業したのちに、
宮内省で正倉院の御物整理を担当するなど、第一線で活躍されていたようです。
39歳という若さで結核で亡くなりますが、
もし、長生きしていたら、もっと評価されていたに違いありません。
というか、中原芳煙同様に、今日の今日まで存じ上げずに恐縮ですが、
B&G財団の『マンガふるさとの偉人』も、もっと評価されてもいい気がします。