【読書感想】シルバニアファミリーのような世界「焼きたてパン工房プティラパン」 - 柑橘パッショナート

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【読書感想】シルバニアファミリーのような世界「焼きたてパン工房プティラパン」

 

先日Twitterで回ってきた「焼きたてパン工房プティラパン~僕とウサギとアップルデニッシュ~」という本が新しく販売されるという情報を見て「え~~絶対かわいいじゃん~絶対楽しそうじゃん~~」と、ご飯系のお話が好きな人間として飛びつかないわけがなかった今日このごろです。後パンに関しては知識がちょこっとだけわかるので、どんな風に物語に集約していくのだろうで、本屋に立ち寄ってみました。売ってた。そして買ってた。

 

ということで、「焼きたて工房パン工房プティラパン」の感想文です。

焼きたてパン工房プティラパン~僕とウサギのアップルデニッシュ~ (マイナビ出版ファン文庫)

 

 最初に読んだ感想が「こ、これ知ってる…シルバニアファミリーのパン屋さんだ…!!」ってかんじでした。

 

シルバニアファミリー お店 森の焼きたてパン屋さん

シルバニアファミリー お店 森の焼きたてパン屋さん

シルバニアファミリー お店 森の焼きたてパン屋さん

 

 

私が持っていた頃のシルバニアファミリーから進化しすぎてびっくりするけれど、昔我が家にシルバニアファミリーのパン屋さんがあったんです。

で、まぁバゲットとかクロワッサンとか並べていたのですがうっかり片付け忘れて素足で分でめっちゃ痛いという経験もしたことがあります。お母さん当時は本当にすまんかった。

で、まぁ今回の小説「プティラパン」のイメージは本当に「シルバニアファミリー」の世界観が現実世界と混同しているような感じで、「猿人」から派生していって進化の一途をたどった我々《人間》と、動物から進化していった「獣人」たちの物語です。

 

主人公は想良(そら)という少年と、ココというウサギの獣人の女の子の二人。

今まで「人」がいる街でしか過ごしたことがなかった想良君が獣人のいる街にやってきて、沢山の人達と出会うことで見解が変わっていく。根っこの優しいところは変わらないまま、ちょっとした動物たちの「特性」と、それぞれの「個性」を考えて謎を解いたり、交流を深めたりという物語でした。

 

シルバニアファミリー 人形 ショコラウサギファミリー ショコラウサギの女の子

シルバニアファミリー 人形 ショコラウサギファミリー ショコラウサギの女の子

シルバニアファミリー 人形 ショコラウサギファミリー ショコラウサギの女の子

 

 こちらショコラウサギさん。シルバニアファミリーの人形で見慣れていたので「獣人ってどんな感じだろう」と自分の中でイメージをふくらませるのにとっても参考になりました。

動物というのは「これを食べたらだめ」「これは食べられる」というものの線引があり、(例えばチョコあげちゃいけない、とか)そういう意味でも非常に掘り下げられていて、また同時にこれが「人種差別」的な部分(見なりで判断してしまうことについて)も掘り下げられているからこそ、彼らの心の傷と、それに向き合う力についても非常に優しく、丁寧であったように感じます。

獣人というのは「人と人」の間であったとしても突然変異的な形で、血筋でそちらの見かけによってしまうこともあるこの世界観で「自分だけがうさぎ」ということに苦悩するココもいますし、また、姉は人間である一方で弟がリスよりである「人と獣人」になっている姉弟も登場します。

それぞれがそれぞれに「傷」と想うのか「個性」と思うのか、家族だからこそ傷ついてほしくないと隠すべきなのか、外の世界で「交流」してもらいたいと思うのか…という、なかなか読んでいてどちらの主張もわかるからこそのしんどい…切ない…でも皆基本はポジティブな方向にいこうとしているんだよなあって思う部分が強かったです。

 

また、いつもどちらかというと「獣人」の人たちと触れて、彼らと溶け込んでいく想良くんもまた「人」としてどうあるべきか、またどうしていきたいか、自分の環境をどこにつきつめていくのか……というところに思い悩んだりもするのでそのへんでの共感性もありました。

中学生くらいの子が読んでも楽しいだろうし、成人して歳を重ねたからこそ「少し優しい小説が読みたいな」っていうときに読むといいかもしれません。

 

そして何よりこの作品では非常にご飯、特にパンが美味しそうに描かれることが多いです。

「獣人」のココがベーカリーを開くことは衛生面的に大丈夫なのだろうか?(毛が入らないだろうか)等の心配も読む前正直ありましたが、そちらの面に関してもきちんと表現されており、アップルデニッシュを始め、ドングリブールにチョココロネ…ココの焼くパンがどれもこれも美味しそうです。

芳しい香りと、想像しただけで焼きたてのパチパチとしたパンの音、惣菜パンからシンプルなバゲット類、食パンに菓子パンとお腹が空いてきます(笑)

オーブンやホイロ、ベンチタイムの描写もあって、筆者の方が非常にベーカリーについて調べているのが伝わってくるし同時に「ウサギはこれが食べられないからこそパンで作れず、ゆえに人の力を貸してもらう」という流れも非常に良かったです。

 

▽試し読みも出来るのでぜひ!
estar.jp

 

これからシリーズになってくれたらまた読みたくなるような、そんな優しい心になれる小説でした。しかしながら想良くんじゃないけれどココやみんなの描写がもふもふだったり可愛かったりで思わず抱きしめたくなる気持ちも大いにわかります。私もハムスターの公星さんが好きです(笑)

実際にあったら本当にプティ・ラパンにはお伺いしてみたい、そんな、あったかくて素敵な小説でした。

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