この記事は2019年6月1日に掲載された情報となります。
最近「GAP」という言葉を耳にする機会が増えていますが、ご存じですか? 今回は、そのGAPの基本について、網走農業改良普及センターで普及に取り組んでいる、浅田洋平主査にお話を伺いました。
網走農業改良普及センター
主査 浅田 洋平さん
Q. そもそもGAPって何?
A.みんなにとって「よい農業のやり方」です。
GAPは「Good Agricultural Practice」の頭文字をとったもので、直訳すると「よい農業のやり方」という意味。日本では「農業生産工程管理」と呼ばれています。
1990年代にEUで普及が始まり、日本でも2005年頃から取り組みがスタート。2020年の東京オリンピック・パラリンピックで選手村などの食材は、GAP認証取得が必要となったことで広く知られるようになりました。
GAPの基本は、農畜産物を生産する際、適正な手順など工程の管理を行い、食品安全や労働安全、環境保全等の確保に取り組むこと。
「当たり前のこと、本来やるべきことをやっていこう」という考えを基にしています。作業手順のルール化などで、農場運営の効率化が図られ食品の安全性も高まり、よりよいものを消費者の皆さんに届けられるというもの。
また、GAPの取り組みにより作業を見直すことで、問題点をあぶり出し新たなルールを作り直す機会にもなります。
Q.GAPのメリットとは?
A.経営改善につながります。
農薬をきちんと保管する、道具はいつも同じ場所に置く、そうした取り組みで安全性向上と作業の効率化につながります。
また、農薬や肥料などの在庫管理の徹底で、二重購入の無駄を防げます。整理された中での作業により省力化、効率化を実現。物を探すイライラから解放され、モチベーションもアップします。
農畜産物の品質向上や生産性にも良い結果をもたらし消費者から信頼を得られたり、経営によい影響を与えてくれます。
Q.どこから始めればいいの?
A.現状を把握し、問題点を見つけるところから。
日頃の作業に問題点はないかを見直し、一つひとつ改善を目指します。まずは、片付けのルールを決めるのもいいでしょう。その日の気分で作業をするとムラができたりミスを呼ぶことも。そんなリスクを減らすためにも作業手順のルールを決め、農場内での共有が大切。
GAPに欠かせない作業の記録は、タブレットやスマホのソフト等もあります。自分のやりやすい方法で、できるところから始めましょう。