一歩先行く農業生産者たちに聞いた!《オススメ製品5選》買ってよかったもの、欲しいものは?
2023/06/19
先進的な視点で農業経営を行う生産者は、どんなものを買っているのだろうか? それぞれのフィールドで挑戦を続ける5組の生産者の方々に、オススメの製品を聞いた。
高精度の畝立て・マルチ張り可能
細部までこだわった畝立てマルチ
久松農園
久松達央さん
慶応義塾大学卒業後、帝人㈱入社。退社後、1年間の農業研修を経て、独立就農。 スカイプ、SNSなどを駆使するソーシャル時代の新しい農業者として、仕掛ける農業を展開。他農場の農業運営サポートも行う。
『農家はもっと減っていい』(光文社新書)
オススメITEMを教えてください!
●ラクーネロータリ ハイジ
●充電式草刈機
●充電式マルノコ
アグリアタッチ研究所のトラクター用平高整形ロータリの「ラクーネロータリハイジ」は細部に至るまでよく設計されており、精度の高い畝立て・マルチ張りが可能です。マニュアルやサポートも充実しています。
また、マキタの充電式草刈機は起動が早く、ちょい刈りに最適です。エンジントラブルもないので、楽。また、充電式のマルノコもワイヤレスなので、さっと作業に取りかかれます。使用角度も自在で便利です。
今年挑戦したいことは?
下水汚泥の農業利用です。食料自給率の低い日本は、世界中から窒素やリンを持ち込んでいます。そのかなりの割合は、下水汚泥となって、ただ燃やされるか埋め立てられています。未利用の生物系廃棄物としてはすぐに手をつけなくてはならないのに利用が進んでいません。肥料・飼料の輸入価格の高騰もあり、検討する好機だと考えています。
注目の技術・サービスは?
RPA※による業務効率化に関心を持っています。業務部分の工数削減は、経営資源のないスモールビジネスにとって重要です。
※ロボティックプロセスオートメーション(Robotic Process Automation)の略。ソフトウェアロボットにより、PC上での業務を自動化する技術。
誰でも簡単に設置可能!
三協フロンテアのユニットハウス
稲作本店
井上敬二朗さん/真梨子さん
稲作本店は150年以上続く稲作農家の7代目。現在は、約20haの田んぼで米作りを行っている。食べる人の健康と環境に配慮して栽培方法にこだわり、無農薬・無肥料米、特別栽培米、低農薬米を育てている。令和4年度 農水省・内閣官房「ディスカバー農山漁村の宝アワード」にて、審査員特別賞を受賞。
オススメITEMを教えてください!
直売所開設用にユニットハウスを購入し、予算を抑えるためにDIYで塗装して、下屋を付けてお店に仕上げました。三協フロンテアのユニットハウスは、建築確認申請が不要で、設置も簡単です。もし手狭になったり、不要になれば移動もできるので他の用途に使うこともできて、とても使い勝手が良いです。お店はお客様に好評で、たくさんのお客様に「オシャレですね!」と言っていただけます。お店の休日には、ミーティングルームとしても活用できますし、冬場はスペースが広くない分、すぐに暖かくなるのも嬉しいポイントです。
今年挑戦したいことは?
これまでお米の精米や甘酒、ポン菓子などの加工品をECや卸販売してきましたが、今後は、昨年リリースした人気の「田んぼのカヌレ」(米粉でできたカヌレ)をEC展開するなど、米粉の可能性を探求して様々な商品開発を進めていきたいと考えています。また、地元での販売だけでなく、都市部での販売も行ってお客様との出会いを増やしていきたいです。
いま欲しいものはある?
好きな場所でポップアップショップが出せる、SHOP COUNTERさんのサービスに注目しています。東京など都市部での販売や、テストマーケティングをやってみたくて、今年チャレンジできたらと考えています。
作業記録の登録や確認が簡単に!
アグリノートでチーム力向上へ
ROSE LABO
田中綾華さん
大学を中退後、大阪のバラ農家で修業し、22歳の頃に農薬不使用の”食べられるバラ”を栽培するROSE LABOを起業。冷凍バラで作るジャムやシロップなどの加工食品やナチュラルコスメを開発。
ROSE LABO
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オススメITEMを教えてください!
「アグリノート」の導入により、日々の作業確認や、作業記録をスマートフォンからも、登録や確認が容易であり、また社内全体で確認できる媒体としてとても便利です。当社では深谷本社と東京支社の二拠点で物理的に距離が離れているので、全社員がしっかりと毎日の栽培状況を可視化することで一丸となりチーム力が向上しました。
もう1つのおすすめは、「HRMOS」というアプリです。農家でも他業種同様にしっかりと勤怠管理を行い、社員が働きやすい環境作りに努めています。誰がどれくらい残業や休日出勤をしているのかを可視化することにより、誰かに仕事を偏らせることなく、みんなで協力しあえる仕組みになりました。また従業員からも安心して働けると好評です。
今年挑戦したいことは?
ESGやSDGsに力を入れており、生産物の廃棄数をゼロにする取り組み「Zero Waste(ゼロウェイスト)」を開始しています。製品の小ロット生産に加え、収穫した食用バラも廃棄がないように管理しています。食用バラをA品とB品に選別し、見た目の美しいA品は飲食店への卸しに、B品は乾燥や真空冷凍し自社の化粧品原料などに加工しています。 今後も、SDGsの17個のゴールに向けて、農業界のロールモデルとなるような生産管理を行います。
いま欲しいものはある?
燃料の高騰で、暖房費が嵩んでいます。イニシャルコストもランニングコストも、環境にも負担のない暖房機を活用したいです。
ウィングハローで生産性が飛躍!
動かす水、土の量が劇的に変化へ
トゥリーアンドノーフ
徳本修一さん
消防士、芸能マネージャー、歌手活動を経て、IT企業の創業に参画。子どもたちがおいしく安心して食べられる野菜を作るため鳥取に帰郷し、トゥリーアンドノーフを始めた。
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オススメITEMを教えてください!
昨年、田んぼの代掻きをするニプロの大型ウィングハロー(WLZ5700NX)とニコン・トリンブルのGNSSガイダンス・自動操舵システム(Trimble GFX-750、NAV-900、EZ PilotPro)を導入しました。ウィングハローは5mを超えると、水田農業の世界が変わります。動かす水、土の量が劇的に変わり、生産性が飛躍します。さらにガイダンス付き自動操舵システムとの組み合わせで、オペレーターの負担も激減します。このコンボは最高です。今後もじゃんじゃん農地集積を進めながら、比例して生産性も高めていきたいと思います。
今年挑戦したいことは?
大規模化を進めていくと同時に「発信」にも力を入れていきます。日本だけでなく世界のトップ農家とのコラボ企画も実施していく予定です。
これからの持続可能な農業の為には、現場のプロ農家がファクトを発信する必要があると強く感じているからです。
注目の技術・サービスは?
持続可能な農業を考える上で、遺伝子組み換えやゲノム編集などバイオテクノロジー技術が、これからさらに重要になってきます。今年「日本バイオ作物ネットワーク」(JBCN)を立ち上げます。バイテク作物に関心のある日本の多くのプロ農家とネットワークを作り、精力的に発信していきます。
簡易的でおしゃれな内装
ユニットハウスを直売所に!
ドロップ
三浦綾佳さん
様々なライフステージを経ても、働くことを諦めない職場を作りたいという想いから、就農を決意。栄養士・野菜ソムリエプロの資格を生かし、代表として、生産・ブランディング・販売・経営を担う。
オススメITEMを教えてください!
昨年、直売所とトマトの自動販売機を農場に設置しました。直売所というととてもコストがかかる印象がありますが、なるべくコストを抑えたい、でも内装にはこだわりたい。そんな中で私たちが選んだのが三協フロンテアのユニットハウスでした!簡易的な作りでありながら、壁紙の色や棚などおしゃれな物を取れ入れられるので、農場のカラーも出せますし、弊社の場合は出荷作業を行う作業場もユニットハウスで十分に機能しています。
今年挑戦したいことは?
これまでの7年間は生産現場、商品のブランディングに力を入れてきました。8期目の現在は、スタッフ一人ひとりが主役になれるビジネススタイルに力を入れています。ワークショップなどお客様と一緒に何かを行うことで、農場のファンになってもらう。スタッフがワクワクしながら農場の関係人口を増やすための施策に取り組み、それを私がフォローする、というスタイルが今とても楽しいです。
注目の技術・サービスは?
農場のある2haほどの森をどう生かそうかな?と考えているところですが、木登り体験のためのツールなどもあるようで、子供たちと森の距離を近づけられる取り組みが出来たらいいなと思います。スタッフがそれぞれやりたい事を発信し始めたことで、様々なジャンルの方と関わりが出てきているので、私1人では想像出来ないようなアクティビティが生まれそうだな~と期待しているところです。
AGRI JOURNAL vol.26(2023年冬号)より転載