農薬代を大幅削減! コンサル監修アプリで始める農薬散布管理 | AGRI JOURNAL

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農薬代を大幅削減! 適切な農薬散布管理ができるコンサル監修アプリがリリース

「農薬についてコンサルを受けたことで、より理想的な農業ができるようになりました」と語るのは、福島県のイチゴ農家、小沢充博さん。この夏誕生した、コンサルタント監修の農薬アプリは、注目のアイテムだ。

プロの知識に頼ったら
圃場の状態と経営が上向きに

高品質なイチゴを安定的に栽培し、地域で一目置かれている「おざわ農園」。おざわ農園はハウスに高出力LED装置を設置するなど、新しい試みも積極的に採用し、農園の隣では朝採れイチゴを使ったロールケーキを扱う 「ロールケーキ専門店 AND ROLL」 も運営する。
園主である小沢さんが梅本さんにコンサルを依頼するようになったのは、約3年前のことだ。当時から農園の経営は順調だったが、その影で小沢さんはこんな疑問を持っていたという。

「果樹においては“この時期からこの病害虫の対策のために防除したほうが良い”という防除暦がきちんと地域で決まっていますが、野菜においては曖昧で、対処療法になっています。生産者任せではなく、施設園芸にも対応したものがあれば……と思っていました」。

おざわ農園 小沢充博さん。「安心して食べてもらえるイチゴを安定的に作ること」を信条にイチゴの生産を行う。

そのような時に出会ったのが、農薬のコンサルティングを行う梅本さんだった。梅本さんは現在、防除指導や防除暦の作成などを行う「クレイジーアグリ」の代表を兼務しており、農薬に関する豊富な知識や技術が、多くの生産者に支持されている人物だ。

「たとえば、同じ病気でも温度帯によって対応できる農薬が変わりますが、“この先一週間温度が低いから、この農薬のほうが合う”というアドバイスや、“梅雨明けで急激に乾燥してくるとこの病気が増えるから、この農薬が合う”など、時期に合わせた提案をもらえます。すぐに考えも定まりますし、防除の結果も良い方向に変わってくるのが面白いです」(小沢さん)。


「おざわ農園」のイチゴは、爽やかな甘みとまろやかな酸味、緻密な果肉を持ち味とする逸品。畑に隣接する直売スペースには、ひっきりなしにお客がやってくる

梅本さんの提案のもと、使用する農薬の内容や散布の頻度を変えたところ、圃場の状態と経営状況がさらに上向いたという。

「最適な農薬だけを使うようになったので、農薬代も削減されました。3年前よりも圃場の面積が10aほど増えましたが、そのいっぽうで年間の農薬代は30~50万円減っています」(小沢さん)。

このように農薬散布にプロの意見を取り入れて適切な防除を行えれば、農業経営にプラスの影響が生まれていく。しかし、こうしたアドバイスは誰もが受けられるわけではない。そこで梅本さんは、株式会社FYFとともに、適切な農薬と効果的な使い方を気軽にチェックできるアプリを開発。2022年7月より無料DLが可能となった。

 

コンサルの知見が盛り込まれた
FAAM(ファーム)

「FAAM」のアプリ画面

「FAAM」は、農薬と病害虫の防除に特化したアプリケーション。農薬コンサルタントとして活躍する梅本さんの知識と経験が各所に反映されており、農薬散布に関連した多様なシーンで利用者を正しい方向へと導いてくれる。

「FAAM」の特長の一つが、優れた管理機能。圃場ごとの農薬散布スケジュールをアプリ上で登録でき、農薬の成分別の使用可能回数などが自動でカウントされるため、例えば特定の農薬の使用回数が超過する場合、アラートが表示される。

「FAAM」のアプリ画面

また、病害虫検索機能により対応する農薬の提案・選択が可能だ。有償サービス内では、圃場ごとのスケジュール上にアプリが推奨する散布スケジュールと適切な農薬が表示されるため、迷うことなく、病害虫の防除効果が高い農薬散布を行える。

「FAAM」をきっかけに、農薬を散布する際にかかるコストや労力の削減、収益のアップを狙うこともできる。

FAAMで実現すること


ユーザーがこれまでに使用した農薬や天気予報などの情報から、最適な農薬を割り出す

【アプリの主な機能一覧】
<病害虫検索機能>
画像や特徴から病害虫を特定し、効果の高い農薬を厳選して表示。
<農薬散布作業管理>
農薬に関連した作業を登録し、アプリ上のカレンダーで簡単に確認できる。
<農薬コンサルティング>※有料
農薬コンサルタントの知見・経験に基づいて予測した防除暦や、地域の天気などに合わせた農薬の提案を受けられる。

 

アプリ開発秘話


左:株式会社FYF 渡辺和典さん
右:クレイジーアグリ 梅本達也さん

「FAAM」は、梅本さんとITインフラを支える企業「株式会社FYF」の渡辺さんが二人三脚で開発。開発にまつわるエピソードを語ってもらった。

梅本さん:これまで行ってきた農薬コンサルティングの知見を落とし込んだアプリを作って、多くの生産者の方に役立ててもらえたら、と思ってFYFさんと開発を始めました。

渡辺さん:梅本さんと様々な情報交換を行う上で見えてきた農薬にまつわる諸問題を、まずは整理していきました。特に印象的だったのは、自己流で農薬散布を行っている生産者さんが意外なほど多くいることです。

梅本さん:この問題の背景には、農薬に関してしっかりとした知識を持つ人が少ないという事実があります。そのため、生産者の方が正しい知識を得づらい状況があると思います。

渡辺さん::FAAMは、梅本さんの知見を散りばめたアプリです。アプリのリリースを機に、正しい農薬の知識をもつ人を増やしていきたいですね。

 

アプリ問い合わせ

株式会社FYF
TEL:04-7192-8927


文:緒方佳子
写真:柳沼涼子

AGRI JOURNAL vol.24(2022年夏号)より転載

Sponsored by 株式会社FYF

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