タキイ培土『Type Z』とは?
日本三大種苗メーカーの一社であるタキイ種苗が開発した「タキイ培土 for professional Type Z」。高い通気性と保水性によって優れた根回りと豊富な根鉢内部の細根量を実現し、「締まった苗」を作ることができます。窒素量によってN80から180までの5種類に分かれ、栽培品目や栽培時期に応じて使い分けられることも特長の一つです。
タキイ種苗資材部の門谷佳紀さんは、細かく種類分けされた『Type Z』の強みを次のように語ります。
「N値の使い分けにより理想の苗姿に近づけることができます。また、原料の品質とバランスにこだわって開発した商品なので、苗の根回りや根量が非常に優れます。そのため、苗を定植した後の活着が早く、環境ストレスを受けても回復が早いのが特長です」
「培土は変えたくなかった」それでも導入したのは担当者の対応の良さから
冬の日照量が多く、温暖な気候の静岡県菊川市は、冬季レタス栽培の主力産地です。温かく澄んだ空気の中でレタス栽培を中心に農業を営む「株式会社とわ」の代表取締役、白井佑介さんは、28歳のときにリーマンショックを機にサラリーマンを辞め、地元で農業を始めました。
もともと自然が好きだった白井さん。地元の同級生に誘われ、またアフガニスタンで就農支援をしていた兄の影響もあり、導かれるように農業の道に進んでいったといいます。
「始めたときはまったく知識ゼロ。『窒素って、何?』『Nって、何?』っていうレベルでしたよ」と、当時を振り返ります。
新規就農を支援する「野菜くらぶ」の独立支援プログラムで2年半ほど働いた後、レタス農家として独立しました。
「自信満々で独立したんですけど、数ヶ月で心折れましたね。たとえば、この日にこのぐらい収穫しなければならないって決まっていたら、そこから逆算して天候なども予測したうえで、いつ種を蒔くか決めるんですが、その予定が一つもうまくいかなくて」
そんな白井さんですが、現在では玉レタス22ha、非結球レタス4ha、キャベツ3ha、ブロッコリー1haの他に、ミニ白菜、オクラ、ズッキーニなども栽培するまでに成長し、会社も12年目を迎えています。
白井さんがタキイ種苗中部支店の妹尾直哉さんと出会ったのは4年ほど前、野菜くらぶのレタス部会での勉強会のときでした。その頃からタキイの培土のことは知っていたものの、やはり長年使い慣れた培土は替えたくなかったと、白井さんは語ります。
「しかし一年前、今まで使っていた培土がメーカー側の都合で供給が不安定になってしまい、『Type Z』を試しに使ってみました」
前の培土の替わりに『Type Z』を選んだ決め手は、担当者の対応の良さだったといいます。
「はじめて『Type Z』使ってみた際に苗の大きさが思ったよりも小さかったため、不安を感じました。そこで担当の妹尾さんに相談したところ、すぐに対応してくださったんです。その素早い対応に信頼感を覚えました」(白井さん)
「アドバイスを受けて窒素成分を増やしたタイプの『Type Z』を使ってみたところ、理想の苗姿となり安心しました。まだまだ使い始めで試行錯誤を行っている段階ですが、以前の培土に比べて育苗管理は楽になったと思います」と白井さん。現在では8割の育苗に『Type Z』を導入しており、今後はレタス以外の育苗にも段階的に取り入れる予定だといいます。
育苗過程をしっかりコントロールできる|『Type Z』を導入する3つのメリット
TypeZを導入するメリットを、実際に使用している白井さんにうかがいました。
1.苗の成長をコントロールしやすく、徒長が起こりにくい
水や温度に反応しやすい培土だと、水やりによってはトレイ全体が柔らかく徒長した苗姿になったり、一部の葉だけ徒長したりするなどバラツキが見られます。しかし、「TypeZ」はいわば「たくさん食べても太りにくい人」。「TypeZ」は、保水性と排水性のバランスが良く、安定して溶出する肥料を使用しています。たくさん水やりしても反応が穏やかなので、生長をコントロールしやすいメリットがあるのです。
「『TypeZ』に変えてからは徒長が起こりにくくなりました。以前使っていた培土では、育苗過程で新しい葉が増えるよりも先に本葉が伸びてしまうことがあり、徒長には毎年苦労していましたから、ありがたいですね。夏場にたくさん水を与えたいとき、細かいことを気にせず一気に水やりができるようになったのも助かっています」
2.発根に優れるので、定植後も苗が丈夫に育つ
「以前の培土では、根張りが不十分なことがありました。根が十分育つまで待って定植しても、徒長した葉や茎がマルチに当たって焼けてしまったり強風で折れてしまい、使い物にならない。しかし、『Type Z』に変えてからはそういった欠株の数は少なくなりましたね」と白井さん。
『Type Z』は、高品質なピートモスや粒度の揃ったゼオライト等の原料を使用した、保水性・保肥力に富んだ培土で、水やりをするとセル内の水分量が一定になるように設計されています。必要な水分量を含みつつもセル内には空気も残るため、細根まで丈夫な根が育ち、定植後に次の根をしっかりと生やしてくれるのです。
3.根と土が一体化するため、定植時にトレイから抜き取りやすい
三つ目のメリットは、セルトレイで育苗を行い、定植時に引き抜く際に外側の根と内部の根でしっかりと土を掴んでいるため抜き取りやすく、定植後も丈夫に育ちやすいことです。
根っこがしっかり回っていないと、定植時にセルトレイから抜きにくくなります。無理に抜こうとすると根が切れたり、ぼろぼろと根崩れが起きたりして傷んでしまうのです。
実際に『Type Z』で栽培している苗を見せてもらうと、トレイから簡単に引き抜くことができ、トレイの形に合わせたように細根までしっかりと土を巻いていました。
『Type Z』は育苗だけでなく、栽培全体を成功させるツール
「TypeZ」は、単に丈夫な苗を育てるだけではなく、定植した後も良い影響を与え、栽培全体を成功させるツールでもあります。
年々温暖化が進み、苗を植える時期の気温上昇リスクに直面する農家にとって、栽培環境に左右されにくく、優れた根回りと豊富な根量をともに実現できる『Type Z』は安定した栽培の強い味方になります。丈夫な苗が育ち、欠株が少なくなれば、全体の収穫量増加にもつながるでしょう。「今後は事業規模を拡大していきたいと思っています。お客さまが求めるものを、求める分だけ生産できるよう、栽培環境も整えていかなければなりません。そのためにも、良い苗づくりが欠かせませんね」と、白井さんは力強く語ります。
「株式会社とわ」の発展を、今後はタキイの『Type Z』が担っていくのかもしれません。
【商品に関するお問い合わせ】
タキイ種苗株式会社
電話 075-365-0123
住所 京都市下京区梅小路通猪熊東入
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