【岩手で農業はじめませんか?No.3】 故郷で歩み始めたりんどう農家としての新たな人生 (岩手県 一戸町 坂本守さん)|マイナビ農業

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【岩手で農業はじめませんか?No.3】 故郷で歩み始めたりんどう農家としての新たな人生 (岩手県 一戸町 坂本守さん)

【岩手で農業はじめませんか?No.3】  故郷で歩み始めたりんどう農家としての新たな人生 (岩手県 一戸町 坂本守さん)

岩手県北部に位置し、農業が盛んな一戸町。冷涼な気候を生かして栽培されるレタスは、東北一の産地として知られています。さらに町内には、「北海道・北東北の縄文遺跡群」の構成資産の一つとして世界文化遺産に登録された「御所野遺跡」もあります。今回は、豊かな自然と歴史が融合する一戸町で、りんどう栽培を手掛けている坂本守さんをご紹介します。

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取材協力いただいたりんどう農家/坂本 守さん

坂本守さん

【プロフィール】
・年齢:56歳
・就農年数:7年目(2018年就農)
・出身地:岩手県二戸郡一戸町
・地域:岩手県北地域・一戸町
・規模:りんどう60a
・活用資金・事業:農業次世代人材投資事業/経営開始型(農林水産省)
・営農形態:2人(本人・妻)
・暮らし:妻と2人暮らし
※2024年8月現在

将来を思い就農への道を模索

――一戸町で就農したきっかけについて教えて下さい。
私は一戸町の出身で、以前はIT企業に勤めていました。最初は盛岡で就職し、異動で東京へ。その後も何度か盛岡と東京を行ったり来たりしていて、退職する5年ほど前はずっと東京勤務をしていました。IT業界や社会が目まぐるしく変化する中、次第に感じるようになったのは将来への不安です。その頃から、少しずつ農業に興味を持つようになりました。
あるとき東京で開かれた「U・Iターン」説明会に参加して、農業をゼロから学べる「株式会社一戸夢ファーム」と出会いました。家内から「本気で農業をやるならしっかり研修を受けてほしい」と言われていたこともあり、ここで研修すれば一戸町に戻っても安心してスタートできるのではないかと思いました。

坂本さんが管理するほ場。地域の人の手を借りながら収穫作業を行う

推薦を受けてりんどうの栽培を選択

――新規就農するに当たって、りんどうを選ばれたのはなぜですか?
純粋に面白そうだと感じましたし、他の農作物よりも比較的コストがかからないのが魅力でした。例えば水稲の場合は、コンバインや田植え機、乾燥設備などが必要で、新しく揃えようとすると相当の金額がかかります。ピーマンやキュウリは低コストでできるものの、初心者の私にとっては作業量の多さがネックでした。その点、りんどうは大がかりな機械が必要ないですし、収穫や日々の手入れは全て手作業。そのため、全体を通してコストがかかりにくいのが特徴です。
一戸町としてもりんどう栽培に力を入れていて、研修を受けた「株式会社一戸夢ファーム」から推薦されたことも理由の一つです。ただ、私が栽培を始めた当時はりんどうの価格が安く、周囲から「やめた方がいい」と反対されることもありました。その後は関係機関の皆さんのご尽力もあり、今は安定した価格で出荷できています。

収穫したりんどうは水を張ったバケツに入れて選別の作業場まで運ぶ

――現在、栽培している種類や収穫時期について教えて下さい。
りんどうの収穫時期は、7月~11月前半までで、ピークはお盆とお彼岸の年2回です。花が朝露で濡れていない状態で収穫するため、朝の9時頃から作業開始。夏場の暑い時期は、8時頃から始めるときもあります。今は17~18種類くらいの品種を作付していて、出荷面積は約50a。そのほかに、約10aのほ場で1年目の苗を育てています。
一戸町には、町内初となるオリジナル品種「縄文の舞」と「御所野ヴェール」があります。品種名は町内にある世界文化遺産(北海道・北東北の縄文遺跡群)「御所野遺跡」にちなんだもので、私のほ場では「縄文の舞」を1,000株ほど栽培しています。

赤みがかった濃いピンク色が印象的な「縄文の舞」

試行錯誤しながら改善する喜び

――りんどうの品質を保つために大切にしていることはありますか?
病気や虫がつかないように、丁寧な農薬散布を心がけています。また、りんどうがまっすぐ育つように支柱の立て方を工夫したり、作業しやすい通路幅を確保したりと、毎年改善しています。周りの農家さんからアドバイスをもらうこともありますし、自分なりに考えて試行錯誤していくのが楽しいです。
また、一戸町には花き部会があり、りんどうだけでなく花全般を生産している人たちが所属しています。年に数回講習会があるほか、年末にはその年の成績を確認する実績検討会も開かれます。他の農家さんのほ場を見学する機会もあるので、日々情報を取り入れながらりんどう栽培に生かしています。

品質を見極めながら、一本ずつ丁寧に折り取って収穫する

地元だからこその安心できる環境

――新規就農に当たって、大変だったことはありますか?また、故郷で就農するメリットについても教えて下さい。
一番不安だったのは、やはり収入面についてです。農業は会社勤めと違って固定給ではありませんし、見通しが立つまで心配でした。ほかには、不動産情報が少なく住む場所を見つけるのが大変だったことや、妻は方言が分からず苦労したこともありました。ただ地元で就農すると、顔見知りが多いのでいろいろと相談できて安心です。見知った間柄だからこそ農業の厳しさを教えられることもあり、厳しさ半分、良さも半分と捉えています。
一戸町は昔からこの土地に住んでいる人と、開拓でやってきた移住者とが混在しています。そのため新しい人が移住してきても違和感なく受け入れてくれますし、豊かな自然を生かした観光スポットや温泉、スキー場もあるので、いろんな楽しみ方ができる町だと思います。

――プライベートはどのように過ごしていますか?
旅行が趣味で、キャンピングカーを持っています。それに乗っていろんな場所に行くのが好きなのですが、最近はあまり行けていません。もう少し時間の余裕ができたら、行ったことのない場所を旅してみたいと思っています。

「これから先、10年はりんどう栽培を続けていきたい」と語る坂本さん

大切なのは情報収集と将来のビジョンを描くこと

――最後に、新規就農に興味を持っている人に向けてメッセージをお願いします。
まずは、やってみることが大切です。考えているだけでは物事が進みませんし、とりあえず情報を集めてみるのが良いと思います。スタートする前に具体的な知識を身に付けておくことは重要ですし、「株式会社一戸夢ファーム」のような研修機関を利用すれば人脈を得ることもできます。農業は、手をかけた分だけお金として返ってくるのが大きな魅力。しっかり将来像を描いた上で、ぜひチャレンジしてみてほしいです。

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お問い合わせ
二戸農業改良普及センター
〒028-6103 岩手県二戸市石切所字荷渡6-3(岩手県二戸地区合同庁舎5階)
電話:0195-23-9231
ファクス:0195-23-9387
電子メール:CE0027@pref.iwate.jp

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