ネキリムシとはどのような害虫?
ネキリムシは、「カブラヤガ」や「タマナヤガ」と呼ばれるガの幼虫で、特に老齢幼虫が農作物に深刻な被害をもたらします。若齢幼虫は茎葉を食害するものの、その影響は軽微です。しかし、成長して老齢幼虫になると、生長点や株の根元をかみ切るため、作物がだめになってしまいます。根元からかみ切られるのはネキリムシ特有の被害なので、見つけたら地面を掘ってネキリムシを探しましょう。
冬場には中齢から老齢幼虫が土壌中で越冬し、春先の4月~5月によう化して第1回成虫が発生します。成虫は年間に2~4回発生し、特に暖地では冬でも活動を続けるため、被害が一年を通じて発生することがあります。昼間は土に潜んで夜間に活動を始めるため、被害が確認しづらい点も特徴です。
発生しやすい原因
ネキリムシは、特にギシギシなどの雑草が生い茂っている場所で多く発生し、猛暑の年には発生数が増える傾向があります。
また、成虫は周囲の雑草から飛んできて卵を産みつけますが、あたりに雑草がない場合はほ場内に集中して産卵されることもあります。
ネキリムシによる被害の見分け方
ネキリムシに食害されると、株元から切り倒されてしまいます。そのような株を見つけたら、株周りの土を少し掘ってみましょう。もし数センチサイズのイモムシのような幼虫ができたら、ネキリムシが発生していることがわかります。
被害に遭いやすい作物の例
ネキリムシは雑草から野菜までありとあらゆる植物を食害します。家庭菜園でもよく育てられる作物でいうと、トマト、ナス、キュウリ、ホウレンソウ、小松菜、キャベツ、ジャガイモ、大根、カブ、ネギ、そしてブロッコリーなどが狙われやすいです。特に発芽したばかりの小さな株が好まれるため、定植直後は注意が必要です。
ネキリムシとヨトウムシの違い
ネキリムシとヨトウムシは、どちらも夜行性の害虫ですが、被害の特徴が異なります。ヨトウムシはヨトウガというガの幼虫です。雑食で食欲旺盛なため、集団で葉を食い荒らし、葉脈だけを残して食用部分をほぼ食べ尽くします。一方、ネキリムシは地際の茎を食べるため、株が倒れる原因となります。
ネキリムシを駆除する方法
ネキリムシの幼虫は昼間は土の中に潜り、夜になると地上に現れます。次に紹介する二つのやり方をおさえて効率的に駆除しましょう。
土を掘って幼虫を見つける
被害を受けている株を見つけたら、株周りの土を掘ってみましょう。土の中に潜んでいるネキリムシの幼虫が見つかるはずです。見つけた幼虫は手で取り除いて処分してしまいましょう。
農薬を散布する
被害株が多い場合は農薬を散布して駆除しましょう。作物によって使うことの出来る農薬は異なりますので、よく調べてから散布してください。
農薬を散布するときは、薬剤が目や口に入らないよう、防護ゴーグルと防護マスクをつけて散布しましょう。
なお、おすすめの農薬も後ほど紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
ネキリムシの発生を予防するために
ネキリムシは夜間に株を食害することもあり、気づくと被害を受けていることのある害虫です。大切な作物を守るためには、被害を受けてから駆除するのではなく、ネキリムシの発生を予防することが大切です。
次に紹介する三つの予防方法を参考にしてください。
こまめに除草する
ネキリムシの発生を予防するためには、ほ場周りの雑草管理がとても重要です。ネキリムシの成虫は長い距離を飛んで移動し、雑草が生い茂っている場所に産卵します。そこでふ化した幼虫が成長すると、ほ場に移動して作物に卵を産み付け、食害が発生してしまいます。この被害を防ぐためには、ほ場周りの雑草をこまめに刈り取り、虫が産卵しやすい環境を作らないようにすることが効果的です。
防虫ネットを張る
ネキリムシの予防には、防虫ネットの使用がとても効果的です。外から飛んでくる成虫をブロックし、作物にたどり着かせないようにします。防虫ネットの網目は害虫に合わせて選びますが、できるだけ細かいものを使うと、ネキリムシ以外の害虫も一緒に防げます。
ハウスで使う場合、細かい網目は空気の流れを妨げることがあるため、しっかり換気を行うことが重要です。露地栽培では、雨が続くと泥はねでネットが詰まることがあるので、定期的に清掃し、ネットの状態を確認することが大切です。
本葉4枚以上の苗を植える
ネキリムシの予防には、苗をある程度成長させてから定植する方法が効果的です。ネキリムシの幼虫は柔らかい株を好むため、本葉が4枚以上になった時点で植え付けるのが良いでしょう。また、植え付け時に予防剤を一緒に散布すると、被害をさらに防ぐことができます。
被害が発生した場所では土壌消毒をする
過去にネキリムシが出た畑では、土壌消毒を行うと良いでしょう。一見していないように見えても、ネキリムシは土中で越冬します。1度被害が出た場所では、土の中に隠れ潜んでいると考えて、土壌消毒を行いましょう。
土壌消毒には夏場に行う太陽熱消毒、冬場に行う天地返し、農薬や道具を使って行う土壌消毒などさまざまな方法があります。家庭菜園では太陽熱消毒や天地返しがやりやすいので、端境期にやってみてください。
ネキリムシの予防・駆除におすすめの農薬4選
ネキリムシの予防や駆除に使うことの出来る農薬を紹介します。
ここで紹介するもの以外にも、さまざまな農薬がありますので、ホームセンターや園芸品店で自身の環境にあったものを選ぶようにしてください。
サンケイデナポン5%ベイト
サンケイデナポン5%ベイトは、白菜・大根・タバコのネキリムシ類に加えて、キャベツのコオロギやダンゴムシなどの防除に使うことが出来る薬剤です。
ペレット状になっているので、手を汚すことなくばらまいて散布ができます。薬剤のドリフトなどもないので、家庭菜園でも使いやすい農薬です。
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ネキリベイト
ネキリベイトは、白菜・大根・オクラ・キャベツ・ピーマン・トマト・豆類・ホウレンソウ・トウモロコシ・ニンジン・花き類など数十品目のネキリムシ類の防除に使うことができます。
ペレット状なので株元にばらまくだけで良く、速効性もある便利な農薬です。
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ガードベイトA
ガードベイトAも、家庭菜園では定番のトマト・ナス・ピーマン・大根など数十品目のほか、花き類のネキリムシ類防除に使うことができます。こちらもペレット状の薬剤なので、畝の上からばらまいたり、株ごとに点まきするなどの方法で簡単に散布することができます。
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家庭園芸用サンケイダイアジノン粒剤3
家庭園芸用サンケイダイアジノン粒剤3は、白菜・レタス・キャベツ・トマト・ナス・キュウリ・サツマイモ・ジャガイモなどさまざまな作物のネキリムシ類やコガネムシ類幼虫の防除に使うことができます。ウリ類のウリハムシ幼虫にも効果があり、予防効果もある便利な農薬です。
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まとめ
ネキリムシは農作物に深刻な被害をもたらす害虫ですが、適切な対策を講じることでその被害を最小限に抑えることができます。雑草管理や防虫ネットの使用、苗の成長に合わせた定植など、予防と防除のポイントを押さえておくことが大切です。
特に、苗の植え付け時に予防剤を散布することや、ほ場周辺の環境を整えることで、ネキリムシの発生を効果的に抑えられます。ぜひ本記事を参考にしてネキリムシの駆除を行ってみてください。