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葉ネギの育て方を農家が解説。畑・プランターごとの栽培方法と気を付けたい病害中、好相性のコンパニオンプランツまで一挙紹介

鮫島 理央

ライター:

葉ネギの育て方を農家が解説。畑・プランターごとの栽培方法と気を付けたい病害中、好相性のコンパニオンプランツまで一挙紹介

薬味や料理のアクセントとして人気の高い葉ネギ。日本では奈良時代から栽培されてきた歴史を持ち、家庭菜園でも手軽に育てられる野菜として親しまれています。葉ネギは風通しの良い環境を好み、適切な間引きや水やりがポイントです。また、再生栽培も可能で、スーパーで購入した小ネギを使って簡単に増やすことができます。本記事では、葉ネギの種まきから植え付け、収穫、病害虫対策まで詳しく解説します。ぜひ本記事を参考にして、家庭での葉ネギ栽培に挑戦してみてください。

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葉ネギ(青ネギ・九条ネギ)の特徴とは?


ネギの起源は中国西部やシベリア、中央アジアのアルタイ地方の乾燥地帯にあり、紀元前200年ごろには既に中国で栽培されていました。日本には奈良時代に渡来し、古くから親しまれてきた野菜です。

葉ネギはその特徴的な細長い緑色の茎が目を引きます。茎全体が柔らかく、白い部分が少ないため、やや辛味があり、爽やかな風味が楽しめます。特に九条ネギは甘みが強く、柔らかい食感が魅力です。栄養面でも優れており、ビタミンCやカルシウム、食物繊維が豊富に含まれています。

葉ネギの栽培暦

種まき 7月~8月
植え付け 9月下旬~11月上旬
収穫 10月~2月

栽培スケジュールは、種まきが7月から8月、植え付けが9月下旬から11月上旬、収穫は10月から2月。収穫まで2~3カ月掛かり、生育適温は20~25℃です。

種まきについて

葉ネギの種まきは、7月~8月の夏に行います。
九条ネギや万能ネギなどさまざまな種類が販売されているので、好みの品種を選びましょう。

種まきの時期や押さえるべきポイントなど、わかりやすくまとめましたので、参考にしてください。

種まきの時期

葉ネギの種まきは、7月~8月中に行います。
発芽適温は15℃~30℃なので、最近のように猛暑日が続くと発芽が悪くなる可能性があります。

種まきの方法やコツについて

◯用意するもの

プランター
種まき培土

◯種まきの仕方

葉ネギの種まきは「すじまき」で行います。これは一直線上に浅い溝を等間隔に作り、その溝に種をまく方法です。まず、まきやすくするために、15cm間隔でまき溝を作ります。60cmの標準サイズのプランターを使用する場合、2列程度にまくのが最適です。具体的には、深さ約1cmのまき溝を作り、5mmくらいの間隔で種をまいていきます。

なお、地植え栽培で行う場合は、直接畝にすじまきしましょう。

間引きについて

葉ネギの間引きを行うことで、青々とした大きな葉ネギを育てることができます。間引きは、種まきから収穫までに2回行います。
1回目の間引きは草丈が7cm程度になった頃に行い、株の間隔を1.5cm程度にします。2回目は草丈が10cm程度になった頃で、株の間隔を3~5cm程度に広げます。

市販の葉ネギを再利用しよう!

葉ネギの再生栽培は、スーパーで購入した小ネギを使うと手軽に行えます。新鮮で根が元気なものを選び、根元から5センチほど葉を残して切り取ります。根にぬめりがある場合は、水でよく洗い流しましょう。
プランターに3~5本ずつ10センチ間隔、または1本ずつ3センチ間隔で植え付け、たっぷり水を与えます。葉色が薄くなった場合は、化成肥料を追肥します。

葉ネギの植え付け


葉ネギの苗を植え付ける際に注意したいこと、方法や必要なものについて解説していきます。鉢植えの場合と地植えの場合、水耕栽培の方法をそれぞれ説明するので参考にしてください。

植え付け時期

葉ネギ苗の植え付けは、9月下旬~11月上旬に行います。
市販のものを植え付ける場合、葉が青々としていて力強いものを選びましょう。

プランター栽培

プランター栽培

◯必要なもの

・葉ネギ苗
・植木鉢またはプランター(大きめがオススメ)
・野菜用の培養土
・鉢底ネット
・鉢底石

◯植え付け方法

1.植木鉢に、鉢底ネットを敷き、鉢底石を設置します。
2.培養土を7分くらいまで入れます。
3.鉢を揺らして土をならします。
4.植え付け穴を作り、苗を植え付けます。
5.たっぷり水やりをします。

◯注意点

鉢は通気性の良い素焼きのものを使い、用土には排水性の良いものを選びましょう。
複数の株を植え付ける時は、3~5本ずつ10センチ間隔、もしくは1本ずつ3センチ間隔で植え付けましょう。

また、鉢やプランターを置くときは、すのこやブロックなどの上に置き、通気性を確保しましょう。エアコンの室外機などの近くには置かないようにしてください。

地植え栽培

◯必要なもの

・葉ネギの苗
・堆肥や腐葉土
・苦土石灰
・緩効性肥料

◯植え付けの方法

1.植え付けの2週間前までに土作りを行います。堆肥と苦土石灰、肥料を入れてしっかり土作りを行っておきましょう。
2.高畝を作り、植え穴を掘って苗を植え付けます。株間は15センチ取り、1穴に数本ずつ植えましょう。
3.たっぷり水やりをします。
4.株元に敷きわらなどを敷いて、乾燥対策と保温、雨の跳ね返り対策を行うと良いでしょう。

水耕栽培

葉ネギは水耕栽培で育てることもできます。
水耕栽培用のキットを使うと便利ですが、ペットボトルなどで自作しても良いでしょう。

◯用意するもの

・水耕栽培キット(ペットボトルなど自作のものでも良い)
・葉ネギの苗
・液体肥料
・ロックウールやスポンジなど

まず水耕栽培キットを組み立て、栽培容器に水と栄養液を適切な比率で混ぜます。次に、葉ネギの苗を植えます。
日差しが足りない場合はライトで光を当ててあげましょう。また水位を定期的にチェックして、必要に応じて水や液体肥料を追加しましょう。

栽培管理について

葉ネギは栽培管理が難しくなく、あまり手間をかけずに育てることができます。特に注意すべき点などはありませんが、水やりの仕方や、肥料の管理についてはしっかり押さえておきましょう。

水やりについて

◯プランターの場合

過湿に弱いので、こまめな水やりは逆効果になってしまいます。土の表面がサラッと乾いたら、たっぷりと水やりをしましょう。水やりをする際は、朝夕の涼しい時間帯に行ってください。

◯地植えの場合

基本的に水やりは必要ありません。晴れが続いて土がパサパサになってしまうようであれば、水やりを行いましょう。地植えの場合も、朝夕の涼しい時間帯に水やりしましょう。

肥料について

2週間に一度、ボカシ肥料を一握り与えます。水やりの代わりに液体肥料を与えても良いでしょう。肥料の与え過ぎは悪影響ですが、チッソを若干多めに与えることで葉の茂りが良くなります。

葉ネギの収穫

草丈30センチほどになったら収穫できます。根本から掘り上げてしまっても良いですが、家庭菜園の場合は、株元3センチ付近で切って収穫すると良いでしょう。収穫後に追肥と水やりを行って大切に育てれば、収穫期間中であれば何度か繰り返し収穫できます。

葉ネギは種取りできる?

葉ネギの種は寿命が短く、自家採種をして来年に使い回すのは難しいでしょう。
種まき時期に新しい種を買った方が確実です。

葉ネギにつく病害虫

葉ネギの栽培において、病害虫の発生は避けられません。病害では特にうどんこ病、サビ病、白絹病、白斑葉枯病が。害虫ではアブラムシ、アザミウマ、ハダニ、ヨトウムシがよく見られます。それぞれの症状と対処法を以下に紹介します。

うどんこ病

うどんこ病に罹患すると、葉に白い粉状のカビが発生し、次第に葉が黄色くなり枯れていきます。対処法としては、風通しを良くし、過湿を避けることが挙げられます。初期段階での防除には、殺菌剤の使用が効果的です。

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サビ病

さび病に罹ると、葉に小さな橙色の斑点が現れ、次第に黒色に変わります。葉が枯れる原因となります。こまめに葉を観察し、早期発見に努めましょう。発生した場合は、患部を取り除き、殺菌剤を散布します。

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白絹病

根元に白い糸状のカビが発生し、葉が急速にしおれて枯れる病気です。
日頃から土壌の排水性を良くするよう心掛け、感染が確認された場合は感染部分を取り除きます。感染が広がった場合は、土壌消毒が必要です。

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白斑葉枯病

葉に白色の斑点が発生し、斑点が広がって葉が枯れる病気。発生初期は殺菌剤を使用し、感染した葉を取り除きます。予防には、葉の密度を下げ、風通しを良くすることが効果的です。

アブラムシ

アブラムシが発生すると、葉や茎に小さな虫が群がり、葉が変色し、成長が阻害されます。
被害を防止するには、早期に発見して捕殺するか、農薬を使用します。テントウムシなど天敵農薬の利用も効果的です。

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アザミウマ

葉に小さな傷が付き、銀白色に変色します。これにより、作物の成長が阻害される可能性もあります。被害が少ない場合は発見次第捕殺し、ひどい場合は適切な殺虫剤を使用します。

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ハダニ

葉の裏に小さなダニが付き、葉が黄色く変色し、落葉することがあります。対処法としては乾燥を防ぎ、水やりを適切に行うことが大切。発生が確認された場合は、ダニ専用の殺虫剤を使用しましょう。

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ヨトウムシ

ヨトウムシは夜間に活動し、葉を食害します。葉に大きな穴が開くことがあります。発生が確認された場合は夜間に捕殺するか、フェロモントラップを使用します。被害が大きい場合は、適切な農薬を散布します。

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葉ネギの健康を保つためには、定期的な観察と早期の対処が重要です。これらの対策を実践し、病害虫から葉ネギを守りましょう。

相性がいいコンパニオンプランツ

葉ネギと相性の良いコンパニオンプランツを一緒に植えることで、成長を助けたり、害虫を防いだりする効果が期待できます。

キュウリ

ネギの根に共生する微生物が自然の抗生物質を出し、キュウリのつる割れ病などを予防します。キュウリの植え穴に葉ネギの苗を向かい合わせて置き、根が絡むようにすると効果的です。

ナス・トマト

ナス科の野菜(ナス、トマト)は青枯病や立枯病などの土壌伝染性の病気にかかりやすいです。葉ネギと一緒に植えることで、葉ネギの根に共生する微生物が抗生物質を出し、これらの病気を予防します。

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ほうれん草

葉ネギの根に共生する微生物が自然の抗生物質を出し、ほうれん草の萎凋病を予防します。また、葉ネギの強い香りが病害虫を防ぎ、根腐れ病やうどんこ病の発生を抑える効果もあります。

普段からの病害虫対策が葉ネギ栽培のカギ

葉ネギの栽培は手軽で家庭菜園に最適です。適切な栽培方法や病害虫対策を実践することで、健康でおいしい葉ネギを育てることができます。栄養豊富で爽やかかな風味の葉ネギは、さまざまな料理に活用でき、食卓を彩ります。ぜひ、家庭で葉ネギ栽培に挑戦し、新鮮なネギを楽しんでください。

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