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ラッキョウの育て方を農家が解説。畑・プランターごとの栽培方法や気を付けたい病害虫まで一挙紹介

鮫島 理央

ライター:

ラッキョウの育て方を農家が解説。畑・プランターごとの栽培方法や気を付けたい病害虫まで一挙紹介

甘酢漬けや塩漬けとして古くから愛されてきたラッキョウ。カレーの付け合わせとしてもよく食べられ、食卓に欠かすことのできない野菜です。病害虫にも強く、土壌を選ばず栽培できることから家庭菜園でも人気のあるラッキョウですが、土寄せをしないと白くおいしいラッキョウにならなかったりと、注意したいポイントも。本記事ではラッキョウの植え付けから収穫まで詳しく解説していきます。ラッキョウの早取り野菜であるエシャレットについても解説しますので、ぜひ本記事を参考にしてラッキョウ栽培に挑戦してみてください。

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ラッキョウの育て方

ラッキョウは、ヒガンバナ科ネギ属に属する多年草の野菜です。原産地は中国とチベットのヒマラヤ地方で、日本には9世紀に薬用植物として伝わりました。その後、江戸時代になると食用として広まりました。なお、軟白栽培して早取りしたラッキョウはエシャロット、エシャレットと呼ばれます。

ラッキョウの栽培は比較的簡単で、土壌のえり好みが少なく、堆肥(たいひ)もあまり必要としません。また、冬の寒さにも強い性質があり、連作障害も起こりにくく、菜園初心者でも育てやすい作物です。

ラッキョウの栽培暦

ラッキョウの植え付け、追肥、収穫の時期は、栽培する場所によって異なります。
中間地、暖地、寒冷地に分けて、それぞれの作業時期を見ていきましょう。

中間地で栽培する場合

植え付け:8月中旬~9月上旬
追肥:9月下旬~12月上旬、翌年3月
収穫:3月下旬~4月上旬(エシャレット)、6月(ラッキョウ)

暖地で栽培する場合

植え付け:9月
追肥:10月~12月、翌年2月下旬~3月上旬
収穫:3月~4月上旬(エシャレット)、5月~6月(ラッキョウ)

寒冷地で栽培する場合

植え付け:8月中旬~9月上旬
追肥:9月中旬~11月上旬、翌年3月下旬~4月上旬
収穫:4月中旬~5月上旬(エシャレット)、6月中旬~7月上旬

まず中間地では、植え付けは8月中旬から9月上旬に行います。追肥は9月下旬から12月上旬と翌年3月にかけて行います。エシャレットとして収穫する場合、植え付けは3月下旬から4月上旬、ラッキョウとして収穫する場合は6月になります。

次に暖地の場合、植え付けは9月に行います。追肥は10月から12月と翌年2月下旬から3月上旬にかけて行います。エシャレットの収穫時期は3月から4月上旬、ラッキョウとして収穫する場合は5月から6月になります。

最後に寒冷地では、植え付けは8月中旬から9月上旬に行います。追肥は9月中旬から11月上旬と翌年3月下旬から4月上旬にかけて行います。エシャレットとして収穫する時期は4月中旬から5月上旬、ラッキョウとして収穫する場合は6月中旬から7月上旬となります。

ラッキョウの植え付け

ラッキョウの植え付け時期や、植え付け方法・コツについてわかりやすく解説していきます。
ラッキョウは生命力が高く、雑に植え付けても育ちますが、おいしく奇麗なものを作るために、株間や種球を植え付ける向きなど、いくつかポイントを押さえておきましょう。

植え付け時期

種球の植え付け時期は、地域によって異なります。
ラッキョウの栽培適温は20℃前後なので、真夏の暑い時期を避けて植え付けします。

中間地の場合は8月中旬~9月上旬が植え付けの適期。暖地の場合は9月、寒冷地の場合は8月中旬~9月上旬ごろが適しています。

プランター栽培の場合

◯用意するもの

・ラッキョウの種球
・プランター
・野菜用培養土
・鉢底ネット
・鉢底石
・すのこなど、プランターの土台になるもの

◯プランター栽培の手順

1.プランターに、鉢底ネットを敷き、鉢底石を設置します。
2.培養土を8割くらいまで入れます。
3.鉢を揺らして土をならします。
4.植え付け穴を作り、種球を植え付けます。深さ5cm、株間は5〜7cmほどとりましょう。
5.水やりをします。必要であれば、農薬も散布しましょう。

◯プランター栽培の注意点

プランターを置くときは、すのこやブロックなどの上に置き、通気性を確保しましょう。エアコンの室外機などの近くには置かないようにしてください。

地植えの場合

◯必要なもの

・ラッキョウの種球
・堆肥や腐葉土
・石灰
・緩効性肥料

◯地植えの手順

1.植え付けの2週間前に土作りをします。1平方メートルあたり堆肥2kgと緩効性肥料120g、石灰150gを入れ、よくすき込みましょう。堆肥や肥料を入れた直後に植え付けをすると、根がダメになってしまうことがあるため、時間をおきましょう。
2.畝は一条植えの場合60cm、二条植えの場合80cmの幅にします。
3.立てた畝に植え穴を掘って種球を植えつけます。株間を15cm、条間は40cmにしましょう。
4.たっぷり水やりをします。

◯地植えの注意点

種球を植えるときは、先のとがった方を上向きにして植え付けます。
また、1か所に2~3球植えたり浅植えにしたりすると、小さいサイズのラッキョウを作ることができます。

ラッキョウの栽培管理

ラッキョウは病害虫に強く、痩せた土壌でも育てることのできる栽培しやすい作物です。
栽培管理も特に難しいことはありませんが、ここでは押さえておくべき三つのポイントについて、それぞれわかりやすく解説していきます。

水やり

地植えの場合、水やりは基本的に必要ありません。晴れた日が続き、土壌が乾燥するようであればさっと水やりしましょう。

プランターの場合は、土の表面が乾いたら、プランターの底から水が染み出るまで水やりしましょう。

いずれの場合も、水やりは朝夕の涼しい時間帯に行いましょう。

施肥

元肥は植え付け2週間前までに、1平方メートルあたり堆肥2kgと緩効性肥料120g、石灰150gを入れ、よく耕しましょう。

ラッキョウの追肥は、植え付けからおよそ2カ月後に行います。このとき、株元に軽く土を寄せてから、1平方メートルあたり一握り(約50g)の緩効性肥料をまきます。
3月の上旬から中旬にかけて株の草勢が落ちている場合は、もう一度追肥を行います。1平方メートルあたり約100gの緩効性肥料をばらまきましょう。

ラッキョウは肥料分が少なくても育つので、追肥は絶対に必要というわけではありません。株の様子を見ながら調整しましょう。

土寄せ

ラッキョウの土寄せは、ラッキョウの成長が盛んな3月から4月ごろに行います。この作業では、株元に土を寄せて、ラッキョウの根本に光が当たらないようにします。

土寄せは中耕も兼ねており、この際に周りの雑草も一緒に抜き取ります。土寄せを行うことで、白くて形の良いラッキョウが育ちます。逆に、土寄せをしないと形が悪くなってしまいます。

ラッキョウの収穫

収穫時期は地域によって差がありますが、6月~7月の晴れた日に行うのが基本。
ラッキョウの地上部が黄色く枯れてきたら収穫です。地上部をつかんで丸ごと掘り起こしましょう。

収穫後は、ラッキョウの葉と根を切り落として、風通しの良い日陰で乾燥させて保管し、なるべく早く料理などに使いましょう。

エシャレットとして

エシャレットとして収穫する場合は、植え付けた年の10月~11月ごろに土寄せを行って、土を10cm以上の厚さに株元に寄せていきます。この土寄せ作業をしないと、エシャレットは軟白になりません。土寄せの際には、茎が曲がらないように丁寧に行うことが重要です。

エシャレットの収穫は、その年の11月~翌年の4月ごろまで行います。適切に土寄せを行うことで、白くて美しいエシャレットが収穫できます。

1年掘りと2年掘り

1年掘り栽培では、ラッキョウを1年間育てて収穫します。この方法では、一つの種球から約10個前後のラッキョウが収穫できます。収穫されるラッキョウの大きさは1個あたり5〜10g程度です。1年掘り栽培は手軽で、家庭菜園にも向いています。

一方、2年掘り栽培では、1年間育てたラッキョウを収穫せずにさらにもう1年育てます。これにより、一つの種球から30個以上の小粒のラッキョウが収穫できます。2年掘りで収穫されるラッキョウは1個あたり3〜4g程度の小さなサイズですが、身が締まって質が良いとされています。しかし、長期間畑を専有することになるのと、小粒なため下処理が大変であるため、家庭では1年掘り栽培の方が扱いやすいかもしれません。

ラッキョウの増やし方

収穫したラッキョウは、次の栽培時に再び植え付けることができます。まず、夏に収穫したラッキョウをよく乾かして保存します。

次に、種球を選ぶ際には病虫害がなく、張りのある充実したものを選びます。特に注意すべきは、紫色がかったラッキョウです。これは栽培中の乾燥や肥料不足が原因である可能性が高いため、除いておきます。

植え付けの手順は通常のラッキョウと変わりません。枯れた皮を取り除き、ラッキョウを一つずつバラバラにしてから植え付けます。自家産種球のほか、市販のものを使ってもよいでしょう。

ラッキョウに発生する病害虫

ラッキョウは比較的病害虫に強い作物ですが、次の病気や害虫に注意しましょう。

気を付けたい主な病害

乾腐病:ラッキョウの球根が腐る病気です。
白色疫病:ラッキョウの葉や茎に白いカビが生える病気です。
黒腐菌核病:ラッキョウの球根が黒く腐る病気です。
黒点葉枯病:葉に黒い斑点が現れ、枯れる病気です。
サビ病:葉にサビのような斑点ができる病気です。

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気を付けたい主な害虫

ネダニ(ロビンネダニ):土壌に生息し、ラッキョウの根を食害する害虫です。
ネギアザミウマ:ラッキョウの葉を吸汁して害を与える小さな昆虫です。

特に注意すべきはネダニと乾腐病です。これらは土壌や種球から感染し、被害が拡大します。発生してからの対策は非常に難しいため、事前の防除が重要です。

まとめ

比較的病害虫に強く、栽培しやすいラッキョウ。
エシャレットとして早取りするのもおすすめです。
取れたてのラッキョウやエシャレットはみずみずしく、市販のものとは違った格別な味わいです。

栽培期間が長いのが少々ネックですが、その価値が十分にある野菜です。
ぜひ本記事を参考にして栽培に挑戦してみてくださいね。

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