ペレット堆肥の製造と利用促進で環境保全型農業の普及を図る山梨県立八ヶ岳牧場の取り組み
山梨県北杜市にある県立八ヶ岳牧場の一角で、牧場内や近隣の農家から集めた家畜の排せつ物からペレット堆肥を製造する施設が2024年度から稼働している。
山梨県は一般的な堆肥より扱いやすいペレット堆肥を安定的に製造・供給し、流通も整備することで、県内はもちろん広域の農家に利用を促したい考えだ。これは「みどりの食料システム法」の施行以前から、同県が推進してきた環境保全型農業の普及に資する取り組みの一つといえる。
生産者にとっても高値が続く化学肥料の一部を堆肥に替えればコスト削減が期待できるが、重さや散布の労力、風に舞ってしまうなどの理由で敬遠されることも多かった。その点、ペレット堆肥はハンドリングが良く、一定の大きさに成形されているため扱いやすく、従来の化学肥料と同様に散布が
可能などの特長を備える(図3)。
通年の生産、現場状況、オペレーションを考慮し、フローを提案ランニングコストも削減
ただ、ペレット堆肥製造には排せつ物の水分調整と発酵、乾燥と成形、袋詰めといったプロセスを担う設備を牧場内に集約する必要がある。同県は各種機器を組み合わせたシステムをトータルに請け負うなどの条件で公募を行い、採択され機器の手配から設置、建屋の施工までをフルサポートしたのが株式会社フジテックスだ。
同社は循環型社会を目指すリサイクルなどの環境事業、エネルギー事業のほか、機器ののメンテナンスにも対応する総合商社。この案件を担当した同社農業事業部の末松直樹さんは「予算、作業の効率性や省力、省スペース、現地の気候なども考慮してトータルで提案し、施工管理まで行えるのが当社の強みです」と話す。
牧場内に完成したペレット堆肥製造施設は、高さ6mほどのコンパクトな建屋内にあり、季節や天候の影響をさほど受けずに作業が可能。建屋は十分な強度や耐震性を持ち、同社が工事全体の進行管理を行い、短納期で施設の稼働まで至った。
製造時にはホイルローダーで堆肥を投入する人員が必要になるが、投入口となるバケットの容量を通常の約3倍に増強し、投入のタイミングを1日1回程度に減らすなど省力化を図っている。
また、ペレット状に加工する前には乾燥機で堆肥の含水率を調整。常に加工に適した含水率を保ち、安定した品質のペレット堆肥を製造できるよう工夫した。
「厳しい冬の気候を考慮し、県の担当者とも相談を重ねて乾燥機の導入を決定。一方で、袋詰めは半自動にするなどオーバースペックにならないよう調整を行いました」と末松さん。
依頼主のニーズに合わせて柔軟な提案ができるのも、同社が環境事業などで豊富な経験を持っているからだ。しかも、施工やアフターメンテナンスは山梨県内の協力会社に依頼し、遠隔地からスタッフを派遣せずにコストを抑えている。
化学肥料の使用量低減に向けてペレット堆肥製造施設への自治体や農家の関心が高まる
就農者の高齢化が進む中、軽量で保管や散布が容易なペレット堆肥の需要はさらに高まると予測される。
「製造施設の建設には国などの補助金が適用される場合もあり、導入を進めやすい環境は整いつつある」と末松さん。実際、同社にも農業が盛んな全国の自治体から問い合わせが増えているという。
「当社なら構想段階から加わり、自治体のニーズに適した設備や製造方法をご提案できますから、お気軽にご相談ください」
化学肥料の使用量低減は、原料の調達、製造、運搬などに由来するCO2の削減にも役立つ。環境保全型農業に向けてペレット堆肥の利用を検討してはどうだろうか。
商品名
『堆肥乾燥ペレット化施設』
お問い合わせ先
株式会社フジテックス
農業事業部
〒169-0072
東京都新宿区大久保3-8-2 住友不動産新宿ガーデンタワー13 階
TEL:03-5155-2030(代)