レビューマジック

【L.A.コンフィデンシャル】

1997年に封切りになった米国映画。1950年代のロサンゼルスを舞台に、深夜レストラン「ナイトアウル」で発生した６名惨殺事件の担当刑事たちが、警察の腐敗や裏社会の陰謀に挑むサスペンス映画です。主演したラッセル・クロウとガイ・ピアースの大出世作となりました。第70回アカデミー賞Rでは作品賞ほか９部門で候補となりましたが、その年は『タイタニック』がアカデミー賞を総なめにした年、良い作品だったのにオスカー獲得は、妖艶な娼婦を演じたキム・ベイシンガー（最優秀助演女優賞）と最優秀脚色賞だけにとどまりました。



【そうそうたるメンバー】

この映画の魅力は、「良く練り上げられたストーリー」、「個々のキャストの持つ個性」、「物語のテンポ」、「作品に漂う緊張感」、「大どんでん返し」、「ラストの銃撃戦の凄まじさ」。ともかく全てがベストミックスです。

メインキャストを演じるガイ・ピアース、ラッセル・クロウ。この２人は今は有名俳優ですが、この作品が出世作となりました。ガイ・ピアースは正義感丸出しの知性派刑事、ラッセル・クロウは野獣的なアウトロー刑事（しかし女性を極めて大事にしていて、女性に乱暴する者を許さない）。この２人の刑事が時に協力し時には戦いながら敵を追いつめてゆきます。

また、ケビン・スペイシー。この人の演技力は円熟の境地です。この映画では刑事テレビ番組でのアドバイザーを行う花形刑事として登場します。

キム・ベイシンガー。美人女優を絵に描いたような女優さんですが、この映画では謎に満ちたコールガールの役を演じています。

その他、いぶし銀的な演技のジェームズ・クロムウェル、コメディ役者、ダニー・デビートと、ともかく素晴らしい俳優がこの映画ではてんこ盛りなのです。

しかし、これだけ主役を張れる俳優が揃っていて、各俳優が個性を発揮していても、「この映画はまったく壊れていません」。通常、映画をわかりやすく作るには、主役を据えてその主役が一人目立っているような作りにします。その方が失敗が少ないからです。ところがこの映画はその方針を採らず、あえて出演者を等しく取り上げています。結果は大成功で、絶妙にブレンドされたカクテルのように、すべてのキャストが見事に溶け合っています。

複数の強力なキャストが強力に個性を発揮しつつ、これだけ見事にまとまった映画を私は見たことがありません。この映画の大きな魅力です。もう一度言います。この映画には１人の主役はいません。全員主役級ですが、それにも関らず作品が死んでいないのです。歌に例えると、ヴォーカルが入った歌ではなく、すべての楽器が破たんなくミックスされて極上に仕上げられたオーケストラか弦楽四重奏のような絶品の映画です。

５０年代の古き良きアメリカ、しかし危険なロスという舞台の上で男たちがそれぞれの考えを貫きつつ、真実に突き進む姿、かっこ良くて仕方ありません！

【見て損はない】

結末は言いません。ともかく最初から最後まで見ましょう。最初から最後まで見所満載です。最後のどんでん返しから始まる怒涛の盛り上がり、また結末のシーン。すべて圧巻です。「ものすごいもてなしでした。満腹です。ごちそうさまでした。」と言いたいところです。私は、今まで３度くらい見ています。

TSUTAYA でレンタルするのも良いでしょう。でもこの映画は手元に置いておきたくなる映画なので、できれば Blu-ray ディスクで購入しても決して後悔しない作品だと思います。



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最後までご覧いただきまして、どうもありがとうございました。

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