1次元ゲームとは、ゲームフィールドが1ラインしかなく、キャラクターが左右(もしくは上下)にしか動けないタイプのゲームを指す。非常に窮屈なフィールドで、どのようなルールにすればゲームが成り立つかを考えることは、新しいゲームアイデアを考える際に役立つ、こともある。
既存の2次元ゲームを1次元ゲームに落とし込むことで、元のゲームの基本ルールだけを際立たせた、よりプリミティブなゲームを作るという方法もある。この前はパックマンの1次元ゲーム化をやってみた。
パックマンの1ボタン化+1D化をしてみた。左右のワープトンネルを使ってうまくモンスターを翻弄してください https://t.co/rClQ3H67y7 pic.twitter.com/l4IuZbQSOY
— ABA (@abagames) 2023年2月1日
左右にあるワープトンネルを使ってモンスターを避ける、パワーエサを食べてイジケモンスターに反撃する、すべてのエサを食べると次の面へ行く(シームレスに移行するパックマンCE方式)、というルールだけでゲームにした。左右にしか動けないことを利用して、ボタンを押すと移動方向が反転する、1ボタンゲーム化もした。パックマンらしさをミニマムに表現できたのでは、と思う。
こういった1次元ゲームを探したかったらポケコンゲームを見ると良い。ポケコンとはポケットコンピュータの略で、小型の液晶ディスプレイとキーボードから成る、いにしえの持ち運べるコンピュータのことだ。
ポケコンのディスプレイは、電卓のような1行のテキストのみ表示できるものが主流だった。なのでポケコンゲームは必然的に1次元ゲームとなる。複数行表示できるポケコンや、1行に縦複数ドットのグラフィックスが表示できるポケコンは2次元ゲームも作れたが、それは例外としよう。
PC-1245用「PBーPACMAN CPG版」はこんな感じです。○エサ、ハート パワーエサ、=ワープゾーン、白っぽいの イジケです。"CPG"はマイコン(P8,X1)などでは"PCG"と呼ばれていたようですが、ポケコンでは工学社別冊やPiOで"CPG"と記述されていたと記憶しています。 pic.twitter.com/ItqqCllwQk
— pon_pc1245 (@PPc1245) 2021年3月6日
シャープのポケコンPC-1245用パックマン。これは今回作ったのと同じようなルール。ノーマルエサは無いけど。
Bomber-Pac - Text-based One-dimensional Bomberman and Pacmanhttps://t.co/al4x5D4kdD#Arduboy 用の1次元ボンバーマン&パックマンという感じのゲームです。
— chamekan (@chame) 2018年4月2日
他のひとがPB-100に作られたゲームが元です。
爆発する前に爆弾を食べるか、敵を爆風でやっつける。左右はワープゾーンで繋がっている。 pic.twitter.com/zK210YVfgr
カシオのポケコンPB-100用パックマン、の移植版。パワーエサが爆発する変わり種。
ナムコのゲームだと、他にはメトロクロスとかも1次元ゲーム化できそう。
. / ___ o
のような画面を作って、.
がプレイヤー、/
がジャンプ台、_
がスリップゾーン、o
がジャンボ缶、のような1ラインだけメトロクロスを模擬すれば良い。ジャンプ中のプレイヤーは'
で。
こういったアーケードゲーム無理やり1次元ゲーム化、昔のポケコンでいろいろやられてそうだけど、なにぶんポケコン自体がかなり昔のハードなので、今のネットで情報を探すのが難しい。この辺が見つかればミニゲームのアイデア元としてとても良さそうなのだが。
そういえば前にフォゾンの1次元ゲーム化もしたな。
左右から飛んでくる色玉をくっつけて画面上部と同じフォーメーションを「完 成」させてください。押しっぱなしで色玉は弾き返せます。Xをくっつければ一つ色玉を壊せます https://t.co/157zep4nei pic.twitter.com/GJKZVbjLc8
— ABA (@abagames) 2021年5月3日
これはかなり無理があった。あと完成形が同時表示されていることが重要なので、1行での表示で完結させるのは難しそう。
今まで作ったほかのミニゲームの中にも、実質1次元ゲームのものがいくつかある。
グレネードで戦車を倒そう。戦車の弾はグレネードでできた穴に入ってやり過ごして https://t.co/6qQHjnmaF5 pic.twitter.com/LqQIJLIIq7
— ABA (@abagames) 2021年2月7日
グレネードを投げて地面に穴をあけて戦車の弾をよけるゲーム。これはPC-1500用として掲載されていたゲームが元ネタ。グレネードが画面上方向に飛ぶ演出をカットすれば1次元ゲームになる。
チャージビームで敵をつらぬけ!コインを壊すとペナルティ https://t.co/kcqILInXRE pic.twitter.com/o8Nz3goccW
— ABA (@abagames) 2021年4月7日
R-TYPEの波動砲だけ抜き出したもの。BEAM表示相当の情報をなんとか1行に押し込めれば1次元ゲームになる。
敵をショットで太らせて、裏を回ってくぐり抜け、ロケットでつぶして高得点 https://t.co/8Aq0enEk8H pic.twitter.com/bRElLUKtKI
— ABA (@abagames) 2021年4月25日
これは極めて分かりにくいと思うのだが、ディグダグで岩の下からプーカを太らせながら上に掘り進み、まとめて岩でつぶす場面を1次元ゲームにしたものなのだ。本当に分かりにくい。
驚異的な速度で伸びる竹林でたけのこ狩りをお楽しみください。ボタン押しっぱなしで竹の裏を通り、竹の間を高速バウンドして竹を刈るテクニックがとても重要です https://t.co/ycPHFuYI7K pic.twitter.com/vo9lpL3bky
— ABA (@abagames) 2021年4月11日
たけのこと竹の表現を1行に収まるように工夫すれば、これも1次元ゲームになるな。
薙ぎ払え!我が要塞に近づく赤い敵を高性能レーザー砲で殲滅せよ!青い味方は撃たないでね https://t.co/YsPMVNPpjb pic.twitter.com/j9ZggpW34r
— ABA (@abagames) 2021年6月24日
これも薙ぎ払い表現を工夫すればベースのルールは1次元だ。
1次元のフィールドでできるゲームを考えること、既存の2次元ゲームの1次元化をすること、ポケコンゲームのアイデアを参考にすること、この辺は制約に基づき新たなミニゲームを考える方法としてアリかもしれない。
ポケコンの1行液晶ディスプレイもそうだけど、1次元ゲームという特性を活かしたハードウェアを考えることもできる。
Line WobblerはLEDチューブを使った1行どころか1ドットの1次元ゲームを実現している。こういった専用ハードウェアを使った1次元ゲームを考えるのも面白いね。