1954-56年のエルヴィスは神がかっていた
2022.09.26
世界で最もコレクターが多いと⾔われているエルヴィス・プレスリー。彼はなぜ「キング」と呼ばれ今でも特別な存在であり続けるのか︖ その秘密を、世界最強のディーラーでありコレクターの船橋⽺介⽒が、多くの資料をもとに解き明かしていく。伝記や評伝、マニアックな資料集といった類書とは⼀線を画す⽣きたエルヴィス本である。
著者はフィフティーズ系アパレルメーカー「706ユニオン」の主宰。
かつてはエルヴィス専⾨店の店長を務め、その後メンフィスの聖地ランスキーブラザーズ跡地でエルヴィス専門店を運営。30年以上に渡りディーラーとして活動している生粋のエルヴィスマニアとして知られている。映画『エルヴィス』でも主役の衣裳に「706ユニオン」のシャツが採用されるなど、その信頼度はお墨付き!
【CONTENTS】
プロローグ 我こそがエルヴィスマニア -船橋羊介-
第1章 THE KINGは世界のファンを幸せにする
第2章 マニアが読み解く本当のエルヴィス
第3章 ミステリーだらけのレコードコレクション
第4章 雑誌・広告から検証するエルヴィスの私生活
第5章 エルヴィスの愛用服
第6章 ハーレーとキャデラック。一生愛した乗り物について
コラム
邂逅1 アルフレッド・ワートハイマー
邂逅2 スコッティ・ムーア
エルヴィスが愛用したギター
特別対談 ギターウルフ・セイジ×船橋羊介
船橋羊介 エルヴィスグッズコレクション
■タイトル
「1954-56年のエルヴィスは神がかっていた」
■著 船橋羊介
■立東舎
■発売日10月21日
■価格 2,420円
ランディングページはコチラ
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カテゴリー: Information,Press,Elvis Presley,Music
グリースアップ・マガジン最新号【特集/ロックンロール・シューズ】
2018.08.09
待ちに待った最新号GREASE UP MAGAZINE VOL.15入荷しました。
今回はロックンロール・シューズ特集です。
706 unionでもいくつか執筆、ご紹介いただきましたがp18のBUCK SKIN SHOES。
本文中「ここがパット・ブーンかエルヴィスになるかの分かれ道」の表現にリュウタ編集長が興味を持ってくれ、非常に嬉しく思いその辺りをもう少し書いてみたくなりました。
1956年7月1日The Steve Allen Showからのリハーサル写真。
本番では全身タキシードスーツながら靴のみ「Blue suede shoes!」というオチの打ち合わせ。
リハーサルで履いているのはホワイトバックスですが靴底に注目するとレザーソールなのが判ります。
レザーソールは履いていると擦れなどで色が薄く見えてきます。
これでダンスホールやステージの床を傷つけることなくスムーズに足を運ぶ事が出来ます。
卸したては靴底が滑るので要注意。
無駄な装飾のないホールカット・ドレスシューズは靴底にあまり厚みが無くシャープで美しいシルエットです。
一方パット・ブーンの着こなしを見ると当時のアイビーリーガーに近い爽やかでスポーティーなスタイルを好んでいる様で、ホワイトバックスは赤レンガ色のブリックソール、元々はテニス等のスポーツでも愛用されていた為、時代と共に常に軽く柔軟性にある素材に改良されてくるのでソールを見ると年代も分かりやすい物です。
革底ドレスシューズより厚みのあるラヴァーソールに代表される様な弾力性に富んだ樹脂系にはあまり不良性を感じないというか当時の明るく豊かなアメリカを象徴する靴と思えてきます。
靴の形状はエルヴィスに比べカジュアルな印象の外羽根式プレーントゥ。
ホワイトバックスと云えばやはりこの形が有名でヴィンテージ市場でも多く見かけるのがこのタイプです。
1955-56 米オールデンカタログ
典型的なホワイトバックスが掲載されていますが、この頃の一般的な商品カタログでエルヴィスが履いていたタイプは見た事が無いです。
今回のGREASE UP MAGAZINEを読むと同じ50~60年代でもイギリスでは厚底ラヴァーソールシューズは不良的なのに何故かアメリカでのホワイトバックスを含むクレープソール系に関しては明るく健康的なイメージがあるのは興味深いです。
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別冊Lightning Vol.155 憧れの銘品ギター図鑑
2016.07.27
別冊Lightning Vol.155 憧れの銘品ギター図鑑
エイ出版社
¥2,700(税込)
(2016.7.26発売)
「憧れのギタープレイヤーが愛用した あのファッションアイテム。」
706 union ジュエリー等、紹介されています。
エルヴィスが使用したギターは
大雑把にいうと
1954年Martin 000-18
1955年前半Martin D-18
1955年後半Martin D-28
アルバムジャケットとしても有名な1955年フロリダ州Tampaで演奏中の画像ですがよく見るとギターの弦が切れています。
当時のエルヴィスはコードストロークが強かった様でギターの弦を演奏中に切る事が多く、翌年の1956年のライブツアーからは新しいMartin D-18と去年からのD-28の2本を常に持ち運んでいましたが、急激に売れ出してピアノやコーラス等のバックミュージシャンが増えてからは自身でギターを鳴らす事も減りスペアのギターも必要が無くなった模様。
それ以降はGibsonが多くなり、ライブ活動中心となった1970年代ジャンプスーツ時代は
Gibson J200やDove、Guild F50を愛用する写真が多く残されています。
しかし何故かエルヴィスが亡くなった1977年はMartin D-28と D-35をライブで多く愛用。
しかも生音が好きなのか?ヴォーカルマイクで拾って”That’s All Right” “Are You Lonesome Tonight?””Reconsider Baby”などガンガン弾いて歌っています。
50年代から60年代の映画、68、73年のTV出演など印象的な場面でGibsonを愛用していましたが、生音はMartinが好みだったのかも知れないですね。
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LET’S GO! Rockin’n’Rollin’ 【Rockin cover only night!!!】
2016.06.06
LET′S GO! Rockin’n’Rollin’ vol.71
Rockin cover only night!!!
2016/ 7月2日(SAT)
@下北沢BASEMENT BAR
OPEN 17:30 / START 18:00
ADVANCE 2,500yen(ドリンク代)
ATDOOR 3,000yen(ドリンク代)
◆BAND◆
練馬ヒルビリーバップス
Mr All rights & The Secrets
ブラック キャットス
TEN STRIKES
ARAKEN’S BAR
The 59 Rockers
◆ROCKIN DJ◆
RYOZO
SiN
◆Guest DJ◆
MIYAKO
◆Rockin Dance School◆
ikummy
BOB
◆tattoo booth◆
彫わく
◆Rockin FOOD◆
移動レストランBARCO
◆SHOP◆
Witch’s BonBon Vintage
守田屋
原宿es
◆TICKET◆
BASEMENT BAR (03-5481-6366)
原宿Jack’s (03-3470-1499)
GOOD ROCKIN′ (042-720-8358)
原宿 es (03ー3797ー0036)
『supported by CARLSBERG BEER』
今年もカヴァー特集やります、年一回この特集の為のユニット、練馬ヒルビリーバップスに参加します。
本物のヒルビリーバップスは今年メジャーデビュー30周年で嬉しいことにライブがあります。
7/23に羽田国際空港・TIAT SKY HALLにて旧メンバーが集結してヒルビリーバップス 30th Anniversary Partyが開催されますね。
7/20にもCD、ヒルビリー・バップス 30th ANNIVERSARY BEST(DVD付)が発売。
色々と楽しみです。
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映画【THE BIG TOWN/ビッグタウン】
2016.05.14
1987年公開。1950年代のシカゴが舞台。
マット・ディロン主演の天才的なダイスクラップシューター演じる男の恋に、人生に、友情に、社会に翻弄される青春を描いた作品。
ストーリー展開はシンプルで見やすく面白い作品だが、50年代が舞台と言う事で、やはり衣装が見どころ。
ネップ(かすり)が入ったイタリアンカラーの半袖シャツ。ヴィンテージを着用している様に見える。タイトに着こなしていてとてもカッコいい。
レコードショップでジュークボックスを囲み、女性をナンパ。
ここでも50’Sスタイルの代名詞、オニキスリングと、IDブレスレットを着用。
ブルゾンもリバーシブルのウールの物を着用。
大勝負に買った後の洋服爆買いのシーン。
素敵な50’sスタイルのスーツやジャケットが次々に運ばれてくる。
タイムトリップして50年代の服屋で買い物をしまくりたいと言う夢が映像化されていて燃えるシーンだ。
ネップの入ったウールジャケットを着用。
ここに三つボタンの半袖ポロシャツを合わせているところが、リアル50’Sの着こなしを衣装担当が良く分かっている事を伺わせる。
黒地に霜降りネップが入ったジャケット。
ワイシャツとネップのジャケットを合わせる着こなしが、これまたリアル50’S。
当時人気絶頂だった時のマットディロンの作品であり、ダイアン・レイン、トミー・リー・ジョーンズ、等出演陣も豪華。
50’Sの着こなしの参考にオススメの映画の一つだ。
カテゴリー: Select Items,Music
映画【Guys and Dolls/野郎どもと女たち】
2016.05.13
1955年のミュージカル映画【Guys and Dolls/野郎どもと女たち】
マーロン・ブランドのスーツはお洒落なピークドラペル。
1940年代はダブルのスーツに多く見られましたが1950年代に入るとシングルタイプでモーニングスーツの様な拝み一つボタンが出て来ます。
1950年代のヴィンテージで見る限りノーベントが殆どですがマーロン・ブランドはサイドベントで一つボタンは通常のあわせで拝みでは無いタイプです。
エルヴィス・プレスリーもTV出演の際、ピークドラペルのジャケットを着用していますが骨格のしっかりした体型にはこの形が似合いますね。
この作品は元々ブロードウェイ・ミュージカルだったので珍しくマーロン・ブランドが歌うシーンがあります。
曲は”Luck Be a Lady”
後にこの映画で共演していたフランク・シナトラがライブで歌う様になり1966年に発売された”Sinatra at the Sands”で聴けるバージョンはカウント・ベイシー楽団がバックを務めていて素晴らしい演奏です。
その為か、管楽器などのアレンジはほぼそのままでブライアン・セッツアー・オーケストラもカヴァーしてます。
このアルバム、他にも”Get Me to The Church on Time”をブライアンはライブのアンコールで良く使っていました!
話がそれましたが【Guys and Dolls/野郎どもと女たち】は最近、低価格のDVDが出ているので是非観て貰いたい作品です。
カテゴリー: Music
映画「LOVELESS」ラブレス
2016.05.05
1982年公開作品。
1960年代初頭のアメリカ南部を舞台にした奇妙な事件を、ジェームズ・キャメロンの前妻であり、「ハートブルー」を監督したキャスリン・ビグローが「ワイルド・アット・ハート」のモンティ・モンゴメリーと共同で監督。
その映像は全編がマーロン・ブランドの「乱暴者」、ケネス・アンガー監督の「スコルピオ・ライジング」に通じるもの。
正にカルトバイカームービーの秀作である。
主演のウィレム・デフォーは、1980年にデビューした俳優で、初出演作では登場シーンがカットされていた為に、本作品が実質上のデビュー作にあたる。
新人とは思えない堂々たる雰囲気、狂気的な雰囲気は既にこの時から持っていたのは驚きだが、地で行っているのではないかと思うほどレザーの着こなし、ヘアスタイルが様になっている。
2年後に公開される「ストリート・オブ・ファイヤー」でも同じくレザーにグリースヘアーで登場しているが、ちょっとコミカルな雰囲気で本作のスタイルの方が断然クール。
その後「ミシシッピーバーニング」という南部の人種差別問題を追った作品にも主演で出ているが、アメリカ南部に絡んだ作品にゆかりが深いのもロックンロール的な流れを感じてしまうのはこじつけか・・・・
この映画に出て来るウィレム・デフォーの仲間が皆クールすぎて、それぞれの着こなしや、バイクからも目を離せない。
ロカビリーシンガーのロバートゴードンも挿入歌も提供しながら、クレイジーな役柄を演じきっている。
デイビスのハーレーキャップの被り方、リーゼント、もみ上げは数日前のブログで取り上げた「バイクメ~ン」のドトキンのイメージのベースの一つになっているのは明らかだ。
このもみ上げ・・・サイドバーンズ・・・髪型・・・ボーリングシャツ・・・80年代のロカビリーシーンならではの雰囲気が素晴らしい。
バイカーキャップを思わず被りたくなる美しすぎる男達・・・・。
ナイフで遊ぶ50s的な不良の生活形態・・・・
直立の運転角度に美しさを感じる・・・・
カルトムービーらしい独特のテンポの展開だが、全体に流れる不良の香りが超一級。
バイカーでなくても、着こなし等の参考に大いになる映画。
今は入手困難な作品らしいが、50’s、バイカー、ロカビリーに興味を持ったら絶対に見ておきたい。
カテゴリー: Music
Eddie Cochran (October 3, 1938 – April 17, 1960)
2016.04.17
4月17日はエディ・コクランの命日です。
日本だと代表作「サマータイム・ブルース」「カモン・エヴリバディ」などが国内外問わずカヴァーされている事で知られていますが、セッションギタリスト、多重録音、作詞作曲などにも優れたマルチプレイヤーで、もし生きていたら音楽プロデューサー等に転身して1960年代のミュージックシーンにも色々と影響を与え続けていたタイプでしょう。
そして勿論、歌もルックスも良いエディですから彼のファッションはとても気になります。
彼の代表的なイメージはグレッチ6020のエレキギターとナッソージャケット。
彼が1956年映画「女はそれを我慢できない/The Girl Can’t Help It,」でこれらを選択したお陰で現在のロカビリーシーンの代表的アイコンとなっているのです。
エディが着用していたナッソージャケットのデザインはHollywood sports wear co.”Carmel”で間違いないでしょうが、シルエットからみて、多分この画像にある薄手のタイプかと。
これは3つボタン仕様、エディはギターを持った写真が多く判別が難しいのですがほぼ同一モデルかと思います。
コクランブラザース時代の写真、二人とも同じジャケットです。
生地の凹凸感が確認できる貴重なカット。
中に着ているシャツは1955年のシアーズカタログにも掲載されている半袖サマーニットに酷似しています。
先ほどの写真を白黒にして比較。
かなり良い線行ってるとは思いますがCarmelは様々な生地で当時作られていたので、更に近い物がありそうですね。
カテゴリー: Music
2016.04.20 in Stores STAPLES/ATSUSHI
2016.04.16
東京の50s~60s シーンで人気、実力、レコードコレクションも若手No1 のDJ ATSUSHIデビューMX CD がついに登場!
トータルカルチャーを発信するAttractionsのスタッフとしてDJ活動に勤しみ10年、現場で培った経験、そして知識を貰い受け、Rockabilly, Rock ‘N’ Roll、Rhythm & Blues、Surf、Doo-wop、Jazz、Latinを独自の解釈でMIXした珠玉の39曲をノンストップで収録致しました。
今作はAttractionsと、リリース・レーベルであるDJ Katchin’氏(LONDON NITE / Crazee Gold Mine)が主宰するDDA ConfidentialのダブルネームTシャツ付きのセットになります。
2016年4月20日発売予定
タイ トル :STAPLES~Souped Up Jivers~+ 初回 限定 Tシャツ付き
アーティスト:ATSUSHI
レーベル:DDA Confidential
品番 :DDAMDC-004
価格 :¥3,000-(+Tax)
※TシャツはサイズS、M、L入荷予定です。
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最も偉大なドラマー TOP100 D.J.フォンタナ
2016.04.09
Heartbreak Hotelのゴールド・ディスクを眺める4人…
左からビル・ブラック、D.J.フォンタナ、スコッティ・ムーア、エルヴィス・プレスリー。
米ローリングストーン誌が発表した「最も偉大なドラマー TOP100」
今年はエルヴィス・プレスリーのバックを1955年の途中からレギュラーで努めたD.J. Fontanaがいきなり13位という結果になり驚いています。
ちょっと前まで100位にも入っていなかったのですが、これも過去の音楽がネット上で手軽に聴ける様な環境変化のお陰なのか?逆に自分が10代の時に常に人気投票1位だったCozy Powellが50位とは時代の流れを感じさせます。
そもそも「最も偉大なドラマー TOP100」ですから上手いドラマーTOP100では無いのですよね!
ですからD.J. Fontanaが再評価されていく最近のアメリカの状況は素晴らしいと思います。
彼は上手いドラマーというより印象的なフレーズをロックンロールの名曲に残した方です。
元々彼はテキサスで行われていたラジオ番組を中心としたカントリー&ウエスタンのイベント、ルイジアナ・ヘイライドの専属ドラマーです。
1956年にエルヴィスのバックバンドでTV番組(ミルトンバールショウ)に出演した際は、JAZZドラムの名手バディ・リッチ、ハリー・ジェームス楽団と同じステージだった為、自分達の技術力の無さに恥ずかしい思いをしたと後に語っています。
しかしエルヴィスのバックを仮にバディ・リッチの様な名ドラマーが努めたとしたらHound DogやJailhouse Rockなどのシンプルな機関銃ドラムは生まれなかった事でしょう。
1950年代の上手いドラマーは音の強弱が絶妙で当時のロックンロール曲でもジーン・クルーパを彷彿させるリムショットの音を混ぜたスネア音が甲高いフレーズが出てきたりします。
しかしD.J. Fontanaのスネア音はあまり強弱は無く悪くいえばドタドタした重い感じ、でもそれが逆に良く、パワフルなロックンロール・ドラムはエルヴィスと相性が良いのです。
1950年代、エルヴィス・ヴォーカルの強弱、リズム感は通常シャッフルのリズムとして捉える曲のフレーズでも8ビート、または16ビートとも云えるリズムを感覚的に盛り込み混ぜている上に声質も使い分けています。
本当に掴みどころの無い印象です。
この完全コピーが難しいエルヴィスのリズム感に対してシンプルに打っていった彼のドラムこそエルヴィスの歌を特定の型にはめ込まずに最大限に生かしていたと考えるのです。
彼が技巧派ドラマーでは無く空気の読めるドラマーだったのはルイジアナ・ヘイライドで色々なタイプのヴォーカルのバックを努めたからかも知れないですね。
エルヴィスのネクタイを後に廻り締めてあげるD.J.フォンタナ。
このカットだと判り難いですが彼のジャケットはシャークスキンタイプのCarmel
当時のステージ以外の写真を見るとファッションセンスもエルヴィスに近い洒落物です。
カテゴリー: Elvis Presley,Music
アーサー・クルーダップ【That’s All Right】
2016.03.23
エルヴィスが最初に発売したシングル盤は”That’s All Right”
オリジナルはアーサー”ビッグ・ボーイ”クルーダップのブルース曲です。
アーサー・クルーダップ自身がエレキギターを弾きながら歌い、バックはスラッピンベースとドラムのみの3人編成。
ロックでいう3ピースバンドのスタイルです。
エルヴィスが彼の演奏に魅力を感じたというのは想像に難くないのですがそもそも何故このブルース曲を知っていたのか?
この曲That’s All Rightは最初に発売された1946年当時はあまりヒットしておらず、後にエルヴィスがRCA移籍後カヴァーした”So Glad You’re Mine”の方がR&Bチャートで3位まで上昇しています。
彼にとっては当時はそちらの方が代表曲でした。
40年代後半それまでの78回転SP盤から新しいタイプのレコード盤が開発発表されコロンビアは33 1/3回転のLPレコード、RCAビクターは45回転を発売して競うことになります。
1949年RCAビクターは人々の目を引くカラーレコードで45回転レコードを発売、当時の広告を見るとクラシックは赤、カントリーは緑、子供向けは黄色、リズム・アンド・ブルース(Blues and Rhythmと表記)はサクランボ色。
そこでアーサー・クルーダップに白羽の矢が立つのです。
最初のCerise(サクランボ)Color盤は”That’s All Right”でした。
カラー盤が発売された1949年のエルヴィスはヒュームズハイスクールへ通う14歳でおそらくラジオも色々と聴いていたのでしょう。
当時エルヴィスが住んでいた南部メンフィスはブルース専門のWDIAなどのラジオ局もありましたが、通常のラジオ局でもRCAビクターから発売されるカラー盤はジャンル問わずオンエアした可能性があり”That’s All Right”はその時に聴いたのでは?
エルヴィスは後に「目標があったとしたらアーサー・クルーダップのような存在になることだった。彼を観た時(聴いた?)にあんなふうに演りたいと思ったんだ」と答えています。
エルヴィスは彼を含めたデルタ・ブルースシンガーに敬意を称してこう呼んでいます。
「Real Low Down Mississippi Singers…」
LOT.786-01 Mississippi
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エルヴィスが歌うミステリートレイン「MYSTERY TRAIN」
2016.03.20
エルヴィス・プレスリーがSUN時代に発表したシングル盤は5枚。
SUNレーベルでは実験的な録音が沢山あったにも関わらず結局LP盤は発売しないで残りの曲はRCAレーベルに渡したので、SUNのプロデューサー、サム・フィリップスが考えるエルヴィス・ベストはシングルで発売した10曲と云う事になります。
なかでも海外を中心に評価の高い曲は「MYSTERY TRAIN」かと思います。
しかし、SUNで最後に発売した曲にしては歌詞、演奏内容ともに他の曲に比べてもかなりシンプル、ドラムも入っていないのは不思議です。
サムは直観力を大事にするので、1950年代に始まるマルチトラック録音より、メンバー同士のグルーブ感から偶発的に生まれる古くからの一発録りを好んでいました。
本当か分かりませんがサムによれば「MYSTERY TRAIN」は何テイクか試したが、結局エルヴィスが失敗したと思い最後の部分で笑ってしまった最初のTAKE-1が良かったので採用したと後のインタビューで語っています。
これもエルヴィスの直観力を高く評価していたからの選択だったのでしょうか。
ジョニー・キャッシュはエルヴィスのギターのリズム感を高く評価していますが、バンドを牽引して行く能力というのはリズム感はもちろんですが、ドラムを使わない録音中心の彼だからこそ通常には分からない世界観があり、当時のエルヴィスにも同じものを感じていたのかも知れません。
この曲でのエルヴィスのアコースティックギターのグルーブ感は他の曲に比べてもトップクラスです。
ギターのスコッティ・ムーアは他の曲に比べても切れのあるギャロッピン奏法で更にグルーブ感を出す様に、エコーを強めでディレイ音を内臓型アンプで設定しています。
ベースのビル・ブラックはウッドベースの弦を指版に直接叩きつけてリズム音も同時に出すスラッピン奏法、通常のピチカートで出るベース音よりスラップの方がベース音自体も大きく鳴り、パーカッションの様なスラップ音も加わるのでこの曲には最大の効果を与えます。
この二人の鉄壁リズムを牽引しているのは間違いなくエルヴィスのリズムギター。
エルヴィスのギターコードストロークはドラムの様にいきなりアクセントを付ける所があり曲全体のメリハリがそこで違ってくるのです。
発売当時のオリジナル盤を聴くと三人で演奏しているとは思えないほどの音圧、迫力があります。
もともとリズム&ブルースだった「MYSTERY TRAIN」の歌詞にはホラー的要素があります。
戦前からのブルースソングには列車もの、旅物が多く存在しますが、多くは本人の内情、不安感を歌詞にする事が多く、悪魔が出てきたり何か得体の知れない物が自分の家族、彼女、財産など、何かを奪って行く内容だったりします。
当時のブルースシンガー達はそれらの曲をレコードやラジオで聞くというより、小さな酒場などで実際に見聞きした歌詞を多少意識的に変えたり、または間違えて憶えてしまいそのまま歌われて引き継がれた場合もあり、それらは1950年代になり白人シンガーにも歌われてロカビリー、ロックンロールのスタンダードとして定着した例も多々あります。
ブルースの不安感は若者の不安定な心にも響いたのでしょう…
「長く黒い列車が俺の彼女を連れ去ってしまった…」
最初に録音したのはジュニア・パーカー、彼のバージョンは素晴らしく不気味で、ジム・ジャームッシュ映画「ミステリー・トレイン」のエンディングで効果的に使われています。
対してエルヴィス版は全く雰囲気が違います。
エルヴィスは
「俺の彼女を連れ去っていってしまった、でも二度とそうさせない…」
「でも、彼女を連れ戻す、彼女は俺の物、すべて俺のもの…」
ここの部分を自身に満ちた感じで歌っていますが、一方ジュニア・パーカーの場合は悲しく切望している印象でブルース感満点です。
エルヴィスの解釈も未来ある若者らしく素晴らしいと思いますが、歌詞の内容についてサム・フィリップスと口論になったと言う話が最近の研究で明らかになった様です。
80年代に多くのロカビリーバンドがカヴァーした「Let’s Bop」などが有名なSUNの歌手JACK EARLSはエルヴィスが「MYSTERY TRAIN」を録音した際に居合わせ、SUNスタジオから自宅へ戻りジュニア・パーカー版のレコードを届けた事を憶えていたそうです。
最初エルヴィスは15両列車「fifteen coaches long..」と歌い
サムが16両列車「sixteen coaches long」だと指摘したところからオリジナル盤をエルヴィスに聴かせる為に自宅を往復する羽目になったのです。
fifteenもsixteenも歌の響きはどちらも良い雰囲気ですが意外とエルヴィスはワザとそう歌ってみて、一度中断となり、確認後正しく16両と歌い、照れ笑いしたのがリリースされたテイク、それがサムが選んだテイクだったのかも知れませんね…
LOT.786-11 Train- Black
Lot.786-11
Price…9,200yen(No Tax)
Size…XS,S, M ,L
Color Black , White
Material…Cotton 100%
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ビリー・エクスタインのシャツ【Mr. B collar】
2016.03.12
ビリー・エクスタイン「通称ミスターB」
男性的な色気のあるバリトン・ボイスが人気の歌手であり、バンドリーダーでもあります。
彼の歌う”I Apologize”は初期のエルヴィスも歌っていたと言う説も有るほど人種を問わずヒットした曲だったりしますが、更にはファッション面でも影響力が高く、彼の代名詞でもあるシャツの襟の形状は”Mr. B collar”と呼ばれ50年代前半の若者達にも影響を与え、1954年のLIFEでも紹介されています。
1990年代にアメリカで製作された初期のエルヴィスの伝記TVドラマのセリフでこんな会話があります。
当時エルヴィスがCOOLな洋服を買っていたランスキーブラザースのショップでのシーン。
ピンクのジャケットにピストルパンツをあわせるエルヴィス。
エルヴィス役の俳優が、バーナード・ランスキー役に向かって。
「これにはミスターBカラーをあわせたいね!」
後にメンフィスで本物のバーナード氏に、ミスターBカラーの事をたずねると幸運にも身振りで襟を丸くロールさせるポーズを取ってくれた事がありました。
細かく聞けなかったことは今となっては悔やまれますが、形が分かったのは大収穫でした。
ヴィンテージのシャツで”Mr. B collar”を見る事はまず無いのですが書籍などによればロールしたボタンダウンシャツです。
しかし当のビリー・エクスタインの写真で形状はロールカラーでもボタンダウンと分かる解像度の写真がないのです。
ただし1955年にエルヴィスが着用していたボタンダウンシャツも”Mr. B collar”という認識だったからこそ、あのTVドラマのセリフが出てきたのでしょうね。
もう少し細かく調べたいところです。
LOT.780 Roll Collar BD Shirt
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Elvis the Pelvisとサイドプリーツパンツ【Side Pleats Pants】
2016.03.10
1956年6月5日NBCテレビMilton Berle Showでの楽屋風景。
この日のエルヴィスは過去のTV出演でのギターを弾きがら(バラードは除く)ロックンロールを歌うスタイルを変えてギターは持たず、マイクを駆使したステージアクション中心のHound Dogを歌います。
その事から翌日の新聞記事を筆頭にメディアから酷評を受けロックンロールは悪魔の音楽とか青少年非行化の原因はエルヴィスの歌にあるなど今で云う””炎上状態”となり以降、逆にエルヴィスが出演する事で皮肉にもテレビの視聴率が一気に上がる現象が起こります。
ちなみにこの年の1月から3月まで合計6回出演していたドーシーショウの視聴率は最後まで18~20パーセントくらいで裏番組のペリー・コモ・ショウは常に30パーセント台、エルヴィスが出演する事での変化は無かった事になります。
しかしながらファッション、パフォーマンス共に、この日の演出はいつにも増して最高でした。
ピンクと黒の切り替えシャツ、パンツはレーヨンでしょうか、横カスリが入っています。どちらも初披露でしょう。
本番ではこの上からラベンダーピンクに白のウィンドウペン柄のジャケットを着ています。
しかもMilton Berle Showはこの時早くもカラー放送だったのでPink & BlackのエルヴィスがTVのブラウン管で前髪を乱し暴れる姿は白黒テレビで視聴した一般層に比べ、当時カラーテレビを所有していた富裕層は更に激怒したのでしょう!
更にこの時点ではまだHound Dogは録音していないので皆初めて聞く曲とパフォーマンスに驚く訳です。
司会のミルトンバールはエルヴィスのパフォーマンスをコメディ的な物として扱う様に努めるのですが、笑い声と絶叫の両方が飛び交う中、富裕層はエルヴィスのパフォーマンスをギャグとして許す事はありませんでした。
以降”Elvis the Pelvis”骨盤エルヴィスと云われる事になります。
この日に履いていたパンツはサイドに縫い目があり、ヒレの様なプリーツがあるタイプ。
リトル・リチャードが映画「女はそれを我慢できない」で着用しているスーツも同タイプで、かなり太めのパンツです。
エルヴィスのはあまり太すぎないシルエットですね。
約3ヶ月後、9月26日の屋外ライブ、先程と同じパンツを履いています。
生地が厚手の ベルベット・プルオーバーシャツをパンツインしてウエストがキツイからなのか?
体重が増えたのか?
随分ピッタリとしたシルエットです!
もしかしたらドライクリーニングしないで普通に洗濯機で洗ったのかも?
この日以降、履いている写真は見かけないですね…
同年代に作られたプリーツがあるパンツです。
ダブルの裾幅5cm、裾に向かって軽いテーパードが有り当時のツータックパンツとしては太すぎないシルエットです。
こちらは先のヴィンテージを基に作成した【LOT.751 Side Pleats Pants】
薄手の柔らかい生地で履くと動きのあるシルエットが出るのが特徴です。
こちらのサンプルはダブルの裾幅4.5cmにしてみました。
※製品の裾はロック始末になっております。裾上げダブルでも余裕がある様に股下100cm確保してます。
LOT.751 Side Pleats Pants
LOT.751
Side Pleats Pants
Price… 18,000yen(no tax)
Size… W30, W32, W34, W36
Color… Black、Brick、BK-BR、BR-BK
Material…Tencel 65% Cotton 35%
カテゴリー: 706union Items,Elvis Presley,Music
Bing Crosbyブランドのレーヨンシャツ
2016.03.03
恐らく1950年代前半、Gayson製Bing CrosbyブランドのCASUAL SHIRT。
素材はレーヨン。
レーヨンはもともとシルクの代用品として開発された素材なので肌触りもなめらかで、着用した時に出る生地の柔らかな、たるみ方など男女問わずセクシーに見える素材、しかしレーヨン素材は洗うとかなり縮みます。
乾燥機は絶対やめた方が良く、基本的にクリーニングでないと無理な素材。
しかし、この様に当時のタグには平気でWASHABLE(洗える)と表記しているものが多いので不思議です。
20世紀のポピュラー音楽に革命を与えた人を絞るとしたら前半ビング・クロスビー、後半エルヴィス・プレスリーだという確信が以前からあるのですが、両者ともに音楽を変えようとか、更には世の中を変えてやろうとか、そういった意識が無く結果的に音楽の流れを変えたところが本物たる所以だと考えるのです。
「創始者」というのはジャンルを問わず時代の変革期に偶発的に生まれる本物…
すいません、ちょっと偉そうですが。
たとえばエルヴィスがいたからビートルズが生まれた、ビング・クロスビーがいたからフランク・シナトラが生まれたとかチャーリー・パーカーがいたからマイルス・デイヴィスがいた等、例える事が出来ても、ビングとエルヴィスにはこれといった手本となるアーティストが浮かびません。
異論のある方もいらっしゃるかと思いますが、少なくともこれが自分の正直な気持ちです。
それとビングとエルヴィスの共通点にジャンル分けが、し難いというのがあります。
その当時に流行ったジャンルは何でも歌えるのですね。
エルヴィスをロカビリーとかロックンロールの枠内のみで語ることが不可能な様に、ビングもジャズとかハワイアン、カントリーミュージックの枠のみに当てはまらない歌手です。
ビングもエルヴィスも彼ら自身がひとつの音楽ジャンル、スタイルなのだと思います。
ですから二人ともマーチャンダイズ向きだった訳で、その為、現在でもこの手の関連商品がヴィンテージ市場に残っているのではないでしょうか。
どうでも良い話かも知れませんがシャツの裏側に付いているプリントの番号が気になってます。
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