代表挨拶 - 認定NPO法人3keys(スリーキーズ)
認定NPO法人3keys(スリーキーズ)

「今の子どもたちは贅沢だ」

この仕事をはじめて10年以上、何度となく言われてきた言葉です。しかし、私はその言葉に大きく反対しています。

確かに昔は学校に行けなかったり、食事もできなかったり、そんな時代もありました。しかし、今と大きく異なるのは、頑張った先にある「希望」です。右肩上がりの経済下では、高校や大学まで進めば、その先は基本的には終身雇用によって退職まで安定の道が待っている。そして退職までに会社があらゆる社会保険の加入手続きを進めてくれ、退職後も年金という保障があります。

かつては、高校や大学まで行ければ、その先は希望と安定が待っている、そんな高度経済成長期でした。

一方、今の子どもたちは、大学や大学院まで進んだとしても、その先はとても不安定な時代が待っています。終身雇用もなければ、非正規雇用が多い中、社会保険の保障も必ずではありません。経済成長が望めない中で、男女ともに働かないと厳しい時代ですが、出産・育児・介護などでその道は余儀なく絶たれることもあります。無理に続けた場合、育児や介護をある程度放棄せざるをえない、二択に迫られている家庭も少なくありません。寿命が延び高齢化が進む中で、年金を納めていても自分が老いた時にもらえる保障はなく、望まなくても60歳以降も働き続けるしかない人も増えています。

子どもたちは「なぜ頑張るのか?」「なぜ生きるのか?」その問いに答えを見いだせないまま日々を生きています。子どもたちの自殺率の高さ、不登校や引きこもりなどは、息切れをした子どもたちの悲鳴です。

高度経済成長期を、高校大学や就職後の数年に力を注ぐ短距離走の時代だとすれば、今の子どもたちは常に保障がないフルマラソンの時代です。高度経済成長期の「根性」「努力」では報われるどころか、息切れをし、精神的に追い込まれる時代でもあります。昔と今とでどれほど時代が変わったか、まずそれを前提に捉えなくてはいけません。

昔の常識ではなく、今の子どもたちの悲鳴を聞きながら、どんな時代を生き、どんな苦しみを持っているのかに寄り添う大人が圧倒的に足りません。子どもたちの周りの家族や学校も同じく悲鳴を上げています。子どもたちを守り、幸せにするのは、家族や学校だけでよいのでしょうか。これ以上、家族と学校に責任を委ね、何が変わるのでしょうか。

10年以上この仕事をしてきた中で、虐待や体罰など、様々な方法で子どもたちを傷つけている大人にたくさん出会いました。

しかし、そういう大人に会えば会うほど、彼らだけの責任とは思えなくなりました。彼らをそこまで追い込んだのはいったい何なのでしょうか。それは私たち一人ひとりが無意識に行っていることの結果ではないだろうか、そう思うようになりました。

「子どもは社会の宝」という言葉があります。未来を作るのは、他の誰でもなく、子どもたちです。

絶望だらけの子どもたちに未来や希望を与えるのは、大人の責任です。

子どもたちの家族や学校にこれ以上の負荷を加えることは私たちにはできません。私たちにできることは彼らの荷を少しでも下ろして、だけど子どもたちに必要なことをしていくことです。
それには私たち一法人だけの力では到底続けられません。
是非、私たちと一緒に子どもたちを見守り応援してください。

代表理事 森山誉恵(モリヤマ タカエ)

慶應義塾大学法学部卒業後、子どもたちの生まれ育った環境によらず、必要な支援が行き届くことを目的としたNPO法人3keysを設立。全国子どもの貧困・教育支援団体協議会理事。現代ビジネスでの連載をはじめ、子どもの格差の現状を講演・執筆・メディアなどで発信中。

<受賞・表彰歴>

2011年:社会貢献者表彰 社会貢献部門受賞
2016年:第30回人間力大賞(青年版国民栄誉賞)受賞

虐待や貧困などで頼れる人が周りにいない子どもたちを
サポートする活動へのご協力をお願いいたします。

控除の対象である寄付金のほか、ポイントや古本など様々な方法でご支援が可能です。

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