わたしのとっておき
『おおきな木』
シェル・ シルヴァスタイン/作・絵 ほんだきんいちろう/訳

作品概要、あらすじ
シェル・ シルヴァスタイン/作・絵 ほんだきんいちろう/訳 『おおきな木』(篠崎書林)
10
15
この本は息子が10月15日に誕生した際に、訳者である本田錦一郎先生からサイン入りで頂いた。子どもに木の葉から幹までのすべてを与える大きなりんごの木を描いた絵本だ。リズミカルなことばで、愛とは何か、与えるとは何か、人を育てるとは何かを問いかける。「きは それで うれしかった」という一文が反復され、「だけど それは ほんとかな」と深い問いに誘う。あとがきにあるように、本田先生は本書のテーマにE.フロムの『自由からの逃亡』を重ね、与え続ける木に犠牲的喪失はないと結ぶ。
T.S. エリオットの研究者として著名な本田先生は、私の前任校の先輩教員であった。専門が違う私の論文をいつもご覧くださりお励ましくださった。「自分を誇るのではなく、至らなさを知るために書き続けなさい」と。子どもを育てること、人を育てること、そして新しい知を生むことの尊さを私は本田先生に学んだ。そして「きは それで うれしかった」と私もいつか言いたい。
子育てにお忙しい方々、教育に携わっていらっしゃる方々、一人で大きくなったと思ったことがある方々など
子育てに悩むときや、人を育てているとき、自分のしていることの意味を見失ったときなど


青山学院大学教授/副院長
末田 清子
国際政治経済学部

東京生まれ。立教大学社会学科卒業。カンザス大学大学院社会学科修士(MA)、カリフォルニア州立大学フラトン校スピーチ・コミュニケーション学科修士号(MA)、英国ランカスター大学応用社会学科博士号 (Ph.D.) を取得。北星学園大学助教授を経て、現在青山学院大学国際政治経済学部国際コミュニケーション学科教授。青山学院副院長。主な著書として、『コミュニケーション学:その展望と視点 増補版』(2011, 共著)、『コミュニケーション・スタディーズ:アイデンティティとフェイスからみた景色』(2021, 単著)、 “Negotiating multiple identities: Shame and pride among Japanese returnees” (2014, 単著)、“Women‘s empowerment for a sustainable future” (2023, 共編著)などがある。