わたしのとっておき
『プロスペローの本』
監督:ピーター・グリーナウェイ 主演:ジョン・ギールグッド 音楽:マイケル・ナイマン
作品概要、あらすじ
原作:ウィリアム・シェイクスピア(『テンペスト』)
シェークスピアの戯曲『テンペスト』を実写化した映画。ミラノ大公のプロスペローはナポリ王のアロンゾーと弟のアントーニオによって国を追放され、絶海の孤島で娘ミランダと暮らしていた。24冊の魔法の書を読み力をつけたプロスペローは嵐を起こしてアロンゾーの船を難破させ、怪物キャリバンや妖精エアリエルを操り、アロンゾーらに復讐を図る。
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大学1年生の時、芸大生から映画デートに誘われ「プロスペローの本」を見た。プロスペローが魔法の書物を使って復讐をするという話だが、50人くらいの全裸の男女が乱舞するナゾの映画だった。内容を1ミリも理解できなかったが、映像と音楽の美しさに衝撃を受けたことは今でも忘れられない。デートの成果はゼロだったが、不思議な世界観を通して自分の無知さを知り、好奇心の無限の扉が開放された。分からないことを見つけ、知らないことを楽しみ、どうしても知りたいと追い求める心の自由は研究者になった現在につながっている。
大学生
自分に足りない何かを求めているとき。そういうときには、自分の知らない世界観にふれて視野を広げることが肝要で、「プロスペローの本」は見る映画ではなく、感じる映画です。
青山学院大学教授/ジェロントロジー研究所所長
平田 普三
理工学部化学・生命科学科/ジェロントロジー研究所
2000年京都大学大学院理学研究科博士課程修了、博士(理学)。京都大学ウイルス研究所博士研究員、ミシガン大学博士研究員、名古屋大学理学部助教、国立遺伝学研究所准教授を経て、2015年より青山学院大学教授。2018年より青山学院大学ジェロントロジー研究所所長。2019年より青山学院大学脳科学研究所所長。2007年HFSPキャリア開発賞、2010年日本神経科学学会奨励賞、2011年日本生化学会奨励賞、2012年文部科学大臣表彰若手科学者賞、2017年日本学術振興会科研費審査委員表彰、2021年青山学院学術賞。主な著編書に『Zebrafish, Medaka, and Other Small Fishes』(Springer社・2018年)、『ゼブラフィッシュ実験ガイド』(朝倉書店・2020年)、『感覚と応答の生物学(放送大学教材)』(NHK出版・2023年)がある。子どもの頃から動物が好きで、好きが高じて生物学の研究者になり、相模原キャンパスで遺伝子組換えを施した魚を6,000匹飼育して脳科学を研究している。愛読する科学雑誌はネイチャー、サイエンス、ムー。