今すぐ書店へGO!”夏の文庫フェア”2017…角川文庫フェア『有川浩、「自衛隊」三部作』×15(❸/5)「塩の街/空の中/海の底」
2017/08/14 (Mon)
★6月17日よりスタート!
角川文庫フェア
角
川文庫『カドフェス2017』。
2017年のテーマ「運命を変える一冊」を探そう。
今年の「カドフェス」は、5月から実施中の“角川文庫×『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』”タイアップ企画に引き続き、映画『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』(8月18日公開)とのスペシャルタイアップを実施します。
その「カドフェス 2017」タイアップビジュアルが解禁となりました。
豪華プレゼントキャンペーンも!
カドフェスブックカバー。
カドフェス ブックカバー全6種
┣打ち上げ花火、下からみるか?横からみるか?(1種類)
┣メアリと魔女の花(1種類)
┣かまわぬ(2種類)
┣ハッケンくん(1種類)
カドフェス対象本を1冊ご購入につき、店頭にてその場でプレゼント! イラストは定番のハッケンくんに加えて、この夏話題の映画『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』や『メアリと魔女の花』、そして人気てぬぐい専門店「かまわぬ」の和柄と全6種類。遊び心にあふれたブックカバーです。
※2017/6/17よりなくなり次第終了。
※対象店舗は、全国のカドフェス展開中の書店さまで、カドフェスの帯がついている文庫が対象です(店舗、一部ネット書店によっては取扱いのない場合がございます)。
※恐れ入りますが、ブックカバーのデザインはおまかせいただくことをご了承ください。
©2017「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」製作委員会
©2017「メアリと魔女の花」製作委員会
※かまわぬのスペシャルコラボブックカバーは、(株)かまわぬのてぬぐい柄を使用しています。
「感動する!」
「名作」×「…」³
「夏が好き!」
「頭の栄養」
「青春いっぱい!」
「手に汗にぎる!」
「人気のロングセラー」
角川つばさ文庫・夏まつり×角川フェア・発見!角川文庫「米林宏昌監督の原作小説2作」
岩井俊二×「打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?」
・・・・受賞作
・・・・映像化
「人気のロングセラー」×15(❸/5)
有川浩、『自衛隊』三部作
『塩の街』、『空の中』、『海の底』の三作品から構成されている。
『塩の街』が陸上自衛隊、『空の中』が航空自衛隊、『海の底』が海上自衛隊をそれぞれ題材としており、三作品すべての主要登場人物に自衛隊員が関わっている。
作品内容は三作品ともに、現実世界においては起こり得ないであろう、災害や超常現象が起こり、それに立ち向かうべく自衛隊が奔走する、という物になっている。また、多からず少なからず、恋愛要素が含まれていることも特徴である。
第10回電撃ゲーム小説大賞受賞作
塩の街 (角川文庫)/角川書店(角川グループパブリッシング)
¥価格不明
Amazon.co.jp
世界が終わる瞬間まで、人々は恋をしていた
「世界とか、救ってみたくない?」。塩が世界を埋め尽くす塩害の時代。
崩壊寸前の東京で暮らす男と少女に、そそのかすように囁く者が運命をもたらす。
有川浩デビュー作にして、不朽の名作。
…‥‥‥…★
世界が終わる瞬間まで人々は恋をしていた。
有川浩のデビュー作品であり、自衛隊三部作の「陸」に当たる。「塩害」によってすべてが塩で埋め尽くされようとした世界に住まう男と少女の恋愛物語。塩害により塩に埋め尽くされ、社会が崩壊しかけた東京で暮らす秋庭と、真奈。2人の前を時に穏やかに、時に激しく人が行き過ぎる中で、2人の気持ちは徐々に変わりつつあった。そして、2人の許へ訪れた1人の来客が秋庭と真奈、そして世界の運命を変えることとなる。もう少し硬めの話を期待していたので本編の恋愛要素はちょっと甘々で途中で投げ出しそうになった。きゅんきゅん要素がかなり多めwアクション、戦闘のシーンがほとんどなくて、心の通い合いについて書かれている部分がメイン。本編の最後が「え?ここで終わり???」って感じなのはいろいろ事情があるようで(残りページ数的にももう終わりだとは思ってなかったのもあり)。後半の「その後」シリーズは慣れてきたのと読み切りだったので割と楽しんで読めた、野坂夫婦のエピソードが一番。でもおなかイッパイ。発想といい人間心理のクロスボールといい、有川先生、デビュー作の最初からぶっ飛ばしていたのですね(笑)。年甲斐もなく意味不明の涙腺決壊に困りました。全ての本読みを熱狂させるロマンチックエンタテインメント! ここから始まる、有川浩ワールド♪
有川浩の本の良いところって本編を書きながらしっかりと恋愛ストーリーを書いているところです。二つを並行させて書くのってすごいです。後半の短編は『図書館戦争』を書いている中で書かれたというのは納得のデレデレ感w自衛官同士の交際で、二人で泊まるための部屋を借りるって本当なのかしら?民間人にはちょっと考えられない気がする。 ヒロインの真奈ちゃん健気でかっこいいよね。見習いたい(笑)。
登場人物・人物相関図━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
主要人物
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┣秋庭 高範(あきば たかのり)
元航空自衛隊二等空尉。航空自衛隊に所属していたが、世間と入江から行方をくらますためか新橋に住んでいる男。真奈が街で襲われているのを発見し「寝覚めが悪いから」と素っ気なく助けたところ、身寄りが無いことから仕方なく真奈の保護者となる。一見荒っぽい人間に見えるが相当の照れ屋で、正義感の持ち主でもある。真奈いわく「人に優しくする時に素っ気なく、怒ったような態度をとる人」。また引き出し(技術や知識)を多く持ち、普段はそれで足りない生活資金を稼いでいる。配給もあるのであまり生活は苦しくないようだ。航空戦競会三連覇という自衛隊での伝説的な過去を持つが、真奈は立川駐屯地でその話を聞くまで知らなかった。意外と潔癖な性格で、大規模テロ作戦に参加する時も自分の業績が原因で内閣軍閥化(自衛隊が政治の実権を握る状態)にならないよう、配慮を多々していた。
┣小笠原 真奈(おがさわら まな)
塩害により両親を失い、暴徒に襲われそうになったところを秋庭に助けられた普通の女子高校生。おとなしく目立たない外見だが、優しく一途でとても健気な少女。意外と決めたら頑固であり、秋庭が最終的にいつも折れる。また『その後』ではノブオに大人しやか(大人びた・落ち着いた)と評されていた。芯が強くとても理性的な性格をしていて、物事をしっかりと捉えて越えていく強さを持ち、秋庭との恋に関わること以外はワガママすら言わない。ちなみに喧嘩する時は理詰めで攻めるため秋庭を拗ねさせたことも。他人からは可愛いと言われるが、狩られる側を実体験したことがある彼女にとっては嬉しい言葉ではなく「要らない」と返したことがある。秋庭と暮らし始めていつからか猫、犬、そして遼一を拾ってくる。秋庭いわく「余計なものに引っかかって見なくてもいいものを見てしまう」人間。秋庭のことを前から好きとは思っていたようだが、秋庭が大規模テロ作戦に参加する話をきっかけにする前までは無意識に過ごしていた。
二人の前を行き過ぎた人間たち
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┣谷田部 遼一(やたべ りょういち)
海へ向かう途中に倒れて真奈に助けられた青年。幼馴染みの海月との最後に彼女をきれいな海に溶かすことを約束し、海月の塩の亡骸をリュックに詰め込んで旅に出る。旅の途中で飢えていたところを真奈に保護され、秋庭たちの協力を得て目的地の海に向かう。最期は海月の亡骸を海に撒いて2人と別れた後、自らも海に溶けて一緒になった。
┣海月(みつき)
遼一の幼馴染み。将来を約束した相手がいたが、塩害にかかったとき「本当は遼一のことが好き」だと気づき、死ぬ前に遼一のところに来てその気持ちを伝え、彼の腕の中で最期を迎えた。
┣トモヤ
囚人。罪は明らかにされていないが懲役1年6ヶ月の判決を受けていた。その後は塩害にかかり、怖くなった彼は自衛官を殺害し刑務所を脱走。遼一を海に送ってきた帰路についていた秋庭と真奈を銃撃する。その後2人の家に上がり込んで占拠するうち真奈の姿・料理などの特徴が彼が憧れ、淡い恋心を抱いていた横山ユウコに重なり、最期は真奈に優しくしてくれと懇願した後、彼女を想いながら息を引き取った。後に入江から塩化実験の被験体であったことを明らかにされる。その際に入れられた部屋の壁は白く光っていて綺麗だったと彼自身は語っていたが、これはすべて結晶から削ってきたものでできていた。ここで彼は塩害に感染し、塩化が始まった。
┣横山 ユウコ(よこやま ゆうこ)
トモヤが通っていた高校のクラス委員。トモヤがひそかに憧れていたが、照れて素直な気持ちを言えなかった。
■□■□■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
塩害について
ここでいう塩害とは一般的にいう塩害とは異なる。この作品中での塩害は東京湾羽田空港沖に建設中の埋め立て用地基礎に落下した、巨大な塩化ナトリウムの結晶を視認したことにより人が感染・塩化し、死に至る病が広がっていることを指す。入江はこの巨大な結晶を「暗示性形質伝播物質」と呼び、紛れもない生物だと明言している。これに感染・塩化し、死に至った人間の亡骸である「塩の柱」もこの病の感染源となる。ただし直接的に塩を目視しない限り感染効果はなく、そのためテレビ等では塩害にはならない。役所が機能を停止するまでに出された塩害による死亡届は延べ300万人分を超え、最低でも推定数百万人以上はいると言われている。入江がこの塩害は結晶を見ると伝染すると考えた理由の大きなものとして、この死亡者の中に視覚障害者が一人もいないという、確率的にありえない事態が起こっていたからであった。
この物語の舞台は結晶が落下した半年後と考えられる。この落下により真奈は両親を失い、また国家が臨時国会期間中だったこともあってか国会に登院しようとした議員・政府要人がことごとく被害にあい、内閣・各省庁も事実上の壊滅状態に陥る。関東圏の人口は3分の1に減り、海外でも塩害は広がり始めていた。一時放送各局は報道合戦状態で華やかだったが、スポンサーが無くなるとともに採算の合わなくなった局から閉鎖、最終的にはNHKだけしか残らなかった。残ったNHKも放送局として機能せず、再放送だと疑われるニュースだけを延々と流すだけであった。かろうじてラジオが機能しているかどうかというだけで、情報も入ってこない閉鎖された世界となっていた。
また警察などのシステムも機能せず、秋庭のように引き出し(技術や知識)を持たない俗に言う社会的弱者は、配給により食料を手に入れるくらいしか生活するすべがない。生きるのが苦しい人は、誰も住んでいない家や学生などの弱者が住んでいる家、誰もいなくなった商店等を襲撃して食料を手に入れるようになり、治安は悪化を超えてまさに無秩序。生きることが狩る側と狩られる側の戦い無しでは不可能に近い時代と言える。真奈も狩られる側となったが、そこで秋庭に助けられ暮らす場所を与えられた。
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■□■
第10回電撃ゲーム小説大賞受賞
空の中 (角川文庫)/角川グループパブリッシング
¥価格不明
Amazon.co.jp
高度2万メートル--そこに潜む「秘密」とは?
200X年、謎の航空機事故が相次ぎ、メーカーの担当者と生き残ったパイロットは調査のため高空へ飛ぶ。
そこで彼らが出逢ったのは……?
全ての本読みが心躍らせる超弩級エンタテインメント。
…‥‥‥…★
高度2万メートルに潜む秘密が生き方を教えてくれた
自衛隊三部作の「空」に当たる。200X年、謎の航空機事故が相次ぎ、メーカーの担当者と生き残った自衛隊パイロットは調査のために高空へ飛んだ。高度2万の空域で彼らはある秘密を見つける。一方地上では、子供たちが海辺で不思議な生物を拾う。大人と子供が見つけた2つの秘密が出会うとき、日本に、人類に降りかかる前代未聞の奇妙な危機とは―。読み始めこそ、うーん?という感想でしたけど、白鯨が反撃してきた辺りから面白さを感じ始めました。高巳と白鯨、瞬とフェイク、フェイクと白鯨、などのやりとりは凄く大切なことを教えてくれたような気がします。それと、最後に仁淀川の神様を載せるなんて、有川浩ズルいよ。絶対に泣いちゃうじゃん(´;ω;`)ウゥゥ..... 『空の中』って割に全然空を飛んでいない。だからなのか、空を飛ぶシーンが来るとぐっと面白い! 生き生きしてる! 空自を絡めた大人の世界と大人びた高校生の論理の世界。 ウェルズの世界のように持っていけそうだけど、落とし所の違いは有川浩の手腕ですかね。この三部作だけを見ると、有川浩って軍事オタクと思えるほどの戦闘機描写。女性が書いていることに驚く!!
登場人物・人物相関図━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
主要人物
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┣斉木 瞬(さいき しゅん)
高知県の仁淀川沿いのいの町に住む高校2年生。航空自衛官である父の仕事柄、全国の地方都市を転々と引っ越していたが、中学進学を機に高知の父の実家に預けられる。歳の割に落ち着いており、本人もそれを自覚している。父子家庭で、父が事故死した当日も高知沖を飛んでいるであろう父を見送りに浦戸湾に来ていたほど、父とは仲が良かった。その浜辺でクラゲのような謎の知的生命体「フェイク」と出会う。最初は気味悪がっていたが、佳江によって押し付けられていやいや飼う羽目になる。父の葬式の晩に、携帯電話を介してフェイクが交信してきたことから、心の隙間を埋めるようにフェイクを家族以上に可愛がりだす。文庫版に収録の書き下ろし短編『仁淀の神様』では佳江、宮じいと共に彼のその後が描かれている。
┣天野 佳江(あまの かえ)
真っ黒な髪の、勝気そうな印象の持てる瞬の幼馴染。瞬の祖父の家の隣に住んでおり、夏休みの度に帰省していた瞬とは腐れ縁。好きな言葉を三つ上げさせたら「ネッシー」「クッシー」「シーサーペント」と言うほどの筋金入りの(特に水棲ものの)UMA好き。フェイクの名付け親でもある。気味悪がる瞬にフェイクの居場所を教えさせ、あまつさえそれを瞬に飼わせるなど、少々強引なところがある。フェイクを溺愛する瞬の様子をどことなくおかしいと感じ始める。
航空関係者
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┣春名 高巳(はるな たかみ)
「スワローテイル」の製造元である特殊法人日本航空機設計の事故調査委員。元は三津菱重工(三菱重工のパロディ)小牧勤務の技術者で、スワローテイル開発チームには出向の形で所属している。突然事故調査委員に任命され、岐阜基地へ赴いて自衛隊機事故の生き残りである光稀に話を聞くことになり、事故の核心に迫ろうとする。若いながらも言葉を巧みに操ることに長けており、作中で幾度かその能力を発揮する。普段は終始理性を失わず飄々とした様子だが、時々激しい感情を露にする。光稀とともに、「クジラの彼」収録の短編にも登場。
自衛隊関係者
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┣武田 光稀(たけだ みき)
航空自衛隊の女性自衛官で階級は三等空尉。岐阜基地の飛行開発実験団に配属されているエリートパイロット。自衛隊という男社会で生きるからか、名前の字面から男と勘違いされることが多いからか、気丈な性格で、男のような話し方で歯に衣着せぬ物言いをするため、一時期「歩く公序良俗」と呼ばれていたが、一方で真っ直ぐな性格をしている。実験飛行中に事故に遭い、斉木三佐だけが殉職したことを悔いている。事故空域からの唯一の生存者であることから厳しい調査を受け、これ以上事故の話をすることを渋っていたものの、聞き取り調査に来た高巳の熱心な説得に、高巳を事故空域へ連れて行く決心をする。事故空域の「異変」に真っ先に気付いた人間である。
大学・研究関係
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┣佐久間 公亮(さくま きみあき)
名京大学で教授を務めている生物学者。48歳。「白鯨」の生態を調査するために対策本部に招聘された。専門の生物学以外にも様々な分野の広範な知識を持っている。
その他関係者
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┣白川 真帆(しらかわ まほ)
「スワローテイル」機長、白川豊の娘。爆発事故で父を亡くし、母は事故のショックで心身共に衰弱し、入院してしまった。清楚可憐を絵に描いたような高校3年生。しかしその外見とは裏腹に、中部地方の有力者である母方の親戚の力、高校生とは思われないほど卓越した話術と権謀術数、更には世論を駆使し、反「白鯨」団体「セーブ・ザ・セーフ」の実質的な代表として、父の仇を討つために異常なまでの執念を持って、「白鯨」を殲滅しようと企む。その美貌と置かれた立場からマスコミの注目を集めている。
┣宮田 喜三郎(みやた きさぶろう)
仁淀川で河漁師を営む老人。瞬らからは「宮じい」と呼ばれている。素朴な人柄で、長く生きてきた中でついた老練な知恵を持つ。朴訥な土佐弁で語るその言葉は、どれも作中において深い意味を持つ。
■□■□■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【白鯨について】
四国沖、高度2万mの成層圏に生息していた知的生命体。エディアカラ生物群の生き残りで、非常に長い生命スパンを持ち、まだ一回も世代交代を行っていない。また、同族も存在せず、自らの事を「全き一つ」と形容する。優れた知能をもち、接触以前から人間の放送電波を受信して知識などを蓄えている。日本語を覚え始めた当初はたどたどしい話し方だったが、教育によって流暢な日本語を話すようになった。
形状は直径50~60kmほどの白く巨大な硬質の楕円形で、この形状での空中での静止や超音速での高機動飛行など、物理学を超越した飛行能力を有している。人間が認識している電磁波より汎用性の高い「波長」を利用する事ができ、波長を体内に透過させる事によって外界を認識している他、ECM・雷撃・高出力レーザー・メーザー・電磁パルスなどの攻撃的な波長を用いて外敵を撃退する事も可能。また、この能力の副産物として、レーダー波を透過させる事により高いステルス性を得る事も出来る。この他、空への擬態能力なども有している。エネルギー源は太陽光線。その本質は、新たな「概念」を獲得する事によって自己進化を行い、不可能を可能にするという物。
その名称は小説『白鯨』に由来する物で、週刊誌が用いた「空の白鯨」という表現が一般に定着した物である。高巳達はこれとは別に、『白鯨』に登場する白色のマッコウクジラ「モービー・ディック」に由来する「ディック」という愛称で呼んでいる。
【フェイクス】
ワローテイルの衝突によって剥離した「白鯨」の一部。瞬によって浦戸湾で拾われた。瞬の携帯に交信をしてきたことから瞬や佳江とのコミュニケーションを始める。文法は稚拙だが、会話に用いる単語は多岐に渡る。最初はクラゲのようだったが、水から出て白い楕円形になって空を飛ぶようになる。瞬がフェイクを溺愛するように、フェイクも瞬と親しくしている。
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■□■
海の底 (角川文庫)/角川グループパブリッシング
¥価格不明
Amazon.co.jp
「奴ら」は、ぼくらを喰いにやってきた。その名は――
4月。桜祭りでわく米軍横須賀基地を赤い巨大な甲殻類が襲った!
次々と人が食われる中、潜水艦へ逃げ込んだ自衛官と少年少女の運命は!?
ジャンルの垣根を飛び越えたスーパーエンタテインメント!
番外編も収録。
…‥‥‥…★
前代未聞の危機が迫る中、果たすべき役割を全うする姿が格好いい!
自衛隊三部作の「海」に当たる。桜祭りで一般に開放された横須賀米軍基地に突如海から巨大生物の大群が襲来し、次々と人を襲う。自衛隊員2人は逃げ遅れた子供たちを連れ、米軍基地内に停泊していた海上自衛隊の潜水艦でろう城することに。冒頭から突如現れた未確認生物(甲殻類(レガリス))が大量発生し、次々に人を襲っていく…という現実にはあり得ないような設定から始まる。逃げ道をなくして知らない子ども達を連れて潜水艦に逃げ込んだ海自の視点、奮闘する警察の視点……といった様々な視点から描かれて物語が進んでいく。内容も潜水艦内で繰り広げられる行動と、男女の心の移り変わりなど有川さんらしい作品となっている。あまり、甘すぎず非常事態の政府の対応、裏で動き回る人々の描写など、細かく読み応えたっぷりのうえ、登場人物の個性が立ってて、感情移入しやすかった。潜水艦の中の日常といっても全然平和じゃないしジタバタだが、外の非日常をさらに引き立てている。住宅カーストによって歪められた子どもがとてもつらかった。元々ライトノベルレーベルだった三部作の中でも一番ライトノベルっぽい作品なのだが、警察、自衛隊のあり方への問題提起という真面目な部分は初期作品といえど、さすがは有川浩である。警察の戦闘が熱い!子供たちの方も人間ドラマがいい!特に最後。とにかく、めちゃくちゃ面白かった。自衛隊三部作のなかで一番ワクワクした。架空生物SF好きとしてはただ化け物が現れた!じゃなくて発生原因がしっかり書かれているのが嬉しい。ジャンルの垣根を飛び越えたスーパーエンタテインメント! そのあとの番外編がさらに良った。大満足です。
登場人物・人物相関図━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
潜水艦に取り残された者たち
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┣夏木 大和(なつき やまと)
海上自衛隊の実習幹部。階級は三尉でおやしお型潜水艦「きりしお」の乗組員。「有志による対テロ想定訓練」と称した行動の結果、艦内をパニックに落としいれ、罰として腕立てをやらされているところを事件に巻き込まれる。逃げている途中で、取り残されている望たちを見つけて保護し、艦内に立てこもる。女性と子供の扱いが苦手。しかし、根が真面目なため、たびたび問題を起こす圭介に本気で怒ることも。一度、望の告白を断ったが、5年後に望と再会することになり、同作者の『クジラの彼』にも番外編「有能な彼女」の中で望の恋人として登場している。
┣冬原 春臣(ふゆはら はるおみ)
夏木の同僚。同じく実習幹部で三尉。夏木と並ぶ屈指の問題児で、同じく引き起こした騒動の罰を受けているところを事件に巻き込まれる。女性と子どもの扱いには長けているため、閉じ込められた当初、子どもたちは冬原には気さくな態度で接している。しかし、性格は夏木ほど情が厚くなく、冷めているため、相手が子どもであろうが容赦はない。正論を述べる。同作者の『クジラの彼』にも登場している。
高校生
┣森生 望(もりお のぞみ)
潜水艦に取り残された未成年の一人。高校三年生。17歳で、子供たちの中では最年長で唯一の女性。4年前に事故で両親を亡くし、叔母夫婦の元で暮らしているが、養子縁組をしてもらえないことにコンプレックスを抱いている。しかし、夏木のおかげで解消することとなる。夏木大和と「出会い直す」ため、のちに技官として防衛省に就職。『クジラの彼』収録の後日談では、成人後の様子が語られている。
中学生
┣遠藤 圭介(えんどう けいすけ)
潜水艦に取り残された未成年の一人。中学校三年生で15歳。母親が住んでいる団地の主婦たちの間でボス的な存在であり、潜水艦に取り残された子供たちの中でもっとも幅を利かせている。家庭内においても支配的な母親の強い影響下にある。望をいびっており、艦内でもたびたび突っかかるため、夏木とも衝突を起こす。しかし、この事件を機に自分は望に好意を抱いていることを自覚し、母親からの離脱を決意することになる。
┣高津 雅之(たかつ まさゆき)
潜水艦に取り残された未成年の一人。中学三年生で14歳。圭介・茂久と共によくつるんでおり、圭介には逆らえない。
┣吉田 茂久(よしだ しげひさ)
潜水艦に取り残された未成年の一人。中学三年生で14歳。両親が飲食店を営んでおり、よく店の手伝いをする。初めは夏木・冬原・望の料理を黙って食べていたが、次第に我慢ができなくなり、夏木から「補給長」に任命され、閉じ込められていた間ずっと朝・昼・晩と料理を作る。手伝いのためか、学業に費やす時間がなく、成績は悪いほうである。吉田茂にちなむ名前を圭介にからかわれ、コンプレックスがあったが夏木に一喝され解消される。そのことから、当初加わっていた圭介のグループから離脱する。
┣坂本 達也(さかもと たつや)
潜水艦に取り残された未成年の一人。中学二年生で13歳。哲平と行動を共にする。
┣木下 玲一(きのした れいいち)
潜水艦に取り残された未成年の一人。中学一年生で12歳。軍事オタク。父親が教育雑誌の編集者。
┣芦川 哲平(あしかわ てっぺい)
潜水艦に取り残された未成年の一人。中学一年生で12歳。達也と行動を共にする。
小学生
┣森生 翔(もりお かける)
潜水艦に取り残された未成年の一人。小学六年生で12歳。望の弟。両親の海での事故死のショックにより、口を閉ざしてしまったが、良くも悪くも圭介のおかげで口を開くことができるようになる。同作者の『クジラの彼』では、大学生になっており、夏木とも良関係が続いている。
┣中村 亮太(なかむら りょうた)
潜水艦に取り残された未成年の一人。小学六年生で11歳。
┣平石 龍之介(ひらいし りゅうのすけ)
潜水艦に取り残された未成年の一人。小学五年生で10歳。
┣野々村 健太(ののむら けんた)
潜水艦に取り残された未成年の一人。小学四年生で9歳。
┣西山 陽(にしやま あきら)
潜水艦に取り残された未成年の一人。小学四年生で9歳。自分の名前と弟の光で『陽光』となる。
┣西山 光(にしやま ひかる)
潜水艦に取り残された未成年の一人。小学一年生で6歳。兄の名前と自分の名前で『陽光』となる。
警察関係者
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┣明石 亨(あかし とおる)
神奈川県警警備部警備課所属、階級は警部。「警備のカミサマ」との異名をとる。上層部に対し、言いにくいことをずばずば言うために嫌われ、冷や飯を食わされている。本人は丸くなったと思っているが、烏丸からは「現役」と評価されている。事態発生を早急に察知、インターネットでの情報収集などに活躍。元々は警視庁に所属していた模様。「ゴジラ」をヒントに電撃による足止め作戦を指示したり、登場人物と同じ名前ということで芹澤を対策本部に採用するなど、怪獣映画通でもあるらしい。
┣烏丸 俊哉 (からすま としや)警察庁警備部参事官。階級は警視正で、警察庁より派遣された幕僚団の団長。警察上層部の扱いなどに長け、また防衛省などともパイプをもつ模様。自他共に認める「次期長官の秘蔵っ子」であり、その立場を最大限に利用する大胆な男。本書には参考文献として佐々の3冊の著書が挙げられている。
自衛隊関係者
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┣川邊(かわなべ)
一等海佐。海上自衛隊潜水艦「きりしお」艦長。たびたび問題を起こす夏木・冬原を叱咤しつつ、内心では「有事の際に必要な人材」として目をかけている。子供達を「きりしお」に避難させる際、レガリスに襲われて死亡。『クジラの彼』に登場する聡子の同僚の伯父であり、女性の少ない職場にいる部下を度々合コンさせて、家庭を持たせようとしていた。
その他関係者
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┣芹澤 斉(せりざわ ひとし)
相模水産研究所所員。襲撃してきた甲殻類をサガミ・レガリスが巨大化したものと実証。
■□■□■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【甲殻類(レガリス)について】
相模トラフの冷水湧出域で発見された新種の甲殻類で、ザリガニやイセエビを巨大化させたような外見と、拳銃弾程度ならば跳ね返す固い殻を持つ。元は全長2cmに満たない小型の甲殻類であったが、深海探査艇アルヴィンIIが採取したレガリスを事故によって沿岸域にばら撒いてしまったため、沿岸の豊富な栄養源を得た事によって、1m強から3m程までに急激に巨大化した。
実在するシナルフェウス・レガリスと同様、女王エビを中心としたコロニーを作って行動する真社会性生物である。正式な学名は与えられておらず、相模湾の深海で発見された事から、研究者たちは「サガミ・レガリス」という通称で呼んでいる他、警察や自衛隊の関係者は、単に「レガリス」とも呼称している。世代交代のサイクルが一年未満と早く、環境適応能力が高い。外界の認識は赤外線探知器官をもって行う。通常状態での主食はシロウリガイ。
「群れの保存」に特化した極めて高い学習能力を有しており、自然死以外の死因によって死亡した個体から発せられる警戒臭を探知すると、外敵への警戒反応や群れの周囲に発生した異常の回避などの対応などを行うという習性がある。また、命の危機を感じた女王が発する音波に集まってくる習性があり、この音波が潜水艦が打つアクティブ・ソナーのピンの音波と同じ波長であるため、横須賀を出港した米海軍の原潜が打ったピンに反応したレガリスの集団が横須賀に上陸し、新たに餌と見なした人間を捕食。海岸付近や基地内にいた自衛官や市民などが被害にあう事となった。
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■□■
有川 浩(ありかわ ひろ)
┣1972年高知県出身
┣小説家、ライトノベル作家
┣ジャンル:SF、ミリタリー、恋愛
┣デビュー作:『塩の街 wish on my precious』
📚代表作
自衛隊三部作
図書館戦争シリーズ
主な受賞歴
電撃ゲーム小説大賞 (『塩の街 wish on my precious』)
星雲賞日本長編作品部門 (『図書館戦争』シリーズ)
・‥…━━━☆
デビューからしばらくの間は、主にSF・ミリタリー色の濃い作品を発表していた。デビュー作から3作続けて、自衛隊と未知の物体・生物との接触をテーマにした作品を発表しており、陸上自衛隊の『塩の街』、航空自衛隊の『空の中』、海上自衛隊・海上保安庁・機動隊の『海の底』は合わせて自衛隊三部作と称されている。また、2006年にスタートした『図書館戦争』シリーズでも「図書隊」という架空軍事組織が存在するパラレルワールドが描かれている。2006年頃からは、『レインツリーの国』や『阪急電車』など、実世界を舞台にした作品も刊行されている。
阪急電車 片道15分の奇跡
(2011年4月29日公開、配給:東宝、監督:三宅喜重、主演:中谷美紀)
図書館戦争 革命のつばさ
(2012年6月16日公開、アニメ、配給:角川映画、監督:浜名孝行、制作:Production I.G、声:井上麻里奈 他)
図書館戦争シリーズ
(配給:東宝、監督:佐藤信介、主演:岡田准一・榮倉奈々)
┣図書館戦争 -LIBRARY WARS-(2013年4月27日公開)
┣図書館戦争 -THE LAST MISSION-(2015年10月10日公開)
県庁おもてなし課
(2013年5月11日公開、配給:東宝、監督:三宅喜重、主演:錦戸亮)
レインツリーの国
(2015年11月21日公開、配給:ショウゲート、監督:三宅喜重、主演:玉森裕太)
植物図鑑 運命の恋、ひろいました
(2016年6月4日公開、配給:松竹、監督:三木康一郎、主演:岩田剛典・高畑充希)
旅猫リポート
(2018年公開予定、監督:三木康一郎、主演:福士蒼汰)
フリーター、家を買う。
(2010年10月19日 - 12月21日、全10話、フジテレビ、主演:二宮和也)
┣フリーター、家を買う。スペシャルドラマ(2011年10月4日)
空飛ぶ広報室
(2013年4月14日 - 6月23日、全11話、TBSテレビ、主演:新垣結衣)
三匹のおっさん〜正義の味方、見参!!〜
(2014年1月17日 - 3月14日、全8話、テレビ東京、主演:北大路欣也)
┣ 三匹のおっさん2〜正義の味方、ふたたび!!〜(2015年4月24日 - 6月12日、全8話)
┣三匹のおっさん3〜正義の味方、みたび!!〜(2017年1月20日 - 3月10日、全8話)
キャロリング〜クリスマスの奇跡〜
(2014年11月4日 - 12月23日、全8話、NHK BSプレミアム、主演:三浦貴大)
図書館戦争 BOOK OF MEMORIES
(2015年10月5日、全1話、TBSテレビ、主演:岡田准一・榮倉奈々) - 実写映画シリーズのスピンオフドラマ
図書館戦争
(2008年4月11日 - 6月27日、全12話、アニメ、フジテレビ ノイタミナ枠、監督:浜名孝行、制作:Production I.G、声:井上麻里奈 他)
- 関連記事
-
- 今すぐ書店へGO!”夏の文庫フェア”2017…講談社文庫フェア『犯人は逃さない「おまわりさんの本棚」 ×12』 (2017/08/28)
- 今すぐ書店へGO!”夏の文庫フェア”2017…講談社文庫フェア『すべてお見通しよ「ママの本棚」 ×15』 (2017/08/27)
- 今すぐ書店へGO!”夏の文庫フェア”2017…講談社文庫フェア『今夜も寝れない「バカボンの本棚」 ×15』 (2017/08/26)
- 今すぐ書店へGO!”夏の文庫フェア”2017…講談社文庫フェア『謎解きはおまかせ「ハジメちゃんの本棚」 ×12』 (2017/08/25)
- 今すぐ書店へGO!”夏の文庫フェア”2017…講談社文庫フェア『解けばいいのだ「パパの本棚」 ×12』 (2017/08/24)
- ずっと読み継がれる名作中の名作「新潮文庫ロングセラーTOP20(※初版刊行~2017年3月末の累計発行部数)」 (2017/08/24)
- 今すぐ書店へGO!”夏の文庫フェア”2017…新潮社文庫フェア『泣ける本×21』 (2017/08/23)
- 今すぐ書店へGO!”夏の文庫フェア”2017…新潮社文庫フェア『ヤバイ本×21』 (2017/08/22)
- 今すぐ書店へGO!”夏の文庫フェア”2017…新潮社文庫フェア『考える本×15』 (2017/08/21)
- 今すぐ書店へGO!”夏の文庫フェア”2017…新潮社文庫フェア:シビレル本×24 (2017/08/20)
(夏の一冊)深海【奇妙でカラフルな深海の世界】/クレール・ヌヴィアン(著) 伊部百合子(訳)≪ | HOME | ≫バロウズ/ウォーホルテープ (SPACE SHOWER BOOks) |ヴィクター・ボクリス(著) 山形浩生(訳)
コメントフォーム
この記事へのトラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
(夏の一冊)深海【奇妙でカラフルな深海の世界】/クレール・ヌヴィアン(著) 伊部百合子(訳)≪ | HOME | ≫バロウズ/ウォーホルテープ (SPACE SHOWER BOOks) |ヴィクター・ボクリス(著) 山形浩生(訳)