<味噌と寺とわたし〜味噌編〜はこちら>
味噌カツと味噌煮込みうどんで満腹になったわたしたちは次の目的地「大樹寺」へ。
岡崎に行きたいなあと思った理由のひとつでもある大樹寺。こっち地方のひとじゃないときっとピンと来ないと思うのでざっくり説明を。
松平家・徳川将軍家の菩提寺として有名な大樹寺は1475年松平4代親忠が創建したお寺。親忠ってのは徳川家康の5代前の先祖。で、桶狭間の戦いで今川チームが負けてやばいやばいってことで家康が大高(名古屋市緑区)から逃げてきたのがこの大樹寺。
立派な山門。すごいねえ。
三代将軍家光が建立したんだって。時代劇でよく聞く名前がバンバン出てくる。
この山門の真向かいには小学校があるんだけど、実は大樹寺の本堂からこの山門を通して小学校のずーっと先までまっすぐ見通せるようになってまして。
小学校の向こうの門のそのまたずーっとまっすぐ先に、岡崎城があるんデスヨ。
大樹寺から岡崎城までを通称ビスタラインっていうらしい。約3キロ。
家康の生誕の地、岡崎城。行きたかったんだけど、今改修中で見学できないってことで次回に持ち越し。残念。
でもまあ来年2023年の大河が家康じゃん、今きっちり綺麗に直しておいた方がきっといろいろといいよね。観光客たくさん来るようになるだろうし。
「へーそうなんだー」
マヨミさんは大河を見ていない。
そしてわたしは今の大河にはどハマりしているけども、来年は果たして見るのだろうか。
「でもあたし思うんだけど」
うんなに?
「今そんなにハマってるんならとりあえず最初は見るんじゃない?」
他人事だな、マヨミさん自身は10:0で見ないと踏んだよ。
本堂。
有名なお寺だからもっと広いのかなと思ってたけどそうでもない。
お、松潤じゃないか。
とどことなくずんぐりした感のある家康像を撮影していたら、檀家さんらしきおばちゃんに声をかけられた。
「あら、松本潤くんファンクラブ?」
いやあの。
「いえいえ違うんですけどねーちょっと予習でーす」
「あらそう、ゆっくり見ていってねー」
はーい。
予習て。マヨミさん見る気あるんかい。
「わからん」
まずは御本尊さまにお参りをしまして、その後有料の大方丈と収蔵庫、宝物殿を見学いたします。
有料のとこは撮影禁止なので大好物の欄間の画像でごまかします。
収蔵庫には、家康を追って野武士の一隊が大樹寺を取り囲んだ際、和尚さんが門から引き抜いて戦ったという曰く付きのカンヌキが展示してある。
どうやら前にテレビの取材があったらしくその時の写真も展示。
「これ、誰?」
ああ、あばれる君だね。前にテレビでやったんだって。
「へぇー」
というわたしたちの会話が終わったと同時に横にいたおばちゃんずが「これ誰?」「あばれる君だがね」「へぇー」とリピート。そこからずっとわたしが収蔵庫を出るまでさざなみのように「あばれる君」「あばれる君」と聞こえていた。すごいなあと思ったのはここで「あばれる君って誰?」という人がいなかったことで。あばれる君だよ?こんな名前、知らなかったら絶対聞き直すでしょうに。みんな知ってるってことだよねえ。すごいねえ。あばれる君、がんばってるんだねえ。何目線?
そしてここの名物というか、もうひとつ有名なのが代々の徳川将軍の位牌。
家康の遺言で「位牌は大樹寺に祀ること」ってのがあるとかで。
そしてお祀りしてある位牌ってのが臨終時の将軍の身長と同じ長さで。
ふーむ、家康159cmか。まあそこそこだね。お、秀忠さんは160cmか。
あら、生類憐れみの令でおなじみの綱吉が124cmって小さいなあ。
そっかご病気だったのね。へぇ〜。
マツケンサンバのイメージしかない暴れん坊将軍吉宗でも155cm。
それにしても、位牌を身長と同じ長さにする意味は。
まあなんとなく親近感は湧くかもね。
「身長測る専門の人がいたんだってー」
へーー。
「その人、将軍が亡くなった時以外はなにやってたんだろう」
そりゃそうそうしょっちゅう将軍は亡くならんしな。
「あたし思うんだけど」
なによ。
「すごい楽な仕事だよねえ」
いや、専門いうても普段は他の仕事もしてたと思うよ?で将軍が死んだーってことになったら呼ばれるんだよきっと。
「そっかー」
いや知らんけど。
本堂からビスタラインをのぞむ。
来年の大河がどういう話で進むかはわからんけど、大樹寺は出るのかな。
出ればいいなあ。
松潤も来るかなあ。来るといいなあ。ファンクラブではないけども。
さて、次だけど。
さっきカクキューさんにあったのぼりの、ほれ。
これ。
これで見つけた瀧山東照宮に行くことに。
あんなに前からどこに行こうだの相談してたくせに、結局当日ちらっと見かけたとこに行くとか、こーいう行き当たりばったりができるってやっぱりすごく楽でいいねえ。
てか、わたしが行きたいとこばっかり行ってるけどいいの?マヨミさんは。
「いいよーあたしこういうの全然わからんし」
わたしもわからんけど。
「えーそんなことないよ、あたし思うんだけど、やっぱり歴史知ってるともっと面白いよね」
そうだねえ。あたしもいっつもそう思うんだけど忘れちゃうんだよねー。
そして、「瀧山寺駐車場」に到着。
瀧山寺と瀧山東照宮は同じなのだろうか。
駐車場からすぐのところに「瀧山寺宝物殿↑」という看板を発見したんだけどもそこはスルーして、まずは道の先にあるっぽい東照宮をお参りしようということで進む。
進もうとは思うんだけど…。
「えー…聞いてないよーーー」
マヨミさんの泣き言が出るくらいなかなかの上り坂で。
えーと…これはどっちに行けば。
石段より道路の方が楽かなあ。どうする?
「……ぜいぜい…」
実はこの日、9月中旬のくせに34℃のカンカン照りで。
この時点ですでに600mlのペットボトルの麦茶をすでに飲み干していて、そのすべてがきっと汗になっていたというなんとも暑苦しいどろどろのわたしたちだったのです。
まあマヨミさんの場合は土鍋いっぱいの味噌煮込みうどんの汁をすべて飲み干したせいで喉が渇いたのではないかという疑惑もあるけど。
「あたしー思うんだけどー」
なーにー?
「車に戻って乗ってきたらいかんかなー」
いかんに決っとろう。
ここまで来たのにもったいないよ、がんばれもう少しだ!
「まじー?」
マジマジ!このカーブを過ぎれば……
…過ぎれば…ごめん、嘘ついた。
「はーーー???うそーーー…」
が、がんばろう……。
なんとか登り切った先にあった瀧山寺の本堂は古いけどとっても立派だった。
なんつっても天武天皇の時代、673年〜686年に開かれたおよそ1300年もの歴史を誇る古刹。
三桁の時代って。もう一体いつかもわからん。
すごいねえ…って、ちょっと!あれは!
ちょっと!なにこれ!なにこれ!
頼朝の遺髪と歯!遺髪と歯を納めた運慶作の…運慶作の!観音像!を!
大展示!!大展示だよ!!
大展示に大興奮のわたくし。
ああ、鎌倉殿をずっと見ていてよかった。
大泉洋の遺髪と歯がここに!(違う。
もちろん本堂の内部もすごくよかった。
御本尊の薬師如来さんと日光月光さん、十二神将さんがぎゅうぎゅう詰めになってたけど。
そしてこちらが瀧山東照宮。
かなりくたびれた感があるけどそれでも綺麗。
こちらももうすぐ改修に入るそうで、そしたらまた美しい極彩色に蘇ることでしょう。
さてこの後階段を降りて、駐車場からすぐのとこにあった宝物殿へ向かう。
階段降りたらさっきヒィヒィ言いながら登ってきた坂のあの分かれ道のとこで、
なんだよ〜階段選べばラクだったじゃんと思わなくもなかったけど、まあそれはそれとして。
宝物殿はとてもとても見応えのあるものでございました。
中は撮影禁止なので東照宮の写真でごまかします。
大変しゃべりのうまいご住職がポイントをおさえて教えてくれるんだけど、それがとてもわかりやすくておもしろかった。
なんといっても、源頼朝の遺髪と歯が収められてる聖観音は神々しいというか、あたしが知ってる運慶の仏像とはまったく雰囲気が違って着色もされてて身体のラインもやさしい感じで、いいもん見せてもらった感がハンパない。
お寺の仏像ってたいてい正面からしか見られないけど、ここはぐるりと背中側も見られるのでそこもまたよき。
あと帝釈天もよかったなあ。京都の東寺の帝釈天ほどはイケメンじゃないけど、ここの帝釈天さんもなかなかだと思う。
「でもなんで源頼朝の遺髪と歯が収められてるかって思うでしょう?」
てゆーか、本物なんですか?あ、いやえーと。
「フフフ、まあそう思われますわなあ」
ご住職の立て板に水のような説明をかいつまむと、まず、遺髪と髪を収めたという書物がもともとあった、と。で、国立博物館でX線撮影したところしっかり写っていた、と。
「こうね、斜めに木の棒が通ってて」
「あー、ここからこう斜めに?」
「そうそうその斜めの棒にこうして何か包みのような塊がね」
「これにしっかり留めてあるってことですね!」
「そうそう!」
もうほんとにね、マヨミさんてすごいと思う。だってもともと仏像やらが好きなあたしはウハウハ言うのは当たり前だと思うけど、マヨミさんはそうでもないはずで。なのにこんなに目をキラキラさせてすっごい食いついてて、そりゃご住職も盛り上がるわな。
「で、問題は」
「問題は!」
あうんの呼吸になってきたご住職とマヨミさん。
「それが本物かどうかってこと、ですわ」
うんうん、そうですよね。
「実は当時のうちの住職が寛伝上人っていって…」
ゴクリ。
「なんと源頼朝の従兄弟!」
「はーーー!」
はーーー!
盛り上がり最高潮。
「ね?遺髪と歯、もらってても不思議じゃないでしょう」
「はいはいはい」
なるほどー。
「おまけにこの聖観音、源頼朝と等身大」
「えーー!」
あたし的にはもう頼朝=大泉洋になっちゃってるもんだから、え、こんなに小柄なの?!ってちょっと混乱。
「一生懸命聞いてくれるからこっちもご説明しましょか」
はいはい、のぞむところです。
「この十一面観世音菩薩様、よく見てて」
と言っておもむろに懐中電灯の灯りを当てるご住職。
「ほーら」
下から上へ。
おお、表情がかわる。
「ええええーーー!!すごいすごい、なんで?もう一回見せてください〜!」
マヨミさんナイスリアクション。
「わかる?」
そしてまた下から上、上から下、と懐中電灯を当てるご住職。
「すごいーーー!!お顔が違う!」
「でしょう!」
まるで自分が作ったかのように嬉しそうなご住職。
「これだけの技が鎌倉時代にすでにあった、ということ」
ですねえ。
ちょっと山道のぼったところにあるけど、岡崎に行った際はぜひ寄ってほしいなあ。
運慶作の仏像がこんなにまとめて間近で見られるのってなかなかないと思うので。
御朱印も超かっこいいっす。
瀧山寺に向かう途中にあった仁王門にも帰りに寄った。
めっちゃ立派。
なんかいるわ。
ほら、あの、青いの。
「ほんとだー!なんだろあれ」
こっちは緑だ。
何かなあ、餓鬼とかが屋根を支えてるとかそーいうのなのかな。
「え、支えてるのあれ」
違う?
「屋根に挟まって苦しい助けてくれ〜とか言ってるんじゃないの?」
なぜにそんな非道なことを…。
さて。
そろそろ夕方だしお茶でも飲んで帰ろうか、とやっと念願のオサレカフェに向かう。
予定ではここでおしゃれランチにするはずだったのに。
「でもあたし思うんだけど」
なに?
「ここまで絶対持たなかったよ、お昼はあそこで正解だよ」
うん、だよね。おしゃれクソ喰らえだよ。
てゆーか。
マヨミさんはいったいいつから整くんのような口癖が。
「あたし思うんだけど」はマヨミさん。
「僕は常々考えているんですが」は整くん@ミステリと言う勿れ。
なんかもう途中からそれが面白くて面白くて、後半あんまりマヨミさんの話が頭に入ってこなかったよ。
ごめん。ほんとに。ごめん。
「オラに力をわけてくれ」になってしまっているではないか。
「ここがわたしのアナザースカイ!大樹寺です!」
楽しかった、岡崎。
また絶対行く。
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