実業の世界 カッソーネの蓋の裏に書かれた絵画・ウルビーノのヴィーナスを見に行く(2)
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2008-04-12 14:18

カッソーネの蓋の裏に書かれた絵画・ウルビーノのヴィーナスを見に行く(2)

カッソーネとは、結婚する時にお嫁さんが必ず持参した家具の一つ。大きな長い櫃であり、頑丈な木で作られる。



ウルビーノのヴィーナスの後方に描かれているのが、そのカッソーネである。

このカッソーネの裏蓋は、開かないと見れない。
そこに、エロスを主題とした絵が描かれていたらしい。
今回の展示で、何点かのカッソーネに描かれた絵が展示されていた。
ヤコポ・デル・セッライオ『愛神の凱旋』『羞恥の凱旋』も板絵であるが、これもカッソーネに描かれたもの。
縛られた男女が荷車に載せられ引き回されていうる。
これが愛の力で束縛から自由になる・・・という奇妙なテーマの絵である。
おそらく、寝室で夫婦がプライベートに見る絵だったのである。



ウルビーノのヴィーナスは、かなり特殊な作品だ。
今回の展示では、様々な「横たわるヴィーナス」の絵を同じ場所に並べられていた。
その比較で、ウルビーノのヴィーナスの特徴が際立つようにしている。

・ヴィーナスなのに、なぜ、ごく普通の寝室に寝ているのか?
(他の絵はバックに自然があり、キューピットや、牧神などが描かれ神話的な世界の中にある)

・なぜ、この絵を見る人の方を、まっすぐに見ているのか?
(他の、横たわるヴィーナスの絵は、眠っていたり、他の方を見ている)

・なぜ、シーツに乱れがあるのか?
(このシーツと枕は実に写実的に描かれている)

なぜ、お腹がもっこりしているのか?
(明らかに意識的に描かれている)

この絵はカッソーネの蓋の裏に描かれた秘密の絵のように、夫婦が水入らずで見る絵のような気がする。

この絵は、ウルビーノ公の注文でティツィアーノが描いたものであるが、ウルビーノ公には若い妻がいた。
さらに、ウルビーの公の家系は、子供が出来にくいという悩みがあったらしい。

この絵の女性は、ウルビーノ公の妻であり、
犬がベットで眠たままで吠えないのは、この部屋に入って来たのは彼のご主人だから。
女性が、まっすぐ、こちらを見ているのは、妻だから・・・という解釈が出来る。
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なお、他のヴィーナスの絵は「神話的な世界で」の中で描かれている。



アレッサンドロ・アッローリ「ヴィーナスとキューピッド」



シモーネ・ペテルザーノ「ヴィーナス、キューピッドと二人のサテュロス」
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補遺<APPENDIX>

①ウルビーノ公国は1443年から1631年までイタリアのマルケ州北部に存在した国家。

②この絵の注文者であるグイドバルド・デラ・ロヴェーレは、ウラビーノ公になる前、24歳で結婚した。相手は当時14歳のジュリア・ダ・ヴァラノ。この絵の納品は1538年である。

③グイドバルド・デラ・ロヴェーレは1514年生まれで、1574年に死す。父が暗殺され、1539年にウルビーノ公となる。

④ジュリアは一人の子女をもうけるが1547年に死別。ウルビーノ公は翌年、再婚する。

  1. 絵画
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コメント

No title

>なぜ、シーツに乱れがあるのか?
>なぜ、お腹がもっこりしているのか?

新婚5~6ヶ月のお二人さんに初のお子ができた?
  1. 2008-04-13 08:53
  2. URL
  3. Tom #79D/WHSg
  4. 編集

No title

To ..... tomtomさん

>新婚5~6ヶ月のお二人さんに初のお子ができた?

補遺を付けました。
新婚の時、まだ、奥さんは14歳でした。10歳の年の差です。
女の子が一人できたのですが、その後、奥様は23歳で亡くなってしまいます。
旦那さんのお父さんは暗殺されちゃうし、本人はオスマン・トルコとの戦争に駆る出されるし・・・
この美しい絵の裏側の世界は平安ではないようです。
  1. 2008-04-13 13:32
  2. URL
  3. yuyuu #79D/WHSg
  4. 編集

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