結局、僕らはオバハンに、店から追い出されてしまった。
翌日、先生に報告だけはしておいた。
その後、女の子は「知り合いの家に預けている」は嘘だったことが判明する。
店の二階に住んでいて殆ど家から出ないが、時々、店の周囲や〇〇銀座通りで一人で遊んでいるらしい。
学校が嫌いというより、オバハンが面倒臭くて行かせないだけのようである。
この時代は家の手伝いで学校を休む子が多かったので、不登校でも目立たなかった。
そもそも、ランドセルなど持ってる子は居なくて、布の袋に教科書やノート、筆記用具を詰めて通っていた。
教科書が買えない場合は支給されるが、ノートや鉛筆や消しゴムは支給されない。
そこで隣の席の子に借りるのだ。私の隣の席の子は、何も持ってないので、鉛筆を貸して、消しゴムは共用した。
給食費が払えない家の子は、昼休みは何も言わずに消えた。
私が親しくしていた子は、給食の時間に席に居なかった。
ある日、どこに行ったのかな?と思い、教室の窓から外を見ると、鉄棒のところに彼が居た。一人で鉄棒の練習をしていた。
給食の片付けが済み、彼が教室に戻ってきても、何もいえなかった。
また、1クラスに1人は風呂に入らないので臭う子が居た。
本人は風呂が嫌いだから入らないと言っていたが、本当は親に彼を銭湯に行かせる金が無いのかもしれない。
こうした臭い子も、喧嘩になると臭いが武器になるので無敵であった。
喧嘩は多かったが、陰湿な虐めは無かった。
あれば子供会のリーダーが止めに入るので、直ぐに収まるのである。