さて、子供会であるが、これは子供組の伝統を引き継ぐものであった。
世界大百科事典 第2版
こどもぐみ【子供組】
村落や都市のうちでも伝統のある古い町の内部で地域的に、しかも行事のつど随時編成される子どもの年齢集団。
若者組や娘組が存在した時代には、それらの下位に属した。
呼称としては子供仲間、小屋仲間、あるいは行事にちなむ塞の神仲間、天神講などがあるが、特定の呼称をもたない例もある。
また6歳から15歳までの、すべての男児によって構成されるのがふつうだが、ときには女児が混じる型もみられる。
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若者衆、若者仲間、若者連中など地域によっても様々に呼ばれていた。
近世の村(自然村、部落、集落)において、地域社会を支える集団の一つとしての機能が確立したと考えられ、これらの機能は、近代以降も引き継がれていた場合が多い。
若者組への加入・脱退の決まりは大きく2つに分けられる。
1つは、その村の男子全員が加入するというタイプで、多くの場合は結婚を機に脱退する。
もう1つは、各戸から1人(長男)だけが加入するというタイプで、多くの場合、結婚ではなく一定の年齢に達すると脱退するというものであった。
いずれの場合も、一定年齢(15歳くらい)に達すると加入する。
若者組に加入したものは、村で一人前という事になり、加入の際に、厳しい試練を課する事もあった(加入儀礼)。
若者宿、若衆宿などといわれる拠点があり、そこに寝泊りしたり、共同で作業したりする場合が多かった。
村内の警備や様々な作業を行ったり、共同で集まり親睦を図った。
特に祭礼では、若者組のメンバーが子供組を指導して中心的に運営を行う場合が多かった。
男性の若者宿に対して同じ年頃の女性が集まる娘宿の存在する地域もあり、この場合、双方の交流によって結婚相手を探すという意味があった。
若者組は村内の恋愛、性、結婚を管理する側面を持ち、「村の娘と後家は若衆のもの」などという表現がなされた。
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以上のように、子供会というのは、近世からの子供組の伝統を継承するものであり、大人の世界とは独立した自治組織であった。
この子供組を指導する役割は若者組なのである。
それゆえ若者組が愚連隊になってしまうと、子供組もその予備軍になってしまうのだ。
子供会は子供組の伝統を継ぐため男児中心の組織であった。江戸川乱歩の「少年探偵団」も子供組の伝統の上に乗っていると思われる。
ただし、少年探偵団に花崎まゆみが居るように、女児も一定の役割を果たすが、基本的には少年達が守るべき存在であった。
子供会のリーダーは民主的な選挙などで選ばれるのではなく、自然に決まるのである。
昔から子供達の間で特定の子をターゲットにした「虐め」があったが、これを止めさせるのはリーダーであった。
それだけの実力(知力+腕力)がなければリーダーにはなれない。
猿山のボスが自然に決まるように、子供会の会長も自然に決まるのであった。