指定された時間は12時30分から15分間であった。
お昼休みだというのに会議は続いているようだった。
秘書に連絡して別室で待機している。
・・・といっても会議室の隣の部屋である。
社長の大きな声が聞こえる。
「10分待て」と秘書が伝言を持ってくる。
12時40分になって、社長が抜け出して来た。
「時間が無い。説明は3分」
質問は殆ど無し。彼は判っているからだ。
さらに、詳しい説明をしようとすと、それを遮って「それで行こう」と一言。
12時50分には社長は隣室の会議に戻った。
その会社は、以前はマスコミ対策をしていた。
ところが前の社長が、訳もわからず、止めてしまった。
その後、その会社は、数々の誤報騒動に弄ばれたが、
前の社長は、その意味が分かっていなかった。
それは「元に戻せ」の警告であるのに気付かず、
「より、一層、正確な情報を提供し、理解を得るよう努力していきます」などと、間抜けな対応をしていた。
これと同じなのである。
私が若い頃、数ヶ月勤めた「奇妙な事務所」は、外国の依頼でマスコミ対策をやっていた。
この構造は、さらに緻密に、さらに戦略的に変化し、現在に至っているのである。
「今はとても危険な気がする」と新しい社長は、マスコミ対策の部署を再設置した。
多くの企業が広告を止めてしまった現在、マスコミは何で利益を得ているのか?深く考えなくても、分かることである。