実業の世界 2008年08月29日
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2008-08-29 12:23

根付きの鯖と「校内マラソン大会」の思ひ出

     

「今日は何が?」

「三浦のが入ってます」

「根付きの鯖だね」

「そうです」

「今はその辺りに居ないはず」

「はあ、本隊はまだ北の方におりますね」

 

盂蘭盆が過ぎると、そろそろ秋の美味しいものが市場に出てくる。

昨日は日本橋の寿司屋で、三浦の根付きのを食した。

は回遊魚である。

伊豆半島の沖で春頃産卵したは、黒潮に乗って北上する。

夏までは、プランクトンの豊富な北海道の沖にあたりで丸々と太るが、

秋になると、産卵のため徐々に南下する。

9月から10月頃に八戸から三陸沖で、脂の乗った美味しい秋鯖が水揚げされる。

ところが根性が無いのか、怠け者なのか、伊豆の沖から、三浦半島まで、ほんの僅かに北上しただけで回遊をやめてしまう鯖が、毎年、わずかながら存在する。これが根付きの鯖である。

この怠惰なは、6月から初秋まで、三浦半島沖で一本釣りされる。

詳しくは以下のHPを参照。今が旬の食材である。

 http://www.matsuwa.ecnet.jp/saba.htm

 

さて、この根付きのを食べる時、私はいつも高校時代の校内マラソン大会を思い出す。

全校生徒が参加するマラソン大会で、距離はハーフマラソンのさらに半分の約10km。早い生徒は1時間以内、遅い生徒でも1時間30分。

しかし、校門を出て、しばらく走ったあたりで、そっと抜けて物陰に隠れ、本隊が長いハードな走行を終えて校門に戻ってくる頃、何食わぬ顔で合流する輩が、ほんの僅かながら存在した。そういう輩に限って、ゴールした後に「疲れた、疲れた」「足が痛い」と強くアピールするのである。

 

根付きのは、幻の鯖と呼ばれる。

旨いことは旨いが、やはり怠けた味を感じてしまうのだ。

 

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